1900年代初頭、東京帝国大学の教授がダシ昆布の中からうま味成分を発見、甘味、塩味、辛味、苦味、酸味に続く第五の味覚として認知された。うま味成分は当初昆布に含まれるグルタミン酸だけだったが、その後、鰹節から抽出されるイノシン酸、シイタケからグアニル酸もうま味成分であると確認された。それぞれ和食の出汁として使われるもの。この発見がいずれも日本人だったことも肯ける。だが欧米の研究者からは、懐疑的な見解が出されていた。それはそうだろう、昆布の味などこれまで経験のない欧米人にとって「昆布からとれたうま味」と力説されててもピンとくるはずもない。しかしその後、味蕾にグルタミン酸を感知する細胞があることが分かり、うま味は正式に味覚として認められることになった。ご存じだとは思うが、「味の素」の主成分はこのグルタミン酸。美味くないはずはないのである。ところで、先日米国の大学で第6の味覚が実験で確認されたと発表された。それはなんと「脂味」。人間は脂身を食べたときは無条件で「旨い」と感じるということらしい。今「らしい」と表現したが、いや自身大いに賛同する。あの多幸感は筆舌に尽くしがたい。
大型肉食動物の捕食対象だった体が小さな人類は、高カロリーの食物をとることにより体を大きくし交戦能力を高めていった。脂がうまいと感じるのはそのための体がとった戦略と考えていいだろう。逆説的に、その機能を持たない一部の人類は淘汰されていったのかもしれない。かくしてその戦略が的中、逆に肉食獣を捕食し人類はついに食物連鎖の頂点に立った。だが、悲しいかな頂点に立った後も、脂を摂り続けてしまったがゆえに、肥満や高脂血症などの余計な疾患に悩まされることに。肉体の内からの欲求に抗うことは容易ではない。
大型肉食動物の捕食対象だった体が小さな人類は、高カロリーの食物をとることにより体を大きくし交戦能力を高めていった。脂がうまいと感じるのはそのための体がとった戦略と考えていいだろう。逆説的に、その機能を持たない一部の人類は淘汰されていったのかもしれない。かくしてその戦略が的中、逆に肉食獣を捕食し人類はついに食物連鎖の頂点に立った。だが、悲しいかな頂点に立った後も、脂を摂り続けてしまったがゆえに、肥満や高脂血症などの余計な疾患に悩まされることに。肉体の内からの欲求に抗うことは容易ではない。