なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

ウイルスの本

2023年12月31日 | 感染症

 最近、ウイルスに関する一般向けのわかりやすい本を集めている。中でも武村政春先生の本がわかりやすい。分子生物学からウイルス研究になり、現在は巨大ウイルスを研究されているそうだ。(妖怪も研究している)

 下記の本は小学生でも読める内容で、武村先生がこれまで書かれたブルーバックスよりもやさしい。あの宮沢孝幸先生と共著でウイルス図鑑も出している。

 

 医師・医学者が知っているウイルスの種類はわずかだ。ウイルスは動物や植物などあらゆる生物に感染する。動物ウイルスは獣医・獣医学者が詳しいわけで、植物ウイルスは植物学者の方が詳しい。

 人間の身の回りにも、身体の中にも無数のウイルスが存在している。ウイルスは感染する生物が決まっているので(宿主特異性)、人間に感染しないウイルスが無数にいても、病気にはならない。

 それが本来の宿主以外の生物に感染するようになると、共生関係が保てず、高病原性となって宿主が死んでしまう。宿主が死んでしまうのは、生物の中でしか生きられないウイルスとしては好ましいことではない。

 SARS-CoVは高病原性でほとんど消滅してしまった。SARS-CoV-2は当初は致死率5%だったが、致死率が低下する方向に変異してきたので、普通の風邪ウイルスとして定着していきそうだ。

 

図解 身近にあふれる「細胞・遺伝子」が3時間でわかる本 (ASUKA CULTURE 2302-8)

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23歳の糖尿病、その後

2023年12月30日 | 糖尿病

 12月22日に記載した糖尿病の23歳男性のその後。

 12月27日に外注検査の結果をみるために、外来予約していた。診察前に腹部エコー検査を入れていた。結果は脂肪肝があった。膵臓は少なくとも腹部エコーで見える範囲では異常はない。

 外注検査の結果は、血中Cペプチドは2.37ng/ml、抗GAD抗体は陰性だった。年齢を別にすれば普通の2型糖尿病のように見える。

 当方の外来としては年末最後でいつもより予約数が少なかった。改めて家族歴を訊いた。小学校1年の時に両親が離婚していた。離婚した父親は、連絡先もわからないという。それでも糖尿病の家族歴を訊かれていたので、母親に訊いてみた。すると、父親は血糖が高いといわれていたそうだ。父親の方に糖尿病の家族歴があるのだった。

 DPP4阻害薬だけ1週間分処方していたが、メトホルミンも初期量を追加して、1か月後に外来予約とした。食事も多少は気を付けているそうだ。

 次回の検査でHbA1cを見て、SGLT2阻害薬も追加することにした。DPP4阻害薬からGLP-1受容体作動薬へ切り替えるのもある。消化器系の副作用がなければメトホルミンも漸増していく。

 週1回大学病院の糖尿病科から外来に来てもらっているので、人数的に大丈夫であれば、若年発症例としてそちらに回すのもある。

 

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目の前で倒れた

2023年12月29日 | 心肺停止

 12月26日(火)の午前中は救急当番だった。隣の市の救急隊から心肺停止の搬入依頼があった。87歳女性で、当院の腎臓内科に通院しているという。高血圧症・慢性腎臓病があった。

 搬入してもらうことにしたが、30分はかかるという。確かに距離的にはそのくらいかかる。救急隊到着時、心肺停止で心電図上はPEAだった。(無脈性電気活動pulseless elecrorical activity:PEA)

 家族の目の前で倒れていたので(倒れているところを発見したのではないので)、救急隊としては張り切って心肺蘇生を開始したようだ。ラリンゲルチューブによる人工呼吸と、自動心臓マッサージ器による胸骨圧迫を行っていた。

 当地域の救急隊の特定行為は、地域の基幹病院に連絡して指示を仰ぐことになっている。乳酸リンゲルの点滴とアドレナリン注の指示をもらっていた。隣の市は基幹病院の構成市町村だが、当院かかりつけということで当院への搬入を指示されたのだろう。

 

 瞳孔は散大して、対光反射はなかった。心臓マッサージ器をいったん止めると、徐脈性のPEAが出現した。脈は触れない。そのまま救急隊の処置のまま心肺蘇生を継続したが、PEAから心静止になった。

 蘇生術を継続して、家族(娘)に入ってもらった。数日前から体調不良があったが、受診を勧めても様子をみると言っていたこと、また目の前で倒れたのでショックだったようだ。母親に呼びかけながら、号泣していた。

