なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

レスパイト入院ではない

2024年06月30日 | 消化器疾患

 別の内科の先生が入院で診ている94歳女性。隣町の内科医院からレスパイト入院の申し込みがあった。

 レスパイト入院は病状としては特に問題はないが(治療目的ではない)、自宅で介護している家族の介護負担軽減のためだったり、やむを得ない事情(冠婚葬祭など)で遠出をする時に病院で預かるというものだ。大抵は3日から長くても1週間くらいの期間になる。(レスパイトrespite:休息、息抜き)

 申込書には食欲不振とあり、1~2週間続いているとあった。そうなるとレスパイト入院ではなく、検査治療目的の一般入院になる。6月14日に地域包括ケア病棟ではなく、急性期病棟に入院となった。

 胸腹部CTの結果、肺と肝臓に多発性の転移巣があり、原発は上行結腸癌が疑われた。胸水・腹水もある。これは進行結腸癌の終末期状態だった。

 

 末梢静脈からの点滴が困難でCVカテーテルが挿入されて、高カロリ―輸液が開始された。退院の当てはないので、入院継続となる。もし小康状態が続く時は療養型病床を持つ病院への紹介転院となるかもしれない。

 今月末に施設入所が予定されていたが、それは当然キャンセルになった。

 

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1型糖尿病

2024年06月29日 | 糖尿病

 当院の糖尿病外来は、週1回大学病院の糖尿病代謝科の先生に来てもらっている。糖尿病外来に通院している54歳女性が、手指の痛みで一般内科の外来に紹介されていた。

 リウマチ膠原病外来も大学病院のリウマチ膠原病科から隔週で来てもらっている。紹介を受けた常勤の先生はリウマチのマーカーの提出だけして、そちらの外来へ回していた。

 

 画面で見ると糖尿病の治療はインスリン注射だけなので、ひょっとしたらと思って確認したが、1型糖尿病だった。18歳時に発症となっていた。

 現在はインスリン強化療法(超速効型毎食前3回+持効型1回)になっている。ずっとそうなのかというと、意外に今年になってからだった。

 当院が新築移転した2002年からの記録した確認できない(患者さんは発症10年目)。その時は一般内科外来で、インスリンはペンフィル30R(速効型30%+中間型70%)の朝夕2回打ちだった。

 その後2005年にはペンフィル50R(速効型50%+中間型50%)朝夕+ヒューマログ(超速効型)昼になった。2006年はヒューマログ50ミックス(超速効型50%+中間型50%)朝夕+ヒューマログ(超速効型)昼に変更している。

 そこからは担当医が何度か変わったが同じ治療だった。1型糖尿病ならばインスリン強化療法になると思われるが、この患者さんはHbA1cが7.0%前後と血糖コントロール良好な状態で推移していた。優秀な患者さんで、あえて変更しなくてもよかったのだろう。

 2010年に外注検査を提出していて、血中Cペプチドは感度以下で、抗GAD抗体は陽性だった(発症28年目の検査)。

 速効型と中間型しかなかったころからの世代としては、これまでのインスリン製剤の変遷(発展)を思ってしまった。

 

 

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血痰・肺出血?

2024年06月28日 | 呼吸器疾患

 6月24日(月)に市内の内科クリニックから58歳男性が紹介されてきた。気管支喘息で通院しているが、6月17日に喘息発作があり、短期間プレドニン少量を処方していた。血痰が続くということでの紹介だった。微熱(37.4℃)もあった。

 受診後に訊いてみると、喘鳴はないが、胸が苦しい感じがするという(酸素飽和度は正常域)。聴診でも喘鳴はなく、喘息専門の先生がchest tightnessと表現するものかもしれない。

 血痰ということだったが、痰は透明か淡黄色で、線状に血液が混じることがあるということだった。肥満があり、後で行った血液検査と画像で脂肪肝を認めた。睡眠時無呼吸の検査をしたことがあるが、該当はしなかったそうだ。

