なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

脊髄損傷、29歳女性の回転性めまい

2014年09月30日 | Weblog

 昨日の午後、救急室で救急当番の循環器科医がストレッチャーを3台並べさせていた。どうしたのかと聞くと、今から交通外傷の患者さんが3名搬入されるという。3名一緒というのは(人数的に)通常ないが、当院から近いところの発生で、そのうち2名は軽症なのでまとめて引き受けたそうだ。救急担当の外科医には連絡がいっていて、救急室に現れた。その後、ICTチームのラウンドに参加(初めての出席)していた。救急室に戻ると、すでに診察検査は終了していた。

 22歳男性が乗用車を運転して3名で首都圏から東北に来ていて、帰る途中だったそうだ。21歳女性が助手席に、21歳男性が後部座席に乗っていた。居眠りなのかよそ見なのか、対向車線に飛び出して、対向車のトラックに正面衝突した。後部座席の男性が前に飛び出してダッシュボードに当たって下顎骨折をきたし、四肢麻痺になった。救急隊がこの患者さんを車外に出すのに苦労したらしい。他の2名は歩行できた。

 四肢麻痺の21歳男性はX線・CTで頸椎そのものには大きな異常はなかったが、脊髄損傷が疑われ(間違いなくありだが)、大学病院整形外科に転送となった。他の2名は当院外科に入院した。運転手はほんとに軽傷で、21歳女性は造影腹部CTで、重症ではないが肝挫傷があった。

 今日の新聞には、御嶽山噴火の記事が大きく載っている。昨日の事故が、地方紙の地方版に小さく載っているかと思ったが、全く載っていなかった。運転手の22歳男性と大学病院に運ばれた21歳男性にとっては大きな事件だが。

 昨日夕方に29歳女性がめまいで内科外来を受診した。(正確には2人に抱えられて連れて来られた。救急要請してもいいのに。)頭を動かすとめまいがして嘔吐するという。昼前に歩いていて突然回転性めまいが発症して嘔吐した。嘔吐した後に少し頭重感があったそうだが、受診時はない。自宅で様子をみていたが、よくならないので、病院に連れて行ってくれる人を呼んで受診したのだった。ふだんは緊張型と思われる頭痛が月に1~2回あって、市販の頭痛薬で治まる。回転性めまいは初めてだった。感冒症状の先行はない。(筑波大学の前野先生のケアネットDVDで、自身がBPPVになったと話していて、大分若い時だったような気がするが)

 じっとしていれば、めまいは治まっていて、動くと生じる。目を開けたがらないが、頑張って開けてもらうと眼振があった。耳鳴・難聴は、ス来なくとも自覚的にはない。BPPVとしては随分若い気がする。念のため頭部CTを撮ったが異常はなかった。すでに検査が終わるとすでに午後6時過ぎだった。短期入院で経過をみることにした。今日になってもあまり症状は変わらないという。頭部MRIも撮ったが異常なし。耳鼻咽喉科の外来が午後からあるので(週に3回午後に大学病院から応援)、診てもらうことにした。

 今週は内科の若い先生が夏休みをとるのと、土曜日に日直に当たっているので、省エネモードで過ごすことにした(たぶん無理)。今のところ病棟は落ち着いていて、新規の重症入院もない。

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消化器科は頑張っていた

2014年09月29日 | Weblog

 先週の金曜から土曜の日中まで内科当番(消化器科も兼ねていた)だったが、新規入院はなかった。朝病院に来ると、土曜の夜間と日曜の当番だった消化器科医は忙しかったそうだ。先々週から上部消化管出血が続いていたとは思ってはいた。今週末にも、35歳男性と86歳男性が出血性十二指腸潰瘍で入院した。

 35歳男性は自宅でシャワーを浴びていて、めまい(presyncope)がして倒れて嘔吐もした。受診した時、起立性低血圧による症状かと思ったそうだ(眼瞼結膜の貧血ははっきりしない)。血液検査の結果Hbが12.9で、これだけだと何とも言えないが、数年前の結果が残っていて、その時はHb16.4だった。これは貧血になっていると判断され、あわてて直腸指診をするとタール便だったという。内視鏡検査をした時には止血処置をするような露出血管はなく、トロンビンの噴霧のみで処置を終えたそうだ。

