権力闘争の果てに敗れ去り失意のうちに死んでいった者たちは怨霊となり復讐する。よくあるホラー映画のシナリオだが、現存した天皇が国体(多分当事はそのようにいわなかったと思うが)を崩壊させるがため鬼になる。なかなかエグイ。しかし、昭和に入ってからも鎮魂の祭祀が行われていたとはさすがに知らなかった。この本は旧華族が書いたことで出版が政治的に許されたのだろうか。なかなか踏み込めない内容である。
冷夏を予想させる一週間前までの天気だったが一昨日から気温は急上昇、昨日はついに札幌で今年初の真夏日を記録した。夏といえば…真イカ、という訳ではないが函館に。イカール星人の襲撃も受けることなく夏イカを堪能する。もちろん生き造り。写真は活タコ、これもまた旨し。これより帰札、仕事は山積み。
子供の頃、米粒がついている茶碗を下げようものなら「お百姓さんは米一粒作るのに八十八回の手間を掛けている。罰当たりな食べ方をすると目が潰れる」と明治生まれの祖母に諭されたものだ。それでは茶碗一杯ではどれだけの手間がかかっているのか、途中で計算を断念した。昭和初期の食うや食わずの時期を経験しているからだけではない。多分、血の中に連綿と綴られた飢餓に対する恐怖が祖母にそういわせているのだろう。その後時代は下りインプットされていた食に対する本能は高度成長期に消え、バブル期を経て現在はその残滓も確認できなくなった。これは日本人が恥に対する価値観の変化と同位相の気がする。セブンイレブンジャパンが加盟店に対して商品の割引を制限している問題で、公取委は独禁法を認定し排除命令を出した。しかしそれを受けたセブン側は、廃棄する食品の15%を金銭補償してあくまでも値下げ販売を阻止する姿勢を崩さない。米国で値下げにより企業体力をすり減らした同じ轍を踏まないというのがその理由らしい。違う視点から見ると、利益確保のための食品廃棄は正当な手段。無恥とはいわないがかなり強引な手法に見える。しかし今回はフランチャイズ店を守ることが問題の本質ではなく、いかにして食品の無駄をなくし、店と消費者に利益を還流するか、これが結果として店を守ることに繋げるーということではないのか。またそれが食料自給率が40%にも満たない国で生きる企業倫理であり、消費者の支持を得る純粋な方法だと思うが。どうも、履き違えた問題は修正しにくいようだ。神は言われた「食い改めよ」と、違ったか。
今年の11月からNHKで放送される司馬遼太郎著「坂の上の雲」。実は録画機能がついているテレビを買ったのもこの番組を見たかったから。確か「この作品だけは映像化するな」というのが司馬氏が残した言葉だと思ったが、どのような経緯で放送されることになったのか。まぁNHKも威信をかけて作品を作ると思うが、203高地の攻防、奉天会戦、日本海海戦など壮大なスケールをどのように表現するのか。この本は「坂の上の雲」から抽出したエキスを凝縮したもの。便乗とはあえていわないが、しかし話の広がりが不十分。
長らく人間の意識は心臓にあると考えられてきた。絶えることない鼓動が人間そのものであると。「心が痛む」などはまさにそれを表現したもので、面白いことにこれは洋の東西や宗教を問わない。しかし約150年前、事故で脳に損傷を受けた後、人格が豹変した事例を端緒として脳科学は飛躍的に発達し、意識は脳の中にある、いうなれば脳が人間そのものであると解明された。その後ブロードマンが脳地図を発表する。だが、異論や認めたくないという感情も存在する。医者から肉親の脳死を宣告されたが、それが不可逆的な人間の死であると何の抵抗もなく容認できるのか。まして子供であった場合は…。一方で国内で許されていない小児への臓器移植のため渡航する例が後を絶たない。親族にとっては経済的にも苦渋の選択であるが、受け入れる国からの批判も多い。昨日衆議院で小児の臓器提供が許される「臓器移植法」が通過した。自民、民主は党議拘束を掛けずに、議員の判断を尊重した。裁判員制度、そして今回の法案。熟考不可避な問題が増えたような気がする。
新日本プロレスの佐山聡扮する初代タイガーマスクの登場は衝撃だった。コーナーポストに上がるやいなや、場外の相手に向かいジャンピングボディースラムを浴びせる。リング上からのブランチャー。ローリングソバット。今までの伝統的なプロレスを嘲笑うかのような、スピード感と説得力のある異次元の格闘技に見えた。当事局アナ古館伊知郎は「四次元プロレス」と評した。好敵手だったダイナマイト・キッドは自身の技が全く通用しないことに苛立ち、リングサイドにあったビール瓶を割りタイガーに襲い掛かろうとした。プロレスがショーから格闘技に変わった瞬間ーとはいい過ぎだが視聴者にそれくらいのインパクトを与えた。一方の馬場が社長に就いた全日本は衰退の一途をたどる。ジャンボ鶴田などのスタープレーヤーは擁していたが、新日の煌びやかさには程遠かった。第二代タイガーマスクとして活躍した三沢も一時は社長に就任するが、その後袂を分かち新団体「ノア」を設立する。「ノア」の興行の特長は今までタブーとされてきた他団体との交流戦を盛んに行ったこと。衰退期の離合集散と見る向きもあったが、ファンからは新鮮な試みとして歓迎された。しかし、それにより試合中繰り出す技が大きくなっていたのも事実。受身をとることが前提だったジャーマンも豪快さだけを売る「投げ放し」が多く見られるようになる。雪崩式のバックブリーカー、パワーボムなど、二人合わせると300キロにもなる体重が、一点に集中されれば悲劇は容易に予想できる。しかし、中途半端なプレーを許さない雰囲気が会場を支配していた。そんなときに事故が起こった。事故の瞬間は公表されていないが、垂直式のバックドロップにより後頭部をマットに叩きつけられ頚髄離断、衝撃のほどが窺える。今年の春、日テレがプロレスの地上波放送を中止した。遠い昔であるが金曜のゴールデンタイムで放送され、国民的なスポーツとされていたが視聴率低迷には抗うことができなかった。「ノア」も深夜枠で放送されているが前途は必ずしも明るくはない。一部報道によると今年で引退を考えていたようだが、プロレスの神は三沢にリング以外で死ぬことを許してはくれなかったようだ。
