5月24日に内科医院から整形外科に両下肢痛の88歳女性が紹介された。両下肢痛となっていたが、実際は腰痛だった。
整形外科で腰椎MRIを行って腰椎圧迫骨折と診断して、入院となった。整形外科医が、紹介状の内容と実際の症状が違うと記載していた(たぶん怒っている)。
問題はそれだけではなかった。Hb5.2g/dlと著しい貧血があった。血小板も7.7万と低下している(白血球は7300)。腎臓内科の先生が介入してくれた。
MCVが130.1と著しく大球性で、巨赤芽球性貧血が疑われた。血清ビタミンB12と葉酸の外注検査が提出された。26日にビタミンB12 (メチコバール)500μg筋注が行われた(週3回で開始)。
ビタミンB12は正常下限値で正常範囲内にはあるが、ビタミンB12の場合はこれでも低下症をきたす。別の症例で、若い先生に正常範囲ですが、といわれたことがあるが、れっきとしたビタミンB12欠乏性貧血だった。
5月29日にはHb6.4g/dlとなり、網状赤血球が17.5%(0.5~2.0%)と造血が急ピッチで行われている。胃切除術の既往はないので、内因子抗体の関与する悪性貧血なのだろう。
腰痛も軽減していて、おそらく貧血も順調に軽快すると見込まれる。患者さんにとってはいい入院になるだろう。
紹介状(診療情報提供書)に両下肢痛とあったが、本当は貧血による両下肢浮腫だった。