本の紹介

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明治11年の「大背美流れ」を題材に、鯨とそこに住む村人たちの生きざまを短編集にまとめたもの。小説を読まない小生が解説するのも憚られるが…村を潤す、そして唯一の生活の手段である鯨漁を守るため、船上や岸の区別なく厳しい戒律が定められていた。藩の借金をも肩代わりするほどの経済力は村を藩から治外法権の場としていたために、規律を破ったものは時に村人の手によって葬られた。だが、不漁続きのその年、「背美の子連れは夢にも見るな」という禁忌を破ったことが原因で100名以上の死者、行方不明者を出す大惨事がおこり、太地の長い捕鯨の歴史は幕を閉じる。船上でのタブー破りは自らの命で償うほかないのだ。
だがそこには、開国後日本近海で行われるようになった米国の捕鯨により、日本の沿岸捕鯨の漁獲高が急速に落ちていった背景がある。国際化は数百年間守り続けてきた掟さえも破らせてしまう強大な力を持っていた。それに抗いきれなかった文化、民の悲哀と歴史の必然。もう一つの見方としては、米国の捕鯨は主に鯨油を取るために行われた。これは極めて機械的な行為で、洋上で捕獲された鯨は必要な鯨油を採取させたのちは海洋投棄された。必然的に生息数は激減。一方漁民は鯨のことを「夷様」と呼び敬った。もちろん鯨は余すことなく利用された。何が介在しているかお分かりになると思う。西洋の超合理的思想が、日本の一つの神を葬り去る瞬間、それまで漁民を守ってきた神が、西洋と同じ手法をとった鯨組に怒りの刃を向けた。こんなところかな。
さて今年も一年間お世話になりました。このブログは来年で足かけ9年続いたことになります。「空手のことはあまり書いていないね」とお叱りを受けますが、空手もそこそこがんばってやっています。機会あるごとに掲載したいと思います。また今年からface　bookも始めました。まあ気張らずに頑張っていきます。来年も皆様にとって良い年でありますように。

今年のベスト3

GUSOKUⅠのリクエストにより今年のランキング。
今年読んだ本のベスト3
1位「日米開戦の人種的側面・アメリカの反省1944」
2位「オリバーストーンが語るもう一つのアメリカ１，２，３」
3位「太平洋の試練１，２」
奇しくも三冊とも著者が外国人。国際関係、近現代史を専攻する大学生必読の書と言ってもいいのではないか。

本に関していえば、地下鉄の中で本あるいは雑誌、新聞を読んでいる方を見かけることがめっきり少なくなった。いわゆる活字離れと言われる現象だ。お分かりの通りそれに代わってスマホを操作されている方が断然増えた。だが、多くの方は情報収集ではなく友達とのメールやゲーム等に興じているのが実態だ。先日も小生の隣にいた歳の頃なら60歳は超えていられていそうな男性がＤＳでゲームをされていた。そして今朝も同じくお隣の初老の男性がソリティアをされていた。それも悪いとは言わないが、是非若いうちに読書の習慣を身につけてもらいたいと思う。マイナスになることは一つもない。家が本だらけになる以外には。

今年買ってよかったものベスト３
1位「テーラーメイドRBZ２」3万円。今年買った最も高額の私物でもある。しかし、飛距離は出るものの平均ストロークは旧ドライバーの方がわずかながら良い。これがゴルフの難しいところ。来年はこれでクラチャンを獲る。
2位「冷蔵庫」昨今の家電の省エネ性能は目を見張るものがある。購入によって明らかに電気料金が下がった。これで氷を買いに行かなくても済むのが最大のメリット。
3位「エコインク」本当にエコ。満足度満点。
冷蔵庫を除く2点はネット購入。時代を感じる。

来年は家人の車を入れ替えなければならない。走行距離は17万キロを超え、エンジン、駆動系から常時異音が聞こえるほか、外装にかなり錆が…いや朽ちかけている。もちろん格安中古車になると思うが、相応の出費を覚悟しなければならない。ONOFFの新しいアイアンはお預けだろうな…。