 さらに心肺蘇生を継続したが、状況は変わらない。救急隊が心肺蘇生術CPRを開始してから1時間以上経過している。号泣が治まるのを待って、蘇生術を中止するしかないことを伝えた。またひとしきり泣かれたが、了解された。

 

 当院かかりつけといっても、今年の5月に居住医の内科医院から当院の腎臓内科外来に紹介されてからの通院だった。高血圧症による腎硬化症による慢性腎臓病(CKD)とされていた。年齢的には腎生検とはならない。

 内科医院のARB・Ca拮抗薬・βブロッカーの処方をARNI(エンレスト)とSGLT2阻害薬(フォシーガ)に変更していた(βブロッカーは継続)。受診時の浮腫は軽減していたようだ。胸部X線で心拡大がある。心電図は四肢誘導で低電位があるが、虚血性変化は有意ではなかった。

 数日前から体調不良を訴えていて、息切れがすると表現していたようだ。病院受診を勧めたが、症状が軽減して大丈夫と言っていた。正確にはわからないが、悪化と軽減を繰り返していたらしい。

 その日は外出した娘を、調子が悪いと呼び戻した。トイレに行く起き上がろうとして、そのまま倒れた。よびかけても反応がないため救急要請した。

 

 Autopsy imaging(AI)を行った。頭部CTは脳委縮のみで出血や明らかな梗塞は認めない。胸部CTで両側肺にうっ血~水腫の変化があるが、1時間以上の自動心臓マッサージ器の影響があるので、解釈しがたい。

 心臓死であることは間違いない。うっ血性心不全の悪化としては症状の悪化~軽減が合わないか。冠動脈疾患が疑われるが、確定はできない。

 肋骨骨折を来していたが、あの自動心臓マッサージでは仕方がないのだろう。(救急隊にはいえないが、高齢者が自動マッサージ器を装着されているところは拷問にしか見えない)

 

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総胆管結石

2023年12月28日 | 消化器疾患

 12月26日(火)の午前中は救急外来を担当していた。発熱外来を兼ねているが、救急搬入以外はコロナとインフルエンザの迅速検査(オーダーを入れるだけ)をして、内科外来に回すことになっている。

 地域医療連携室から連絡が入った。施設入所中の102歳女性が内科外来に紹介されてきて、外来担当医には連絡してあるという。迅速検査を行って、両者陰性で外来受診となった。施設嘱託医も連絡を受けた外来担当医も誤嚥性肺炎を想定していた。

 その後、隣りの市の救急隊から搬入依頼がきた。当院腎臓内科に通院中の87歳女性が心肺停止となって、現在心肺蘇生中だという。家族の目の前で倒れたというが、年齢的には難しいだろう。

 搬入後に心肺蘇生を継続したが反応がなく、死亡確認となった。駆けつけた他の家族に説明してたりして、昼過ぎまでかかった。

 

 102歳女性はどうなったか確認した。白血球13800・CRP7.2と炎症反応が上昇して、胸部CTで右肺に肺炎疑いの所見があったのは予想通りだったが、肝機能障害(AST 219・ALT 173・ALP 324・γ-GTP 327・血清ビリルビン1.7)と血清アミラーゼ上昇(2171 IU/ml)もあった。

 腹部CTで総胆管拡張があり、総胆管末端に結石がありそうだ。膵臓は全体に萎縮しているが、膵頭部は腫脹しているかもしれない。総胆管結石による急性胆管炎・急性膵炎だった。

 入院の手続きがされていた。当院では対処できないので、搬送を手配する必要がある。そう思っていると、すぐに入院が取り消しになって、地域の基幹病院へ搬送となっていた。ちょうど放射線科の読影医が来ていて、所見を聞いたらしい。

 よく102歳を受けてくれたと思うが、超高齢でも内視鏡処置で対応できると判断したのだろう。

 

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急性胆嚢炎

2023年12月27日 | 消化器疾患

 12月25日の夕方に整形外科医が、地域の基幹病院が引き受けてくれたので今から搬送する、と話しているのが聞こえた。患者さんは頚髄症で入院していた74歳男性だが、搬送理由は別にあった。

 

 この患者さんは11月7日に意識障害で先方の病院に救急搬入された。当初は脳神経内科や精神科で診察を受けたが、四肢の不全麻痺が判明して頚髄症として整形外科の入院となった。