 86歳男性は前日の夜間に、具体的にどこが悪いのかはっきりしない訴えで受診した。当直医は循環器科医だった。経過をみて、調子が悪い時はまた来てくださいと、帰宅になった。翌朝にトイレで倒れて、救急搬入された。日直はその消化器科医だった。搬入時には意識が回復していたので、最初は排尿失神かと思ったそうだ。検査でHbが8.7と低下していた。ふだんは脳神経外科の外来に通院していて、Hb13.3だった。やはり直腸指診でタール便だった。内視鏡を十二指腸球部に挿入すると真っ黒な穴が見えて、穿孔したのかと思ったそうだが、球部のTasche(今となっては珍しい)に凝血塊がつまっていたという。

 消化管出血以外にも、温泉のホテルから意識障害の58歳女性が救急搬入された。当直の循環器科医が搬入時の検査として、血清アンモニアも測定していて、161と高値だった。肝機能障害と白血球減少・血小板減少があり、肝硬変による肝性脳症と診断された。この場合はナイスプレーだった。

 ただこの患者さんは他県の病院に通院していて、親戚の結婚式で当県(当院の診療圏ではない)に来ていた。せっかく来たので温泉に行こうとなって、当地の温泉に来ていた。B型・C型肝炎は陰性で、自己免疫性肝炎や原発性胆汁性肝硬変の有無は不明だった。女性でもアルコール性はあるだろうが、わからなかった(後から考えると、温泉に来て増悪しているのでアルコール性だ)。

 アミノレバンの点滴静注で翌朝には意識が回復していた。消化器科医が、通院している他県の病院に電話で問い合わせると、その病院の日直はたまたま以前当院にいた循環器科医だった。アルコール性肝硬変と診断されていると教えてもらったそうだ。ごくろうさまでした。

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感染管理という仕事

2014年09月28日 | Weblog

 9月から感染管理室長を兼務することになった。感染管理委員会があって、委員長がいるので、名前だけではある。実務は感染管理専門の看護師がやってくれる。決済の書類にハンコを押すだけの仕事だが、問題が発生した時は責任者になる。数年前に感染症の勉強を始めて、今の委員長といっしょに日本化学療法学会に入った。東京で学会が開かれる時だけ行くことにしているので(本来の専門ではないので遠くまで行くのは面倒だから)、秋の東日本の会に毎年出席している。春もホテル日航東京で開催される時は行く。感染症に関心のある二人で室長と委員長という体制になった。

 これまで個人的には感染症の診断と治療の勉強しかしていなかった。ただ、感染管理というのは、また別の分野なので、改めて勉強するしかない。なにしろ看護師さんに、手洗いが雑だといわれているくらいだから。

 呼吸器科医がいるころに細菌検査室が立ち上がって、呼吸器科医はいなくなってしまったが、残った技師さんたちで頑張っている。むしろ医局の方が感染症診療については遅れている。それでも血液培養2セットというのは大分定着した(少なくとも看護師さんたちには)。感染症の治りが悪いとコンサルトされるようにもなった。まあ委員長とふたりで、ぼちぼち頑張っていこう。自分はもう年なので資格をとる気はないが。

 

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前頭洞に膿瘍?

2014年09月27日 | Weblog

 微熱・炎症反応高値の81歳男性は筋力低下ではなかった。脳神経の問題だったのかと、頭部MRIを撮ると、年齢を考慮しても目立つ全体的な萎縮があった。陳旧性のラクナ梗塞が散在していて、新鮮なラクナ梗塞(数mm)も数個あった。入院した日のふらつきというのはこれが原因だったようだ。MRAで見ると、それほど極端な狭窄はにあが、ラクナ梗塞の分布からみると、分水嶺梗塞だった。

 それにも増しておどろいたのは、前頭洞に境界明瞭な被覆された腫瘤があった。内部の陰影からは膿瘍のようだ。1ケ月続く、発熱と炎症反応上昇の原因はこれだったのか。放射線科医の指示で、頭部CT、さらに造影MRIが追加になった。患者さんに前頭部痛がありますかと聞いたが、はっきりしない。他の副鼻腔に炎症像はない。耳鼻咽喉科は大学病院からの応援で週3回午後からとなっている。コンサルトは来週だ。内科クリニックでのクラビット・フロモックス・クリンダマイシンは効いていたのか。クリニック通院時のCRPは3回の検査で8~9だった。当院受診時も9だったが、その後抗菌薬なしでもCRPは5になって、さらに2.6になった。わかったからには、1週間抗菌薬(ユナシン)を投与することにした。頭蓋骨を破ってはいないが圧排していて、前頭葉もわずかにへこんでいる。腫瘍の可能性はあるのだろうか。