サピカ

サピカがバスで使用できるようになった今年6月以降ウイズユーカードをやめサピカを利用している。ウイズ…は整理券の投入とリーダーへの差し込みの二つの作業が必要になるほか、リーダーの読み込みや、残金が足りなかったときにの追加カードの挿入等にも時間がかかり駅なのど終点降車時混雑する大きな原因になっていた。一方サピカは読み取り部にカードを乗せるだけで通過でき、時間短縮は明白だ。お分かり通り、朝の１分２分は非常にデリケート。先日も小生の前にいたご婦人が小銭の用意なしに残金の少ないウイズ…を使用したため、ご婦人がバッグの底から財布を探し出し紙幣を両替して降車するまで全員が待たされることになり、いつもの時間の地下鉄に乗り遅れたことがあった。そんなトラブル防止や、降車時間の短縮に効果を発揮してくれると期待していた。ところが、小生が乗るバスでサピカを利用している方は多分１割に満たないのではないか。降車時はウイズ…に開けられるパンチの音が空しく響くのが現状だ。
普及の障害がプレミアムの多寡だったとは。たかが500円されど。小生は時間短縮がそれ以上の価値があると判断して使用していたが、やはりお得感はそれを勝っていたようだ。札幌市は使い捨てのウイズ…の廃止により4年間で26億円の経費削減効果が期待できるとし、理解を求めている。利便性の向上や環境への配慮を前面に出されるとなかなか大上段で反対もできないだろう。だが「はい分かりました」と言いたくないのも市民の率直な感情として理解できなくもないが、小生が地下鉄に遅れることがなくなるように、ここはどうかひとつご皆様理解を。

本の紹介

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1700年代中頃の話である。細菌や感染症の知識の欠片さえない中、経験則でだけで疾病の大系化や外科治療法を確立したことは驚嘆。水銀治療など現在医学から見るととんでもないことをしていたと思うが、何せ250年前、瀉血（血液を抜く治療法）が当たり前に行われていた時代である。致し方あるまい。それにしても麻酔なしでの帝王切開や手足の切断などの激痛は想像したくないほど。その時代に生まれなかったことを感謝する。ジャック・ハンター氏はジキル博士とハイド氏のモデルになった人物ともいわれる。

防御

攻撃に秀でた選手は往々にして防御に弱点がある。逆もまた真なりなのだが、レベルの高い攻撃をしておきながら防御のテクニックが稚拙という選手はよく見る。実社会でもこれは当てはまるケースも。自身のデフェンス力の弱さを押し隠すためついつい攻撃的な言動に走る人間は実に多い。貴方の身の回りにもきっといるだろう。そんな時は意を決して徹底抗戦の姿勢を見せるとあっさり防御力の弱さを露呈するものだ。ただ上司ならこのあと必ず意趣返しがある。もちろん10倍返しで。この作戦を実行する際にはそれなりの覚悟が必要。彼の人生も多分攻め一辺倒で守りに入ったり、フルガードで相手のパワーの消耗を待つ経験などなかったのではないか。攻撃のシナリオは作り易いが、受け返しやバックステップはことさら不得手なようだ。
徳洲会グループから現金授受を都議会で追及されたが終始説得力のある説明で振り切ることができず、百条委員会設置を前に昨日ついに辞任を表明した。相手の急所を一撃で仕留める攻撃力は一体どこに行ったのだろうか。知事の心理状態は答弁の際に耳から滴り落ちる大量が如実に物語っていた。すでに負けが決まっていた。同日市民団体が東京地検に公職選挙法違反の容疑で告発状を提出した。五輪誘致の立役者から一転疑惑の人に。「お・も・て・な・し」ならぬ「う・ら・は・あ・り」。運命は皮肉なものだ。

簡単携帯

79歳になる母親が携帯を買った。言っておくがギャグではない。出先で何かあった時の緊急連絡用のためだ。先日も家のドアのカギを忘れて外出したため、家人とともにその対応に大変な目に合わされた。そこで近所にAUショップが開店した折に、簡単携帯を購入してもらった。ショップに行く前は「持ち歩くのにじゃまになる」など言っておきながら、いざ契約の段になるとすでに色を決めていたなど満更でもなさそうだ。ところが、簡単と名がついているがその操作方法は母にとってはかなり難解、その度に小生が呼ばれることになる。だがだが、小生とて見事な電子機器難民、その簡単な操作が分からず最終的にはGUSOKUⅡの出番とあいなる。簡単な携帯など存在しない。断言できる。

