photo by gusoku1
昭和29年初代ゴジラが東京を襲った際、ゴジラの体長50メートル以上の建物といえば高さ65メートルの国会議事堂くらいではなかったか。東京湾から上陸したゴジラはコンビナート群を破壊し、下町の木造建築家屋を容易に踏み潰して前進した。夜間の遠景、あの高さ(大きさ)が恐怖の象徴だった。しかし、時を経て今の世にゴジラが現れたら…。ご想像の通り、あれからゴジラの体長を超えるビルがまさしく雨後の竹の子のように立ち並び、先日新宿に現れたゴジラもビル群に囲まれ頭しか出ないありさまだ。なにせ都内には、高さ170メートルを超える構造物が約60棟。50メートル以上ともなると数千棟。これを破壊し尽くすというのは、さすがゴジラであっても、ゆるくないはず。
ところで、初代ゴジラで破壊された銀座のビルの管理会社が、映画使用無許可であったことを理由に、一時期東宝との関係が悪化したそうだ。一方破壊された他のビルの業績がその後好調になったため、他の管理会社から「次回はぜひ破壊して」とオファーが入ることもあったという。しかし札幌を舞台とした作品では、破壊された銀行がその後経営破たんするという何とも言えない皮肉も。
さて今回は、街の破壊ではなく観光の目玉としての登場。新宿の観光大使の大役も仰せつかったとのこと。久しぶりの帰国だが、やはりゴジラは米国ではなく日本の街が似合う。