 金曜日と土曜日の日中までの内科当番だったが、特に新規入院の連絡はなかった(ラッキー)。「極論で語る神経内科」を読んでいる。「極論で語る」シリーズ化決定と帯にあった。具体的な治療を記載する本ではないので、副読本的なものだが、診療のコツを指摘してくれる良書だと思う。たぶん、全部そろえることになる。「プライマリ・ケア医に贈るパール563」を購入した。ティアニー先生の本というだけでアマゾンで注文した。届いてみると、「Current essentials of medicine」の訳本だった。原書と訳本がそろってしまったが、原書は飛び飛びにしか読んでないので、この機会に通読することにした。

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血液疾患の勉強

2014年09月26日 | Weblog

 「誰も教えてくれなかった血算の読み方・考え方」をまた読んでいる。2011年に出て、3回感激して読んだが、その後通読はしていなかったので4回目の通読になる。「レジデントのための血液診療の鉄則」を購入したのと、久しぶりでマルクをしたのがきっかけになる。

 幸いに急性白血病で救急搬送というのは最近ないので助かっている。自分で診断するというよりも、末梢血検査(自動計測)で異常が出ると、、血液専門の技師さん(かつていた血液専門医といっしょに鏡検していた人)が目視で確認して、「芽球が出ています」と報告が出て判明する。

 著者の聖路加国際病院血液内科・岡田定先生は、研修医必読の医学書を多数出されていて、岡田先生の本が出れば全部「買い」だと思う。万年研修医のつもりで勉強していこう。

 今日は外来がないので、午前中に病棟を診た。昨日病棟看護師さんから、もう末梢からの点滴は無理と言われていた膵癌終末期の患者さんにCVラインを入れた。昨日は誤嚥性肺炎の90歳女性と気管支喘息発作の68歳女性が入院した。肺炎の患者さん(認知症でグループホーム入所中)は解熱して、穏やかな顔で会話できた。喘息の患者さんは心房細動・心不全で循環器内科に通院しているが、検査の結果心不全の悪化はなく、以前からあった喘息症状の悪化と判断された。デカドロンの点滴静注で、まだ喘鳴は入るが、昨日よりは軽減していた。前々日からの発作なので、喘鳴が消失するまで3-4日から1週間はかかりそうだ。

 今日は今のところ新規入院の依頼はない。今日と明日は内科の当番だが、さて何人入院があるか。昨日は慢性便秘薬アミティーザの講演会に行ってきた。あまり使っていなかったが、すでに発売2年経っていて長期投与できる。安価な酸化マグネシウムに比べてどうなのかとも思うが、ある程度は使用して感触をつかんでおきたい。

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筋痛なし?

2014年09月24日 | Weblog

 内科クリニックから81歳男性が体重減少・微熱・CRP上昇で紹介された。白血球数は正常域でCRP8~9が続いていた。抗菌薬をいろいろと試したようだが、効果はなかった。処方されたのは、クラビット・フロモックス・ダラシンでこの順に出ていた。

 そもそも感染巣を示唆する症状はない。肺炎・胆道感染・尿路感染(前立腺炎を含む)らしい所見はなかった。関節痛もなく、筋肉痛もなかった。感染症であるとすれば心内膜炎だが、心雑音や感染性塞栓はない(血液培養は提出)。白血球数は正常域で、CRPは9、血沈が112だった。肝機能障害・腎機能障害はない。このかたは高血圧症と糖尿病があって、HbA1cが7.6%だった。糖尿病薬としてはダオニール1.25mgが以前から処方されていた。今時としたは古典的?

 これで四肢近位筋痛があれば、リウマチ性多発筋痛症でぴったりだが、何度聞いても痛くないという。把握痛もない。両手を上に上げられた。しゃがんだ姿勢から立ち上がるのはちょっとひどそうだが、痛みというよりは筋力低下だった。CKは正常域。

 こんなPMRはあるのだろうか。ある程度発症から時間が経っていて、筋痛をあまり覚えていない経過というのもあるらしいが、病名にそぐわない。外注検査を出したこともあり、結果が出るまで1週間経過をみた。CRPは5になっていたが、症状は変わらない。これは何だろうか。

 

