世の中それほど不公平じゃない
最初で最後の人生相談
浅田次郎(著)2013年11月発行
副題の通り、浅田氏にとって最初で最後という条件付きで編集されたもの。
読者から寄せられた人生相談に対する浅田氏独自の見解による回答集。
氏が「あとがき」にこう書いている。
― 週間プレイボーイからこの企画を寄せられたときには困惑した。
苦悩は他人に相談したところでどうにもならぬ。という位は百も承知している。
にもかかわらず何らかの回答をせねばならぬのだから暴挙である。
しかも小説家という職業は相当に特殊であるから、世間一般の人の悩みに正しい
返答を用意できるはずはない。へたをすれば、帰って相談者の人生を踏み惑わせ
よりいっそうの苦労をさせてしまうのではあるまいか、と思った。
―
それでも、この企画を断れなかったのは義理ある人からの依頼のため、
「義理を果たすことが義務」と考えている氏としては受けざるを得なかったらしい。
深刻な悩みから、何じゃこりゃってな感じの、相談といえないような質問にも
氏独特の浅田節で回答らしきものを出しているところはさすがです。
まあ、通勤途中の電車やバスなどで読んだらそれなりに楽しめる気軽な一冊。
回答することによりその中に、浅田氏の「男とはかくあるべし」といった信念や
女性、家族に対する思いや、様々な仕事を経験してきた氏ならではの仕事観が
浮かび上がってきているので、ある意味、浅田ファンには嬉しいかも。
最後には、趣味のギャンブルにまで話題が及び、
氏独自のギャンブル理論もそれなりに面白かったです。
気軽な読み物としてどうぞ!というところでしょうか。
わがまま母