5月6日、NY株式市場は、今年4月の非農業部門の米就業者数が
前月対比27万4,000人増えたとの米労働省の発表を受けて、
取引開始早々から34ポイント上げたあと、急速に値を下げ、
閉めて見れば前日比5ポイント高、ほぼ横ばいで取引を終了した。
雇用が増えると、景気回復面ではプラス要因である。
しかし、雇用が増えたら増えたで、今度は、どこまで利上げが
続くのか、投資家は心配になったのであろう。
相場は人の心の鏡である。
不安になると買いが引っ込む。買いが手控えられると
売り物がちになる。売り買い交錯しているうちに
Closing Bellが鳴る。そんな一日ではなかったかと
想像出来る。
ジングルベルが鳴る頃にはFFレートは年4%というのが
金融関係者の共通認識である。
しかし、こうも雇用が元気だと見せつけられると、
4%の先にまだ利上げの山が控えているのではないかと、
心配になるのかもしれない。
昨年の6月にはFFレートは1.0%であった。
10ケ月の間に8回、各0.25%利上げして3%まで来た。
FFレート4%で上がりのつもりでいた。それが
ゲームオーバーにならないとなると投資家心理としても
落ちつかなくなって自然であろう。
決まってエコノミストや評論家が入れ替わりたちかわり
登場する。
今回の4月データは一時的だ、いやそうではないと
5月始まったばかりの今から年末にかけて、
賑やかにディベートが続けられるであろう。
3月と比べて27万雇用が増えた。
どこで増えたのか。
製造業では6,000人減った。
サービス部門で23万近く増えたことが
全体の雇用増加に影響した。
なかでもレジャーおよびホテルなどの
接客業での増加が6万を占めた。
小売り、建設、金融サービスも増えている。
3月の米GDPは年3.1%増にとどまった。
石油やガソリンの値段が高騰を続けている。
消費者のふところ勘定から言えば燃料高は
景気の足を引っ張りかねない。
GMやFordの売上や利益が減少に見られるように、
かねてから言われてきた米国の製造業の
國際競争力に陰りが出てきている。
人民元切り上げ圧力が議会で根強く
続いているのも、米製造業衰退へのいらだち
とも受け取れよう。
4月の米雇用増のなか、製造業はむしろ減少した
ことを見過すことが出来ないだろう。
5月6日、NY為替市場では、利上げ期待から
わずかにドルが買われた。
1ドル=104.50円から1ドル=104.97円へ
値上りした。対ユーロでは、1ユーロ=1.2957ドルから
1ユーロ=1.2822ドルへドルは値上りした。
なぜ米FRBが利上げを執拗に継続するのであろうか。
1兆ドルも抱えた双子の赤字を海外の資金で穴埋め
するためにどうしてもお金をアメリカに引きつけて
置かねばならない。そのための利上げがひとつであろう。
今一つは、米国のドル垂れ流しが國際商品相場を
引き上げた元凶であるとの見方がある。
世界の金余り(ドル余り)が原油を上げ、石炭を上げ、
鉄鉱石の相場を釣り上げたとの見方がある。
金余りを生んだ張本人である米国が、昨年6月
利上げへ舵を切り替え10ケ月経過した。
スイッチを金融引き締めへ切り替えても巨額のドルが
湯船一杯の水が暖まるには時間がかかる。冷酒でも
おなじで後から利上げ効果がじわりじわりと効いてくる。
ドル垂れ流しが、國際商品相場の高騰を支えたことは
十分想像できる。
中国の過熱景気もドルと人民元がほぼ固定されている
ことから生まれた過剰流動性の結果との見方もある。
4月の米雇用統計が投資家心理をなぜ冷やしたのか。
利上げ期間長期化かと投資家に予感させたに違いない。
この先ドル安がさらに進めば輸入インフレが加速する。
ドル安をある程度食いとめれば原油高騰のマイナス面を
最小限度に抑えることも可能になるだろう。
商品相場高騰にブレーキをかけ、ドル安に歯止めをかける
ためには利上げは避けて通れないと投資家は見ているのでは
なかろうか。
米雇用増、NY株価乱高下。
経済は人の心の結果である。
米国経済も、景気減速と利上げのはざ間で
心揺さぶられながら日々、動いていくのであろう。
地球は一つ。日本ひとりでは生きられないことだけは