 手術を勧められたが、結局手術はしたくないということで保存的治療となった。すぐに自宅退院もちょっということで、12月7日リハビリ目的で当院に転院してきた。

 当院でも手術を勧めたが、拒否していた。電子カルテには「四肢麻痺で動けなくならないと手術しないのでは」と記載されていた。

 12月14日に右膝関節の腫脹があり、関節穿刺などで治療していた。炎症反応の上昇があり、内科の別の先生がかかわって胸腹部CTが施行されていた。胆嚢内に結石があるが、胆嚢炎の所見はなかった。

 12月24日(日)夜に上腹部痛が訴え、微熱もあった。整形外科医が胸腹部造影CTを行うと、胆嚢の腫脹を認めた。白血球21800・CRP24.3と著明に上昇していた。肝機能はさほど上昇がなく、CTで胆道系の拡張がなかった

 消化器科医に相談することにしたが、大腸内視鏡検査をしていてすぐには対応できなかったらしい。午後4時過ぎに診察して、腹部MRIを追加された。(上記所見なのですぐに搬送依頼でよかったとは思うが)

 

 翌日の12月26日の朝、ロッカールームで消化器科医と会った。昨日のことを話してくれた。

 腹部造影CTでは胆嚢周囲の低濃度域が判断しがたかったという。胆嚢襞腫脹の描出で、穿孔ではないと思うが・・・。受け入れはどうかと心配したが、先方の外科医がすぐに搬送するようにといってくれた、と言っていた。

 

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BPSDにバルプロ酸

2023年12月26日 | 認知症

 11月14日に地域の基幹病院から、脳挫傷・脳梗塞の85歳男性がリハビリ目的で転院してきた。依頼があったのは10月4日だが、当院の病棟の事情と、10月24日の脳梗塞発症があり、受け入れがなかなかできなかった。

 転院依頼があった時は経管栄養をしていたが、転院時には経口摂取が始まっていた。胃瘻造設かと思っていたので、その点は助かった。

 9月15日に屋根から転落して頭部を打撲した。外傷性くも膜下出血・脳挫傷・後頭骨骨折を来していた。心房細動でDOAC(エドキサバン)を内服していたので、Xa阻害薬中和薬のアンデキサネットアルファ(オンデキサ)が使用したそうだ。オンデキサは338671円なり。(搬入時→再検→再検、脳梗塞発症時)

 保存的に治療していたが、不穏がひどく、精神科が介入して向精神薬が複数処方されていた。ブロナンセリン(ロナセンテープ)・クエチアピン(セロクエル)レンボレキサント(デエビゴ)に、バルプロ酸(デパケン)も入っていた。

 転院時は不穏はそれほどでもなかったので、夜間不眠ためトラゾドン・ラメルテオン(ロゼレム)を追加して、バルプロ酸は一般的でないので休止した。

 当初は転院後に胃瘻造設の処置を予定していたので、まず急性期病棟で受けていた。しかし経口摂取ができることから(嚥下調整食3から4へ)、その必要がなくなり、すぐにリハビリ病棟へ転棟となった。

 転倒後はリハビリの指示が入らないというのも困ったが、不穏がひどくなった。セロクエルを漸増していったが、(日中笑顔のこともあるものの)怒り出すと大声を上げて(歌謡のコンクールで出ていた方で、よく声が通る)、抑制をすり抜けた。

 これは施設入所は困難で、向精神薬の量からいっても精神科病院でないと対応できない、ということで精神科病院に転院を打診することになった。(受け入れはけっこう厳しい)

 エビデンスはないが、症例報告はあるバルプロ酸(デパケン)を再開してみた。先週末からだが、ちょっといい感じになってきた。突発的な大声は出るが、長くはならないそうだ。

 

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分水嶺梗塞

2023年12月25日 | 脳神経疾患

 12月4日に2か月前からの左半身不全麻痺で61歳男性が内科新患を受診した。その日は内科再来を診ていたが、新患担当医師が受診が多くて、診られないということで回ってきた。(再来を診てからなので昼近くになった)

 5年前に急性心筋梗塞で地域の基幹病院循環器内科に入院した。糖尿病・高血圧症もあり、2か月くらい通院したが、その後クリニックに紹介された。クリニックには1回受診しただけで治療を中断していた。

 頭部CTやMRI検査をしようとすると、お金がないのでやりたくないという。急性の症状ではないので、おそらく脳梗塞を確認するだけにはなるが、検査は必要と伝えた。

 胸部X線・心電図と血液尿検査までは受ける、ということで検査した。心不全症状・所見はなかった。血糖 mg/dl・HbA1c11.0%で、血圧も170/ と高値だった。