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低ナトリウム血症ー多発性筋炎

2014年09月22日 | Weblog

 昨日(日曜日)の日直で2名入院して、急性冠症候群疑いの患者さんを搬送するというバタバタしている時に、59歳女性が食欲不振を訴えて受診した。多発性筋炎で神経内科外来に通院している。プレドニン10mg/日を内服。8月に食欲不振・倦怠感で入院して、9月になってからも食欲不振を外来を受診して、点滴を受けていた。点滴希望ということで、点滴をして帰宅予定だった(調子が悪ければ明日の神経内科害外来で相談して下さいと)。

 点滴している時に立ち上がろうとして(普段から歩行時は杖使用)転倒した。頭部打撲で皮下血腫によるコブができてしまった。当直は消化器科医で、頭部CTを検査して骨折や頭蓋内出血はなかったが、経過観察のため短期入院とした。

 夜間に呼吸苦を訴えて酸素吸入が開始されていた。もともと心房細動があって心不全になってもおかしくない。胸部X線と血液検査を行った。胸部X線で心陰影拡大と肺うっ血を認めて、BNPが480と上昇していたのは予想通りだった。血液検査でCKが1000とこれまでの値と比べて上昇していた。他の筋源性酵素も上昇していた(心電図は軽度に頻脈性の心房細動で虚血性変化はなし)。白血球数増加とCRP上昇もあった。多発性筋炎自体の悪化としていいのかもしれない。それにも増して、血清ナトリウムが108と著しく低下していた。血清カリウムも2,2と低下している(CKの上昇の原因になった可能性あり)。意識は昏睡ではなく、ぼんやりした印象はあるが、会話はできた。

 この方の夫が心房粗動で循環器科に入院して、今日退院になる予定だった。夫に事情を聞くと、入院中に妻からメールが来たが、内容がおかしかったという。夫の不在で食事の準備や服薬がきちんと行われていなかった可能性もある。このナトリウム値で会話ができるのは急性というよりは亜急性に低下したと推定された。降圧薬としてフルイトランが入っているのも影響しただろう。

 神経内科医(ひとり科長)は今週夏休みをとっていて1週間不在だった。大学病院から応援の神経内科医(毎週来ている)に相談して、神経内科医が複数いる(循環器科医も複数、リウマチ膠原病担当医もいる)地域の基幹病院に治療をお願いしてもらった。電話したのも以前当院に外来診療の応援に来ていた先生なので転院の話はスムーズにいった。

 後で当院の循環器科医と相談すると、ナトリウム・カリウムの補正と副腎不全疑いのステロイド点滴静脈注に加えて、サムスカがいいのではないかと言われた。たしかにこの病状にはぴったりかもしれない。

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心筋梗塞と急性冠症候群

2014年09月21日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ていた。さっそく前胸部痛の70歳代男性が救急搬入された。心電図でⅡ・Ⅲ・aVFでST上昇があり、急性心筋梗塞(下壁)とすぐに診断された。ちょうど循環器科医が心房細動・心不全で早朝に入院した患者さんを診に来ていた。胸腹部CTを追加すると腹部大動脈瘤もあった。心臓センターのある専門病院に連絡すると、ドクターカーで迎えに来てくれた。

 その後も消化器科で診ている肝細胞癌末期の患者さんが食欲不振で受診して入院とした。21歳男性が中等度以上の喘息発作で受診した。小児喘息がいったん治まってまた再燃していた。治療は受けていないが、週に2-3回は症状があるという。酸素飽和度は90~92%(室内気)。酸素吸入を開始して、酸飽和度94~95%にしてデカドロン8mgを点滴してから、ネブライザー吸入を行った。症状は軽減したが、続いていた。明日仕事があるので入院はできないという。古典的なネオフィリン250mgも点滴静注も追加したがもうひとつだった。ソルメドロールも追加して喘鳴はほぼ消失した。ステロイドの使い過ぎと言われそうだが、喘息発作が起こったということは治療の失敗なので(この方は無治療だが)、発作時には思い切った治療する方針にしている。発作が治まってから、漸減すればいい。仕事で受診できるのは3-4日後というので、プレドニン30mg/日内服を3日分処方して、シムビコート吸入(2吸入を2回)とテオドール400mg/日とシングレア10mg/日も出した。もちろん今晩悪化すればすぐに再受診してもらう。

 日直も終わろうかという時に、64歳男性が急な心窩部痛(正確には胸部と腹部の間)と嘔気で受診した。圧痛はなかった。心電図ではもともとQRSがワイドで心室内伝導異常があった。ST-T変化が読みにくい。前回の心電図を比較すると、V1-3で波形が変化していた。1時間前からの症状で受診したが、検査しているうちに症状は軽減してほとんど消失した。この患者さんは内科の若い先生が診ているが、糖尿病でなんとインスリン強化療法で計200単位以上使用していた。それでもHbA1cが10%台で経過していた。高血圧症・高脂血症・高尿酸血漿もあった。過去に医大病院で僧帽弁と大動脈弁の置換術を受けていた。