本の紹介

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生物の発生は閉鎖系の地球内で偶然起こった出来事ではなく、地球外から生物が運ばれるパンスペルミアによる。長いスパンで起こる伝染病の発生も宇宙塵に含まれる生物に由来する。昨日掲載されたふたご座流星群からも生命の欠片が含まれたいるー言わんとしているところはこんなところ。それではその原始的生物はどこで発生したのか。アミノ酸が結合してタンパク質を形成するにはありえないような偶然の連続が必要。それは十分分かるが、だからと言ってそれを外に求めることは少々乱暴かな。ここまで行くと科学ではなく宗教や信念といった形而上の話になってしまう。

劇的

先週開催された国内男子プロ最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」。プロ12年間で１勝もできなかった宮里優作選手が初日からのリードを守り抜きプロ初優勝を飾った。しかし、ゴルフの神様はよほど劇的な展開がお好きなのだろう、最後の最後に最大の試練と歓喜をお与えになった。17番ロングでバーディーを奪い3打差で迎えた最終18番パー3のショートホール。4番アイアンで放ったボールはアドレナリンのためか、予想以上に伸びグリーンを横切り左ラフとの間に止まった。ピンまではおよそ15メートル。逆目の芝が若干に気になるものの、プロの技術をもってすれば悪くてもボギーで上れることは確実。だが、宮里選手はピッチエンドランのアプローチをトップさせボールはグリーン反対側ラフまで落ちた。極度の緊張がクラブを持つ手の動きを狂わせたのは明らかだった。第3打目の選択肢は二つあった。単純に低いボールでピンを狙う方法と（ピッチエンドラン）、ロブショットで絡ませるシナリオ。前者はエッジからピンまでの距離が短いため距離感をつかみにくい。そのためダボになる可能性もある。一方プロであればロブは距離感を出しやすくボギーで上る可能性もあるが、ミスした時のケガはピッチエンドランの比ではない。2位とのストローク差を考えれば常識的にピッチエンドランを選択する。伏線はその前の１打。手が動かなくなる自覚があったはずだ。逡巡と葛藤、重圧で混乱する中で決断したのは、緊張で手が自由にならない危険性のあるショットを避け、振り幅が大きいため、イメージ通りに体を動かせる確率の高いロブ。
少し厚めに入ったヘッドは土の上をわずかに滑りボールは柔らかい放物線を描きピン手前3メートルに落ち、そこからまるで何ものかに導かれるかのように大きなフックラインを描いてカップに吸い込まれる奇跡的なチップインパー。観客の大歓声と祝福の拍手の嵐の中、プレッシャーから開放され膝から崩れ落ちる姿が印象的だった。さて、このストーリー、何人の観客が理解できたのだろうか。
宮里選手は小生の所属する倶楽部を擁するPGMの契約プロ。来年はぜひ飛躍の年にしてもらいたい。

右から左

ムーディー勝山という芸人さんがいた、お笑い番組で人気を博したが一瞬で消え行った。俗に一発屋芸人と言われる方だ。一般的な50代なら知らないのが健全、よく知っているといわれた時には反応のしようがない。知らない方は受け流していただきたい。その彼の唯一のウケネタ「右から来たものを左へ受け流すの歌」というのがあるが、今日の出勤途中の地下鉄の中でなぜか急にその曲を思い出した。会社に着いて合点がいった。今日は期末手当支給日（ボーナスではない）。まさに右から左へ、会社から目の前を通り過ぎ支払先へと消えていく。「止まることをしない…また旅人なり」と言ったところか、侘しいね～。