 降圧薬と糖尿病薬、それ抗血小板薬を開始すると伝えると、薬はいらないという。これから市役所の福祉センターに行って、生活保護の手続きをするので、処方は申請が通ってからにしてほしいといわれた。1週間分くらいならそれほどの金額にもならないし、申請が通れば今月分から支払いはなしになる。それでもまた来るといって帰ってしまった。

 12月12日にまた受診して、生活保護の申請をしたが、まだ決定はしていないという。支払いはなしでいいらしいので、頭部CT検査を行った。左前頭部に梗塞巣があり、それによる症状かと思われた。その日は薬をもらうというので、降圧薬(Ca拮抗薬)・経口糖尿病薬(DPP4阻害薬)・抗血小板薬(クロピドグレル)を1週間分出した。

 12月18日に受診して、生活保護の申請が通ったという。その日は頭部MRIを入れていた。結果は分水嶺梗塞があり、両側の前大脳動脈/中大脳動脈と中大脳動脈/後大脳動脈に認めた。

 拡散強調画像で高信号に描出されるので、最近の所見になる。頭部CTを見直すと、放射線科の読影レポートでも「両側前頭葉の陳旧性脳梗塞」とされていたが、MRIの所見に匹敵する変化がすでにあった。さらにMRAでは左内頚動脈は閉塞していて、右内頚動脈にも狭窄がある。

 神経症状としては初診時と変わらないが、初診時にMRIを行っていたら、新規の脳梗塞として入院になっていたはずだ。その日は入院してもいいというので、入院とした。

 降圧薬はCa拮抗薬にABRを追加して、経口糖尿病薬はDPP4阻害薬にメトホルミンを追加した。血糖が高値の時はインスリン皮下注で補正とした。

 この患者さんは喫煙者で、入院するとさっそくその日のうちに病棟で喫煙して、病棟看護師にタバコを没収されていた。翌日からも入院は耐えられないと言い続け、自宅に戻ってもいいかという。病棟看護師から絶対抜け出しますよといわれて、トラブルになる前に退院とした(4日目)。

 内頚動脈の狭窄については脳神経外科に紹介したい.。外来でまた話をして、一度は行ってもらわないとまずいと思う。

 

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器質化肺炎

2023年12月24日 | 呼吸器疾患

 12月21日の昼過ぎに、呼吸器外来に来ている先生から連絡が入った。器質化肺炎で診ていた患者さんが、軽快して治療をいったん休止することになった、という報告だった。

 

 9月7日の記事に記載した75歳女性だった。他の病院に高血圧症・気管支喘息(吸入ステロイドとプレドニン2.5mg内服で通院している。高血圧症1か月咳・痰が続くという訴えで7月13日当院の内科外来を受診した。

 症状が続いて、7月19日(水)夜間に再受診した際に当方が当直だった。胸部X線・CTで両側肺にすりガラス陰影と浸潤影が散在していた。入院として、翌日呼吸器外来の先生(大学病院から)に相談して、器質化肺炎として、プレドニン25mg/日(0.5mg/kg)で治療を開始した。

 認知力低下のある方で、退院希望が強く、7月28日に軽快退院して(プレドニン20mg/日)、外来治療とした。呼吸器科外来で診てもらえることになった。

 

 次回の呼吸器科外来受診前の8月14日に発熱で受診した。外来を診ていた先生から、入院治療をお願いします、と連絡がきた。胸部CTで以前の陰影は軽快したところがあり、それとは違う部位に同様の陰影が出現していた。

 細菌性肺炎の併発を考慮して、抗菌薬で治療して軽快したような経過だった。しかし胸部CTで画像を確認すると、入院時の陰影が軽減して、別の部位の同様の陰影が出現した。要するに、全部が器質化肺炎の変化だった。

 プレドニンは増量しないで、経過をみていて自然に?症状・所見が軽減していった。プレドニンを20mg/日~15mg/日~12.5mg/日と漸減して、そこで退院・外来治療に切り替えた。

 なかなか難治かもしれないという予想で、呼吸器科外来で診てもらっていた。陰影は少しずつ軽減して、プレドニンを10mg/日~7.5mg/日~5mg/日~2.5mg/日と漸減していった。

 そしてその日の胸部CTで右中葉に陰影が軽度に残るが、プレドニンを休止して経過をみることになったのだった。軽快した時の証拠に胸部X線ではなく、胸部CTで画像を残しておきます、といっていた。(ちょっと誇らしげな感じだった)

 

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脳出血だった?