以前家電には小型の時限爆弾が仕込まれていて、ある一定の時期に自動的に爆発してその機能を停止するといったが、もうひとつ違うシステムがあることが分かった。それは他の家電が入れ替えらることを敏感に察知し、自爆することだ。どういった装置が巧妙に組み込まれているか、さすがに企業秘密だと思うが、間違いのない事実だ。地デジ対応テレビを発注して3日後、洗濯機が業務放棄した。おまけに配水溝から汚水をぶちまけての憤死である。家人にいわせると、脱水の途中で停止したり、水が出なくなったりと兆候はあったとのこと。しかし、散り方が豪快である。汚水は床上5センチ以上たまり、途中で気が付かなければ、被害は他の部屋にも広がっていた。早速、ホームセンターに新人発掘に行ったが、感謝祭だかの最中で後任を安くゲットできた。前任者の任期は18年、憤死ではなく大往生か。
既報の通り、経済活性化の一助になる断固たる決意のもと、給付金を速やかに消費に回すことにした。ターゲットは家族の強い要望に応えて液晶テレビ。今使っているものは10年ほど前に購入したが、すでに機能的にはラジオに近い状態まで陥っていた。購入するにあたり、現金購入で安くなる、ポイントが付くなどいろいろな量販店を回り比較してみたが、何といってもネットで購入するのが断然安いことを思い知らされた。今年5月に発売された42インチ、HDD内蔵のモデルが送料込みで17万円。量販店での平均価格は27万円の商品。もちろん新品でバッタ流れでもないとのこと。ネットの担当者に安さの秘密を聞いたところ第一点として人件費が抑えられている。注文は電話かネットで行うため、売り子が必要ない。第二点は余剰な在庫を置かない。量販店では店頭展示販売方式だが、極端だが通販の場合、店舗を必要としない。注文があればメーカーに発注を掛け直接送ることも可能なのだそうだ。それでは消費者が直接メーカーで購入すればさらに価格が抑えられると思うのだが、そこはメーカーとして一定の歯止めが必要なので低価格での提供は行われていない。たしかに手にするまでは若干の不安は残る。しかしこの価格はあまりに誘惑的。
北朝鮮の後継者に三男の正雲氏が指名されたことを韓国政府が確認したと聯合ニュースが伝えた。有力候補と見られていた長男の正男は後継レースから脱落したばかりか、周辺の粛清も始まったとも報じられている。金正日の料理人だった日本人が正雲氏が最有力だと以前から語っていたが、評論家の誰もが取り上げなかった。今日のサンプロではどのような言い訳をするのか。一方で、核実験の再開に対する制裁は中国が慎重姿勢を崩していないが、日米はより効果的な経済制裁を実施しそうな模様。政権移譲に向けた不安定な時期、どのような影響を与えるのか。さて、民主党が次期衆院選で世襲議員の立候補を制限することを表明した。これに危機感を持った自民党も同じ動きを見せていたが、小泉元首相の後継問題もあり今回はも送り、衆院選以降から実施すると方針転換、なんともしまらない結末だ。同族会社の寿命が短いことは周知のこと。北朝鮮は60年以上国家でこの手法をとり続けている。国内の混迷は極限状態。自民党も同じ状況。さてどちらが早く命脈が尽きるのか。
サッカーの世界戦は、ピッチで選手たちが闘うかなり以前から始まっている。開催地、日程、開始時刻。これらを有利に導くことが勝利へつながる。著者は通産省から日本サッカー協会に転じ、これらの交渉に深く携わった。官職当事に培った人間関係がさまざまな場面で奏功した。また、一方日本女子サッカーをあらゆる人脈を使い普及、定着させる。経歴を見ると歳は小生よりひとつ下、現在早稲田大学大学院スポーツ科学研究科教授。逸材ですな。
「水曜どうでしょう」のステッカーをリアウインドウに貼っている車を見かけるようになったのは90年代後半だったろうか。当然水曜ロードショーをもじったものであることは理解できたが、一体何なのか皆目見当がつかなかった。北海道ローカルの深夜枠でありながら高視聴率を誇るTV番組だと知ったのはかなりあと。番組はその後、地方に配信され全国区になる。人気は全国地方にも波及し、「HTB詣」「南平岸詣」と称し札幌放送局の社屋やロケ地を訪れるまでになった。こういったムーブメントは「北の国から」以来だろう。ちなみに日ハム武田優の入場曲は「水曜…」のテーマソング。メーンパーソナリティの大泉洋は東京に進出、多くのドラマに出演しメジャーな存在になる。2009年3月期決算で道内の民放が軒並み赤字を計上した。経済危機によるCMの落ち込みと、地デジ放送開始への設備投資のためだ。その中で唯一利益を確保したのが上記HTB。「水曜…」のDVD、関連グッズの売り上げが非常に好調だったことが赤字を回避できた理由。経営陣の戦略がチャンスを獲得し、本業以外の部分で企業の収支を左右した。小生が勤める会社は昨日の決算取締役会議で3期連続の減収減益となる発表をした。職場ではさまざまな経費削減と、増収につながるアイデイアを求められる。チャンスはあるのだろう。だが、なかなか前髪を見つけられない。