しんちゃんの徒然なる映画日記

劇場で観た映画の感想を中心に綴っていきます。これからの参考になれば・・・

アジョシ

2011年10月01日 08時26分05秒 | 作品名(あ行)
第239回「彼は役者として一皮も二皮も剥けたのではないか?」

今日は2本の映画でどちらを観ようか悩みました。その作品とは「アンフェア」と「アジョシ」の2本です。かたや「アンフェア」は1作目の時に痛い目を見た作品。かたや「アジョシ」は当たりはずれが予想できない韓国映画。どちらを観ようか悩んだ末に、予想ができない「アジョシ」を観ることにしました。果たして結果は・・・

ある街の片隅、古ぼけたビルで質屋を営むチャ・テシクはある出来事がきっかけで心を固く閉ざし、人と接することを避けて暮らしていた。そんな彼に隣の部屋に母親と2人で住む少女ソミは彼を「アジョシ=おじさん」と呼び、たった1人の友達として慕っていた。そんな彼女もまたいつも一人ぼっちだった。
ある日、クラブダンサーとして働くソミの母親が自分の店で行われた麻薬組織の取引から麻薬の入ったカバンを盗み出した。組織がそのまま黙っているわけもなく、すぐに組織が取り返しに現れた。盗まれた麻薬はテシクが営む質屋へ預けたカバンに隠されていた為に店にも組織が現れ、テシクの帰りを待っていた。彼を痛めつけようと手を出す巨漢の男、ところが彼は一瞬でその男を倒してみせた。カバンを見つけ出した男達はソミと母親を拉致して車を走らせた。テシクは2人を取り戻す為に組織に孤独な戦いを挑んでいく。そして次第にテシクが何者かが明らかになっていく。組織は彼を敵にまわしたことを後悔することになる。

映画を観る前は心に傷を抱えたテシクとソミの心の交流を描く作品なのかと思っていました。かつての名作「レオン」のような。ところが実際の映画はかなりバイオレンス色の強い救出劇になっていました。まるで、リーアム・ニーソン主演の「96時間」のような。主人公がかつて特殊部隊で工作員だった点や、愛する人が拉致される点が類似していますが、「96時間」を観た時とはちょっと違う印象を受けました。

それは私がアジア人であることが理由だとは思いますが、この作品の空気感みたいなものがやけに生々しく思えたのです。登場人物の顔や風景が日本に近い韓国だから、そんな風に感じたのかも知れません。だからこそ感情移入がしやすかった。

そして、さらにこの作品を盛り上げたのは、それぞれのキャラクター。ウォンビン演じる主人公のテシクはある事件で心を閉ざした元工作員という設定。その姿には妙な説得力があって、素晴らしいアクションシーンの連続でした。そしてその演技は「母なる証明」を観た時も感じたのですが、兵役から戻った彼は役者として見事に開花しています。
悪役のマンソク兄弟も、それはそれは憎たらしいキャラクターでしたし、組織の用心棒的な存在だったラム・ロアンの寡黙で残忍な殺し屋ぶりも印象的に描けていました。少し残念だったのは警察側にいいキャラクターがいなかったことでしょうか。もちろん何人か登場するのですが、(韓国警察の特徴なのでしょうか?)格好などが普通すぎて、冒頭のシーンで警察官だとは思えませんでした。

点数は★★★★★です。劇中に臓器売買や人身売買、さらに残忍なシーンが多い為、誰にでもオススメできる作品ではありませんが、脚本がとても良く出来ていて、最後まで手に汗握りながら観ることの出来る作品だと思います。決して奇抜な展開や設定があるわけではないのですが、ストーリーの進め方や時間軸の使い方がお見事でした。韓国で630万人を動員したのは伊達ではありません。

アジョシ スペシャル・エディション(2枚組) [Blu-ray]
ウォンビン,キム・セロン,キム・ヒウォン,キム・ソンオ,キム・テフン
Happinet(SB)(D)


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