 胸部X線で右肺にすりガラス陰影が散在している。胸部CTで右肺の主に上葉・中葉にすりガラス陰影が散在していて、一部は浸潤影様になっているのが確認された。

 血液検査では白血球8100(ふだんより上昇)・CRP5.1と炎症反応の上昇は軽度だった。入院は経済的な問題もあり、したくないという。

 外来で点滴をしながら、喀痰が出たら喀痰培養(一般細菌と抗酸菌)を出そうとしたが、案外出なかった。提出をあきらめてセフトリアキソンの点滴静注を行った。抗菌薬を内服で出して、喘息の内服薬(クリニックの治療は吸入のみ)を追加した。

 3日後の27日(木)に来てもらったが、解熱して炎症反応も軽減していた。痰自体が出なくなっているという。chest tightnessはまだある。そのまま抗菌薬内服で外来治療継続とした。

 放射線科も読影レポートは「右肺にすりガラス陰影を認め、出血成分と思われる。診断:肺出血」となっていた。一側の陰影であり、感染症としての陰影かと思ったが、出血そのものなのだろうか。オーダーのコメントに血痰とは書いたが、喀血ではないので、そこまでの出血ではないと判断していたが。

 

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大腸憩室出血

2024年06月27日 | 消化器疾患

 6月25日に地域の基幹病院で消化器の研究会があったので出席した。その前日に感染管理の合同カンファランスで行ってきたので、2日間連続でおじゃますることになった。

 

 同院の若い先生が大腸憩室出血についてまとめて、文献検索も含めて発表された。司会をされていた同院のベテランの先生が、「大腸憩室出血は時間外に来ることも多く、消化器内科の勤務医にとっては非常にストレスのかかる疾患」、とおっしゃっていた。(当院は現在時間外の緊急内視鏡は行っていない。平日時間内でも紹介になる。)

 統計的には大腸憩室出血の7~8割は自然止血する。そうなると緊急内視鏡検査を行うか、待機的に内視鏡検査を行うかという問題になる。また多発性憩室で検査時に止血していたり、大腸が凝血塊で充満している時は出血源の同定困難、ということだった。

 ショックバイタルや輸血を要する病例では緊急の対応になるが、それ以外だとどう対応するか。腹部造影CTを行って、血管外漏出(extravasation)があれば、緊急内視鏡を行った方がいいという。

 止血はもっぱらクリップで行っているそうだ。EBL(endoscopic band ligation)はあまり行っていないという。行おうとすると、通常の内視鏡で出血源を同定して目印にクリップを付けて、いったん抜去してデバイスを付けての再挿入になる。

 以前は食道静脈瘤用のEVL(endoscopic variceal ligation)デバイスが使用されたが、現在は大腸憩室出血用のEBLデバイスが販売されている。

 フロアの開業医の先生から、「勤務医時代にはEBLで止血していた」、という発言があった。全例止血に成功したそうだ。司会の先生が詳しく内容を尋ねていた。

 

 当院で大腸憩室出血疑いの患者さんが来た時はどうするか。ショックバイタルの時はそのまま下部消化管出血として緊急搬送する。バイタルが安定している時は、腹部造影CTで出血の原因検索と造影剤の血管外漏出の有無を確認するかもしれないが、やはり搬送になるだろう。

 

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外傷性くも膜下出血

2024年06月26日 | 脳神経疾患

 6月24日(月)に市内の整形外科クリニックから91歳女性が紹介されてきた。

 施設(グループホーム)に、開設当初から入所しているそうだ。グループホーム入所なので、身の回りのことはできる。前日の日曜日の午前6時ごろ、振り向いた時にバランスを崩して転倒した。本人の話では、意識消失はなかった。

 右手関節部と右殿部の打撲による発赤・皮下出血があり、右側頭部にもあった。その日は特に痛みも訴えず、普通に過ごしていた。

 月曜になって、打撲した右手関節部と右殿部の痛みを訴えたため、整形外科クリニックを受診したという経緯だった。クリニックでX線撮影をしている時に2回嘔吐があり、体温が37.6℃あった。頭部外傷のためでしょうか、という紹介だった。

 当院受診時は、嘔気はなく、普通に会話可能だった。頭痛はないそうだ。施設職員の話では車酔いをするので、それで嘔吐したかもしれないという。

 打撲の触診では骨折はなさそうだった。打撲部のX線と頭部CTを行うことにした。

 その日は血便1例、血痰2例の新患があり、再診の合間に診ていて忙しかった。CTを担当している放射線技師さんから連絡が入った。「出血があります」ということだった。

 見に行くと、右側頭部に骨折があり、脳表面の数か所に小出血を認めた。左頭頂部の出血が一番目立つ。硬膜下ではなく、脳溝に及ぶのでクモ膜下出血だった。

 