 朝に診てもらった循環器科医が夕方からまた病院に来ていたので相談した。やはり心電図は読みにくいという。血清クレアチニンが1.8と上昇していた。単純胸腹部CTで見ると、冠動脈3枝が石灰化して、特に前下行枝がLMTからガッチリと石灰化していた。内腔は分からないが、狭窄していると推定される。急性冠症候群として緊急に心カテのできる病院で経過を見るのが好ましいと判断された。患者さんと奥さんは迷っていたが、結局承諾して緊急搬送することになった。休日の受け入れは難しいと思われた医大病院に連絡すると、意外にあっさり受け入れてくれた。

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汎血球減少症ー骨髄異形成症候群?

2014年09月20日 | Weblog

 昨日は久しぶりで骨髄穿刺をした。一昨日外科の先生から相談を受けた。大腿ヘルニアで手術をした82歳の男性が術後に肺炎・胸膜炎をきたしたが、それは何とか軽快したという。ただ、入院時から汎血球減少症があり、原因がわからないので診てほしいという。

 近いうちに退院できるならば、がんセンターの血液科の外来に紹介するのがベストですと伝えたが、しばらくは入院になる見込みという。外科病棟に患者さんを診にいくと、点滴はしておらず、食事摂取も7割くらいと、そう悪い状態ではない。手術と肺炎の治療をしている間ベット上臥床が続いたので、歩けるようになるまで、少しリハビリを要するようだ。

 Hbが7g/dl、白血球数2500~3000、血小板数8万だった。白血球分画は正常域で芽球はない。入院前の外来を受診した時の検査結果もあった。ここ数カ月でしだいに汎血球減少症になっていた。それ以前も貧血があって、白血球減少と血小板減少を伴うようになったという経過だった。多少脾臓が大きいような気がしないでもないが、肝機能障害はなく、肝硬変ではない。感染症のためでもないし、DICに陥っているわけではない。血清鉄は低下して、フェリチンは上昇していた(330)。正球性貧血で、血清ビタミンB12と葉酸も検査されていたが正常域だった。腰腹部CTで見るかぎり、明らかな腫瘍やリンパ節腫脹はない。

 骨髄疾患と思われる。追加した網赤血球数は2%だった。これだけでは何とも言えないが、再生不良性貧血は否定的だ。年齢的には骨髄異形成症候群が疑われた。以前、循環器科医に汎血球減少症の患者さんの検査を依頼されて、MDS疑いで骨髄穿刺をすると多発性骨髄腫だったことがある。血清・尿免疫電気泳動、IL2受容体抗体も合わせて提出した。血液疾患に特別詳しいわけではないので、その分野の検査を全部出してしまうことになる。

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シンナー中毒

2014年09月19日 | Weblog

 4日前の敬老の日に救急搬入されたシンナー中毒の48歳男性は、18歳から30年にわたる既往があった。それなりに仕事もしていたようだが、失業中にまたシンナーに戻ってしまうらしい。付いてきたおじさん(といっても年齢は近い)によると、警察もシンナーではかかわったりしないそうだ。食事がとれなくなり、動けなくなっての救急要請だった。血清クレアチニンが6.78mg/dlだったので、要請する人がいなかったら、数日後に自宅で死亡していたと思われる。

 救急で診た内科の若い女性医師が主治医となった。代謝性アシドーシス(尿細管アシドーシス)・低ナトリウム血症・低カリウム血症を呈していた。血糖が200ちょっとで高いが、HbA1cは正常域で身体の危機的状況に対して副腎が反応しているのだろうか。ぼそぼそと小声で簡単な会話はできた。脱水症だったらしく、点滴を継続すると低タンパク・貧血が明らかとなった。簡単に言うと飢餓状態だ。

 主治医がトルエン中毒について調べて、電解質の補正を行った。低リン血症があって、どうしましょうと聞かれたが、そもそも血清リン値を気にしたことがない。注射薬と経口薬でリン製剤があるという(当然院内にはない)。とりあえず、リンを含む輸液で経過をみることにした。初めて診たし、今後一生診ることはない貴重な症例だが、診たいかと言われるとそれはない。

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