2023年12月23日 | 脳神経疾患

 12月15日(金)に外来看護師から、その日頭部MRIを撮像した59歳男性を診てほしい、と連絡がきた。放射線科医が読影に来ていて、頭部CTで脳出血の有無を確認してほしい、といっているそうだ。

 頭部MRIで右頭頂部に嚢胞状の変化があり、周囲に浮腫を軽度に伴う。拡散強調画像・T1強調画像・FLAIRで高信号を示す帯状の像(出血?)を壁在性に認めた。(中脳水道左寄りに陳旧性小梗塞巣も)

 頭部CTを行うと明らかな脳出血はなかった。患者さんにも話を聞いたが、緊急に対処する必要はなさそうなので、予定通り12月21日の脳神経内科外来受診(再診)とした。

 12月7日に内科クリニックの紹介で、脳神経内科の外来(大学病院から)を受診していた。

 

 クリニックの診療情報提供書によると、昨年8月に起立時に倒れて、顔面蒼白・冷汗があった(10分くらいで回復した)。12月にも同様の症状があり、一過性意識消失(1~2分)があった。ただ、もともと朝礼などで倒れやすい?という。

 今年の1月に循環器センターのある専門病院に紹介していた。不整脈疑いでホルター心電図や植え込み型心電図も行ったが、原因は不明だった。頭部MRIではラクナ梗塞を指摘された(部位?)。

 その後失神(意識消失)はないが、歩行時のふらつき、自分の感覚と動きが違う気がする、歩行時にぶつかることがある、という症状があった。貴科的に異常がないか、ご高診をお願いします、という内容だった。

 12月15日の頭部MRIを行って、21日に再受診となったのだった。頭部MRIはすぐにできないとしても、頭部CTくらい行っても良かったが、症状が不定愁訴的だった?。

 

 頭部CTを確認して明らかな出血がないのを確認した。患者さんはCT室を出たところで車椅子にすわっていた。

 1か月くらい前に右後頭部の頭痛が急に出現した。クリニックを受診すると、片頭痛をいわれたそうだ。実際に片頭痛持ちだったが、いつもの痛みとは性質が違っていた(発症形式も突発)。

 その時から血圧が高値(170~180)あり、降圧薬が開始された。頭痛は続いたが、1~2週間すると軽減していった。話を訊いた時はほとんどなかった。視覚的におかしな感じがして、やはり自分の感覚を動きが違う気がするという。

 1か月前に何があったかだが、脳出血を来して、しだいに血腫が吸収されたところ?。嚢胞性病変がもともとあり、そこに嚢胞内出血などが加わって、それが吸収されたところ?。

 

 12月21日に脳神経内科の外来を受診して、「脳出血を伴う嚢胞性病変」として地域の基幹病院・脳神経外科に紹介となっていた。

 

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23歳の糖尿病

2023年12月22日 | 糖尿病

 12月18日(月)は内科再来を診ていたが、内科新患が混んでいるということで2名の患者さんが回ってきた。そのうちの一人は健診で高血糖を指摘された23歳男性だった。

 1週間前の12月11日の健診で、血糖(随時)309mg/dl・HbA1c13.6%だった。普通健診結果は1か月後に出て、異常があれば二次検査となる。あまりに悪かったので、すぐに受診するよう指示されたらしい。

 症状を訊くと、7月くらいから口渇・多飲があったそうだ。もともと身長171cm・体重99kg(昨年、BMI 33)だったが、現在は85kg(BMI 29)になっている。

 両親は糖尿病ではなく、親戚(おじおば、祖父母)にもいないという。尿検査では尿ケトン体陰性だった。血糖(昼近いが空腹時)は262mg/dl・HbA1c12.8%。

 特にソフトドリンクを大量に飲んだりはしていない。甘いもの好きではなく、飲むのは水かお茶だという。若干の肝機能障害(ALT 49、たぶん脂肪肝)と高コレステロール血症(LDL-C 159)はあるが、明らかな血液濃縮を示す値はない。

 年齢的には1型糖尿病を考えるが、違うようだ。入院は仕事の都合もあり、難しいという。仕事は高速道路のサービスエリアにある飲食店に勤務している。受診するよういわれたので来た、というだけだった。

 1週間後なら来れるというので、外注の血中Cペプチドと抗GAD抗体を提出して、値によっては連絡して入院にすることにした。とりあえず、DPP4阻害薬1剤だけを1週間分処方した。

 その後確認すると、血中Cペプチド2.37ng/mL・抗GAD抗体陰性だった。肥満による2型糖尿病相当になる。12月27日に受診する(はず)ので、その時また相談することにした。腹痛はなく、再診時に腹部エコーを入れているが、膵癌発症も考えにくい。

 

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