 意識清明で、その日の朝食も普段通りに食べている。保存的に経過をみていいのかもしれないが、それは脳外科の判断になる。

 地域の基幹病院の脳外科に連絡すると、午後から外来で診てもらえることになった。救急搬送ではなく、そのまま施設車で向かってもらう。家族は市内在住なので、連絡して脳外科受診時に立ち会うよう伝えた。

 整形外科クリニックには、頭部CTのコピー(CDではなく印刷で)も添えて返事を出した。「御高診の通り」と書くのは忘れた。

 

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東京からやってきた

2024年06月25日 | 無題

 6月20日(木)の午後11時半過ぎに65歳男性が救急搬入された。通常の搬入とは違う搬入だった。

 この方はその日の午後8時過ぎに、市内の駅前にあるコンビニに来て、左肩が痛いと訴えた。従業員が救急要請したが、すぐに搬送とはならなかった。警察に連絡がいって、介入(聞き取り調査)していた。

 東京からきたらしいが、お金は持っていない。新幹線ではなく在来線を乗り継いで来たらしいが、無銭乗車のようだ。ポロシャツに半ズボンというスタイルで手提げ袋を持っていた。

 

 当直だった内科の先生は、警察官立ち合いのもとで診察すること、帰宅可能な状態であれば入院はできないという条件で、搬入を受け入れた。

 訴えていた左肩痛は確かにあり、関節の可動域制限はあるが、最近始まったことではないようだ。バイタルはまったく正常域だった。当直医は、意識は清明で会話もできるが、認知力に問題があるという印象をもったと記載していた(軽度の精神遅滞があるのかもしれない)。

 東京から鉄道で来ているが、どうにかして駅構内に入ったのだろう(入場券か近場への切符を購入?)。当地の駅は改札を通らなくてもホームの低い柵を乗り越えれば簡単に出られる。

 お金がなくて食べ物を手に入れられないので、コンビニに入って声をかけたということらしい。結局警察で保護することになった。都内の施設にいたという話もあり、連絡がつけばそちらと交渉するのだろう。

 

 引き取りに来る施設や親族がいれば、移動の費用はそちら持ちになる。連絡先がまったくない(わからない)場合はどうなるのだろうか。昔そういう場合はとりあえず隣の県までの運賃だけ持たせた、という話を聞いたことがある。(今どきは人権問題になる?)

 

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自己免疫性肝炎

2024年06月24日 | 消化器疾患

 6月17日に記載した著明な肝機能障害の55歳女性のその後。

 6月12日(水)に当院を受診して、翌13日(木)に医療センターの予約をとって紹介した。受診した日にそのまま入院になりましたという受診報告が来ていた。

 15年以上前から健診で肝機能障害を指摘されていた。受診時の検査でウイルス性肝炎でもなく、腹部エコーで脂肪肝でもないということで、自己免疫性肝炎(AIH)か原発性胆汁性胆管炎(PBC、エコー上は肝硬変疑い)が疑われた。

 外注検査を提出していたが、結果は抗核抗体陽性(≧1280倍)、抗ミトコンドリア抗体陰性。自己免疫性肝炎だった。

 

 自己免疫性肝炎の治療を最初から担当したのは随分前のことだ。トランスアミナーゼが200~300くらいの値だったような覚えがある。やってみて思わしくなければ、専門医に紹介するつもりでの治療だった。今なら診断を含めて最初から紹介する。

 現在外来に通院している患者さんは、大学病院などの専門医のいる病院で診断治療されて、その後の維持療法を継続している方たちだ。

 治療のプレドニン導入は0.6mg/kg/日以上で、中等症以上では0.8mg/kg/日となっているようだ。今回はもう少し多い量で使用したのだろうか。

 

