できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

少し視点を変えて、ブログ継続

2008-10-31 11:10:59 | いま・むかし

ちょうど10日ぶりくらいの更新になります。

この間も橋下大阪府知事が府民との教育討論会があったとか、そこで辞めた中山前国交相の日教組批判を支持する発言とか、「体罰」容認発言をしたとか。あるいは、橋下知事が大阪府下の高校生との討論の場で、「私学助成金を削減するな」という要望を出した高校生を泣かせたとか、いろんな出来事があったようです。また、今朝あたりは中国出張から帰国して、さっそく橋下知事は、文部科学省の学力テスト結果公開に対する対応にかみついているようです。「あいかわらず、ようやるわ・・・・」と、正直、「あきれてしまう」というのが、率直なところです。

ですが、これに関する新聞各紙のネット配信記事をひとつひとつとりあげ、論評することは、今後はあえて、避けます。

というのも、どの配信記事についてコメントしようとしても、結論は今まで書いてきたのと同じで、「もう、テレビに出てくるタレント弁護士時代のやり口というか、こういうパフォーマンスの政治はうんざり」だし、「橋下知事サイドから出ている提案では、学校教育や子どもの福祉、子育て中の家庭の生活支援などには、何にもつながらないだろう」ということ。そして、「それどころか、今まで厳しい財政状況のなかで、2つの事業を1つに統合したり、1事業あたりの予算を削減したりして、なんとか資金をやりくりしながら、大阪府や大阪府教委、府下各自治体の行政当局がいい事業を残そうとしてきたものまで、この橋下知事サイドから出てくる提案はぶちこわし、めちゃくちゃにしてしまう」ということ。

今、橋下知事サイドから出てくる教育施策について私がコメントすると、どの記事に対しても、コメントはその3点くらいにつきてしまう。要するに、「あきれてだんだん、ものを言う気もなくす」というのが、正直な気持ちからです。そんなムダなことに、このブログを書く時間を費やしたくはないですね。せっかくおおぜいの方が、更新が途切れたこのブログにもアクセスしてくださっているわけですからね。

それよりはむしろ今後は、橋下知事の行財政改革プランだとか、あるいは、これまで論じてきた大阪市の青少年会館条例廃止問題、条例廃止以後の大阪市の子ども(青少年)施策の問題などについて、「私がどういうことを手がかりにして、『これはおかしい』とか、『これではうまくいかない。かえって、今までやってきたことをダメにしてしまう』と言っているのか?」というあたりを、ボチボチと書いていこうと思います。

もちろん、気になる新聞各紙のネット配信記事については、「こんな記事がありましたよ」というくらいのことは書くでしょう。また、そのときに、「またこんなことを言って・・・・」という、ごく簡単な批判程度のことも、きっと書くでしょう(というか、言わずに居られなくなるので)。

しかし、今後はどちらかというと、そのネット配信記事を読む上で参考にしたほうがいい本の紹介とか、各地で取り組まれているユニークな子ども施策の事例、NPOや学校などによる実践的な事例などの紹介を、できるだけ、このブログでは重点的にやってみたいと思います。

きっと、これまでの子どもの教育や福祉、子ども施策などに関する理論的な研究の動向とか、他地域での事例をふまえて考えれば、私以外のこのブログを見ている人たちのなかにも、「やっぱり、大阪市のこの間の子ども施策は充実から遠ざかっている」とか、「橋下知事が何か言っているけど、あれって、大騒ぎするわりにはたいして効果がないのではないか?」ということが、少しずつでもわかっていただけるのではないかな・・・・と思います。

行政が熱い 大阪は教育をどう変えようとしているのか 行政が熱い 大阪は教育をどう変えようとしているのか
価格:¥ 1,953(税込)
発売日:2005-02

たとえば、まだ手にしただけで、これからじっくり読む予定なのですが、『行政が熱い 大阪は教育をどう変えようとしているのか』(大阪府教育委員会事務局スタッフ編、明治図書、2005年)という本があります。この本は3年前に、これからの大阪府の教育改革のあり方について、府教委事務局のスタッフたちが分担執筆して書いた本です。

実はこの本の32ページ以降のところにも、「学力等実態調査と家庭学習支援」の話がでてきます。ここで「府内公立小学校6年生と中学校3年生の約10%(7000人)」の抽出調査をもとに、大阪府教委が子どもたちの学力と生活実態の調査をおこなった結果(概要)と、それをふまえた学校での教育改革プランの概要などが述べられています。

この本のなかでも、子どもたちの「朝食を食べる」等の生活習慣とか、宿題を「いつもする」といった家庭学習の習慣と、学校での学力・学習意欲などとの関係について、調査結果をふまえる形で論じられているわけです。ですから、今さら橋下知事がテレビや新聞などを前にして、わざわざたいそうに「早寝早起き朝ごはん」で「学力向上」とかいわなくても、府教委や府下各自治体教委、さらには府下の各公立学校の教職員であれば、「そんなこと、わかっている! わかっていても、それができない子どもや家庭がたくさんあるから、現場は困ってるんだ!」というだけの話です。

しかも、学力の問題については、「抽出調査」だけでもこの程度のことがわかるわけですし、どこの市町村・学校かを明らかにしなくても、こうした話はできるわけです。だから、わざわざ全国学力テストで「悉皆調査」をして、すべての子どもの生活実態と学力等の状況を把握し、そのデータを公開しなくても、「学力向上」のための各自治体教委ごとの教育改革プランくらいは、「つくろうとおもえば、つくれる」わけです。とすれば、「そもそもデータの公開・非公開を論じる以前に、全国学力テスト自体が本当に必要なものだったのかどうか、という次元から論じたほうがよい。その学力テストの実施それ自体につぎ込む税金を、別の子ども施策につぎこんだほうが有効ではないのか?」という思いを私は抱くわけですね。

きっと、こうしたマスメディアではあまり取り上げないけど、たとえば子どもの教育や福祉関係の文献ではすでに知られていることや、あるいは、目立たないけど地道に成果をあげてきた取り組みなどを紹介して、それを知っていただくことによって、橋下知事の改革や、大阪市の子ども施策などがかなりちがった目で見ることができるのではないか、と思っています。

そんなわけで、今後も不定期更新のスタイルになりますが、少し切り口をかえて、ブログを継続していきたいと思います。

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