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米雇用増、NY株価乱高下:米国経済-学校で教えてくれない経済学

2005-05-07 09:29:28 | 経済学
 5月6日、NY株式市場は、今年4月の非農業部門の米就業者数が
前月対比27万4,000人増えたとの米労働省の発表を受けて、
取引開始早々から34ポイント上げたあと、急速に値を下げ、
閉めて見れば前日比5ポイント高、ほぼ横ばいで取引を終了した。

 雇用が増えると、景気回復面ではプラス要因である。
しかし、雇用が増えたら増えたで、今度は、どこまで利上げが
続くのか、投資家は心配になったのであろう。

 相場は人の心の鏡である。

 不安になると買いが引っ込む。買いが手控えられると
売り物がちになる。売り買い交錯しているうちに
Closing Bellが鳴る。そんな一日ではなかったかと
想像出来る。

 ジングルベルが鳴る頃にはFFレートは年4%というのが
金融関係者の共通認識である。

 しかし、こうも雇用が元気だと見せつけられると、
4%の先にまだ利上げの山が控えているのではないかと、
心配になるのかもしれない。

 昨年の6月にはFFレートは1.0%であった。
10ケ月の間に8回、各0.25%利上げして3%まで来た。

 FFレート4%で上がりのつもりでいた。それが
ゲームオーバーにならないとなると投資家心理としても
落ちつかなくなって自然であろう。

 決まってエコノミストや評論家が入れ替わりたちかわり
登場する。

 今回の4月データは一時的だ、いやそうではないと
5月始まったばかりの今から年末にかけて、
賑やかにディベートが続けられるであろう。

 3月と比べて27万雇用が増えた。
どこで増えたのか。

 製造業では6,000人減った。
サービス部門で23万近く増えたことが
全体の雇用増加に影響した。

 なかでもレジャーおよびホテルなどの
接客業での増加が6万を占めた。
小売り、建設、金融サービスも増えている。

 3月の米GDPは年3.1%増にとどまった。

 石油やガソリンの値段が高騰を続けている。
消費者のふところ勘定から言えば燃料高は
景気の足を引っ張りかねない。

 GMやFordの売上や利益が減少に見られるように、
かねてから言われてきた米国の製造業の
國際競争力に陰りが出てきている。

 人民元切り上げ圧力が議会で根強く
続いているのも、米製造業衰退へのいらだち
とも受け取れよう。

 4月の米雇用増のなか、製造業はむしろ減少した
ことを見過すことが出来ないだろう。
 
 5月6日、NY為替市場では、利上げ期待から
わずかにドルが買われた。

 1ドル=104.50円から1ドル=104.97円へ
値上りした。対ユーロでは、1ユーロ=1.2957ドルから
1ユーロ=1.2822ドルへドルは値上りした。

 なぜ米FRBが利上げを執拗に継続するのであろうか。

 1兆ドルも抱えた双子の赤字を海外の資金で穴埋め
するためにどうしてもお金をアメリカに引きつけて
置かねばならない。そのための利上げがひとつであろう。

 今一つは、米国のドル垂れ流しが國際商品相場を
引き上げた元凶であるとの見方がある。
 
 世界の金余り(ドル余り)が原油を上げ、石炭を上げ、
鉄鉱石の相場を釣り上げたとの見方がある。

 金余りを生んだ張本人である米国が、昨年6月
利上げへ舵を切り替え10ケ月経過した。

 スイッチを金融引き締めへ切り替えても巨額のドルが
湯船一杯の水が暖まるには時間がかかる。冷酒でも
おなじで後から利上げ効果がじわりじわりと効いてくる。
 
 ドル垂れ流しが、國際商品相場の高騰を支えたことは
十分想像できる。
 
 中国の過熱景気もドルと人民元がほぼ固定されている
ことから生まれた過剰流動性の結果との見方もある。

 4月の米雇用統計が投資家心理をなぜ冷やしたのか。
利上げ期間長期化かと投資家に予感させたに違いない。

 この先ドル安がさらに進めば輸入インフレが加速する。
ドル安をある程度食いとめれば原油高騰のマイナス面を
最小限度に抑えることも可能になるだろう。

 商品相場高騰にブレーキをかけ、ドル安に歯止めをかける
ためには利上げは避けて通れないと投資家は見ているのでは
なかろうか。

 米雇用増、NY株価乱高下。
 
 経済は人の心の結果である。

 米国経済も、景気減速と利上げのはざ間で
心揺さぶられながら日々、動いていくのであろう。

 地球は一つ。日本ひとりでは生きられないことだけは
確かである。(了)

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