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肺癌(小細胞癌)の転移疑い

2024年06月23日 | 呼吸器疾患

 6月7日に記載した肝転移・骨転移の62歳男性のその後。がんセンターに紹介して、受診報告をいただいた。

 「縦隔~腹腔リンパ節腫大と多発性肺・肝・骨転移を認めます。肺野には明らかな原発巣は認めませんが、pro GRPが7256と高値で小細胞肺癌の可能性は高いと思います。また盲腸部の壁肥厚があり、消化器内科の先生にもご高診いただきましたが、回盲部癌の可能性が高いとのことでした。

 痛み(頸部痛)の原因になっている第2頚椎転移については、呼吸停止の恐れがあり、絶対安静が必要という判断で整形外科に緊急入院となりました。」

 と記載されていた。

 頸椎カラーを付けて、当院受診の翌日に自宅の車で受診してもらったが、そのまま救急搬送にした方が良かったのかもしれない。(実際は、がんセンターは即日紹介入院は難しいか)

 

 当院に紹介した市内のクリニックの先生からは、翌週に黄疸の患者さんが紹介されて、翌日医療センター紹介となった。2週続けて大物の紹介があり、6月17日にも同じ先生から患者紹介の連絡が入って、ちょっと驚いた。

 今度は何だろうと思ったが、回転性めまいのBPPVの患者さんでほっとした。

 

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脳梗塞の所見あり?

2024年06月22日 | 脳神経疾患

 6月20日(木)に81歳男性が右半身麻痺の症状で内科を受診した。前日の19日午後8時ごろにトイレに行こうとしたら、右半身の脱力があり、歩けなくなった。

 一人暮らしの方で、翌20日午前10時に妹さんに付き添われて当院を受診した。意識清明で会話もできて、明らかな構語障害はなかった。前日の発症時よりは右半身麻痺は軽快していた。

 担当した内科の先生が頭部CTを行うと、出血はなく、梗塞巣は指摘できなかった。続いて頭部MRIを行った。MRIでもはっきりした梗塞巣は指摘できないと判断されていた。

 ちょうどその日は脳神経内科外来(大学病院から非常勤医)があり、診察を依頼した。脳神経内科外来を受診した時には(午前11時30分)、明らかな麻痺は認めないくらいになっていたようだ。

 診察しているうちにまた右半身麻痺が出現して(午前11時45分)、構語障害も認めるようになった。地域の基幹病院脳神経内科外来に連絡して搬送することになった。

 ところが、搬送前に診察すると(午後0時)、右半身麻痺と構語障害は軽減していた。神経症状の軽減と悪化を何度か繰り返したため、診療情報提供書には頻回の一過性脳虚血発作(TIA)となっていた。

 

 頭部MRIを見ると、左の放線冠~内包に所見があるように見えるが、これは所見としてとっていいのか?。

 

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肺癌

2024年06月21日 | 呼吸器疾患

 6月17日(月)に、食道癌術後で外科外来に通院している82歳男性が内科を受診した。右上葉肺癌で経過観察となっている。

 

 2016年に食道癌で胸腔鏡下食道切除術・胃管再検を受けていた。食道癌の再発はなかった。

 2022年11月に術後フォローのCTで肺癌疑いの小腫瘤を認めた。呼吸器内科を受診したが、もともと肺気腫もあり、手術は難しいとされた。(素人目にはできそうな気もするが)

 2023年5月に左上葉に浸潤影を認めて、呼吸器科外来(非常勤)で器質化肺炎と診断された。経過観察となったが、発熱・炎症反応の上昇があり、内科に入院した。呼吸器外来に来てもらっている先生と相談して、プレドニン投与を行い軽快した。その時の右上葉肺癌は少し増大していた。

 2023年11月外科外来で行った胸部CTでは腫瘤が漸増していた。2024年6月11日にも外科外来で胸部CTを行っていて、今回はさらに増大して通常よりも右側を走行する食道(胃管)に浸潤しているかもしれない。

 

 6月17日は飲み込みが悪い、食事摂取が低下している、ということだった。発熱はなく、点滴と血液検査をした。炎症反応の有意な上昇はない。

 入院を希望されるかと思ったが、入院はしたくないという。心気症・うつ的な方だが、案外生活にこだわりがある。栄養剤(エンシュアリキッド)を処方してみた。通院している外科医の外来で相談してもらうことにした。(悪化して入院になった時は診るように外科医から頼まれている)

 

 

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