確かである。(了)
前月対比27万4,000人増えたとの米労働省の発表を受けて、
取引開始早々から34ポイント上げたあと、急速に値を下げ、
閉めて見れば前日比5ポイント高、ほぼ横ばいで取引を終了した。
雇用が増えると、景気回復面ではプラス要因である。
しかし、雇用が増えたら増えたで、今度は、どこまで利上げが
続くのか、投資家は心配になったのであろう。
相場は人の心の鏡である。
不安になると買いが引っ込む。買いが手控えられると
売り物がちになる。売り買い交錯しているうちに
Closing Bellが鳴る。そんな一日ではなかったかと
想像出来る。
ジングルベルが鳴る頃にはFFレートは年4%というのが
金融関係者の共通認識である。
しかし、こうも雇用が元気だと見せつけられると、
4%の先にまだ利上げの山が控えているのではないかと、
心配になるのかもしれない。
昨年の6月にはFFレートは1.0%であった。
10ケ月の間に8回、各0.25%利上げして3%まで来た。
FFレート4%で上がりのつもりでいた。それが
ゲームオーバーにならないとなると投資家心理としても
落ちつかなくなって自然であろう。
決まってエコノミストや評論家が入れ替わりたちかわり
登場する。
今回の4月データは一時的だ、いやそうではないと
5月始まったばかりの今から年末にかけて、
賑やかにディベートが続けられるであろう。
3月と比べて27万雇用が増えた。
どこで増えたのか。
製造業では6,000人減った。
サービス部門で23万近く増えたことが
全体の雇用増加に影響した。
なかでもレジャーおよびホテルなどの
接客業での増加が6万を占めた。
小売り、建設、金融サービスも増えている。
3月の米GDPは年3.1%増にとどまった。
石油やガソリンの値段が高騰を続けている。
消費者のふところ勘定から言えば燃料高は
景気の足を引っ張りかねない。
GMやFordの売上や利益が減少に見られるように、
かねてから言われてきた米国の製造業の
國際競争力に陰りが出てきている。
人民元切り上げ圧力が議会で根強く
続いているのも、米製造業衰退へのいらだち
とも受け取れよう。
4月の米雇用増のなか、製造業はむしろ減少した
ことを見過すことが出来ないだろう。
5月6日、NY為替市場では、利上げ期待から
わずかにドルが買われた。
1ドル=104.50円から1ドル=104.97円へ
値上りした。対ユーロでは、1ユーロ=1.2957ドルから
1ユーロ=1.2822ドルへドルは値上りした。
なぜ米FRBが利上げを執拗に継続するのであろうか。
1兆ドルも抱えた双子の赤字を海外の資金で穴埋め
するためにどうしてもお金をアメリカに引きつけて
置かねばならない。そのための利上げがひとつであろう。
今一つは、米国のドル垂れ流しが國際商品相場を
引き上げた元凶であるとの見方がある。
世界の金余り(ドル余り)が原油を上げ、石炭を上げ、
鉄鉱石の相場を釣り上げたとの見方がある。
金余りを生んだ張本人である米国が、昨年6月
利上げへ舵を切り替え10ケ月経過した。
スイッチを金融引き締めへ切り替えても巨額のドルが
湯船一杯の水が暖まるには時間がかかる。冷酒でも
おなじで後から利上げ効果がじわりじわりと効いてくる。
ドル垂れ流しが、國際商品相場の高騰を支えたことは
十分想像できる。
中国の過熱景気もドルと人民元がほぼ固定されている
ことから生まれた過剰流動性の結果との見方もある。
4月の米雇用統計が投資家心理をなぜ冷やしたのか。
利上げ期間長期化かと投資家に予感させたに違いない。
この先ドル安がさらに進めば輸入インフレが加速する。
ドル安をある程度食いとめれば原油高騰のマイナス面を
最小限度に抑えることも可能になるだろう。
商品相場高騰にブレーキをかけ、ドル安に歯止めをかける
ためには利上げは避けて通れないと投資家は見ているのでは
なかろうか。
米雇用増、NY株価乱高下。
経済は人の心の結果である。
米国経済も、景気減速と利上げのはざ間で
心揺さぶられながら日々、動いていくのであろう。
地球は一つ。日本ひとりでは生きられないことだけは
確かである。(了)