強行採決

「ねじれ」の対義語が「強行採決」なのだろうか。自民と民主が衆と参のそれぞれの院を支配していたため法案が全く通過採決することができない、国政がねじれた状態を解消し、国を前に進めることが最重要課題だと主張した自民党が衆参院選挙で圧勝した。その途端に強行採決とは。特定秘密保護法案に過敏に反応するつもりはない。戦前の治安維持法のように圧政の道具として使用されることはあるまい。しかし、スキーム透明化が法案提出した政党の最低限の責任。付け焼刃的な説明ではみんなや維新のみならず、自民に投票した有権者でさえ納得できるはずはない。石破幹事長がブログに書き込んだ「デモはテロと同じ（要約）」は、天に唾吐く行為に他ならない。国会議員は、有権者の負託を受け国会を運営しているだけに過ぎず、改めて言うまでもなく主権は在民にある。幹事長は、国会周辺のデモを、反自民の組織的行動だと考えているようだが、各種世論調査でも秘密保護法案賛成は少数派で、慎重論が大勢を占める。自民党に投票した多くの有権者がNOと言っていることを認識するべきだ。
もう少し時間をかけ国会を運営していたなら、維新やみんなの一部も賛成に回り、世論やマスコミもここまで大々的なバッシングには走らなかったはずだ。公聴会翌日の衆院強行採決はその最たるもの。これが選挙で圧勝した自民の驕りの現れなのか。有権者はこんな手法を取らせるために投票したのではないことに自民党は早く気付かなければならない。

本の紹介

評価＝
文章のテンポが非常に良くさらに博識。知識の豊富さゆえ本線から幾度となく逸脱するが、その脱線加減のよさも心地よい。再読したい箇所にはページに折り目をつけるのだが、この本にはかなりの折り目がついた。その一部を。アインシュタイン「パイプをふかすことは、人生の諸問題において冷静で客観的な判断を下すのに役立つ」。フロイト「葉巻を吸うという素晴らしい習慣をやめたことで、私の知的関心が大いに低下した」。我田引水で申し訳ないが。各紙大絶賛は肯ける。

感動

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　写真＝黒インク注入中

インクジェットの価格の高さに不信感を抱いた方も多いのではないだろうか。数年前にネット買ったプリンターの価格は7000円ほどだったが、カラーとブラック2本のインクを量販店で購入すると約4000円もする。プリンター購入時にインクの価格を考える方はいまい。メーカーとしては本体価格を抑えても何度か純正カートリッジインクを買わせることで十分利益が出ると考えたのだろう。まんまと一杯喰わされた格好だ。今年も年賀状の季節がやってきたが、インクの残量が残り少ないことで出費を覚悟していたが、なんと社外品ではあるが安価な注入タイプがあることを知り早速注文。多少の色むらは納得していたが正規品と比較して全く遜色なし。作業もいたって簡単、不器用な小生も時間もかからず終えることができた。しかも価格は約1/8（ブラック）。感動ものですよ。

缶詰旨し⑨

先日身欠きにしんの小骨をご丁寧にも一本一本外して身を食べているGUSOKUⅡ姿を見て思わず噴き出した。その後小生が丸ごと食べることを教えてやっと納得した次第。その時不可思議なことがもう一つ。小生の前には、身欠きにしんとそしてサバの刺身が。「炭水化物と炭水化物かよ」ならぬ青魚×青魚。DHA×DHA。斬新的というか挑戦的、奇想天外というか。まあ嫌いではないので全ていただいたが。さて今回は根室で加工販売されている「サンマの水煮」。本場で造られているためまずいわけはない。美味しくいただいた。
これを言うのを忘れていた。リアル食い倒れNが慰労出張で根室に行った際のお土産。ありがとうございます。

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警察24時のように「警察ヨイショ」の感は拭えない。だが、これら一連の事件にあっては、犯人側からの視点、あるいは対極にある思想から分析された本は多く出版されているものの、公安側からものは極めて少ない。情報の秘匿を旨とする組織ゆえ公にされることはなかったというのは当然のこと。しかし、当時捜査の最前線にいた警察官が退官されたことと、著者の情熱が堅い口を開かせたのだろう。これは大いに評価できる。1.5倍の分量であれば星は5個だったが。