できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

課題のある青少年支援の総合プランは必要

2007-03-14 11:50:13 | 新たな検討課題

ようやく少し、体調も回復してきて、ブログにも書き込むゆとりができてきたので、そろそろ復活します。

今頃はおそらく、大阪市議会において、青少年会館条例の「廃止」案が2007年度予算案といっしょに審議されている頃でしょうか。両方とも可決・成立を回避するのが難しい状況にあることは百も承知ですが、少なくとも条例「廃止」案の可決・成立に協力した市会議員のみなさんには、「このあと、大阪市内の青少年施策がいろいろ混乱したときには、みなさんの判断も本当にこれでよかったのかどうか、市長側、あるいは市役所や市教委側とともに問われてきますよ」ということを、あらためてここで言っておきたいと思います。

と同時に、近々、大阪市議会議員の選挙がありますが、そのときに、大阪市の青少年施策について、各市会議員候補が何を言っているのか、投票権のあるみなさんはよく見ておいたほうがいいでしょうね。少なくとも、「教育と福祉の○○」とか、「子ども施策の充実」とかいろいろ選挙に際して各候補はいうでしょう。でも、その各候補が条例「廃止」案や青少年会館に関する議会でのやりとりでどういう態度をとってきたのか。大阪市議会の会議録検索システムを使えば、どういう発言をしたのかが現職議員であれば検索可能ですので、一度、確かめてみてもいいのではないでしょうか(もちろん、最新の会議録は検索システムでもデータが更新されていない場合があるので、分からない部分がどうしても残りますが)。

それはさておき、昨日は大阪府下某市の人権文化センターで、「課題のある青少年支援」をどういう枠組みで今後すすめていくかについて考える学習会があって、私が講師で呼ばれました。そこで、自分の昔(特に大学院生時代)から今に至るまでの、研究の世界というよりは、具体的に「不登校」の子どもたちとかかわったり、子どもの人権救済・擁護などに関する実践活動のあゆみを、あらためてふりかえって話をしました。

そこで話をするなかで、私が社会教育施設での課題のある青少年支援の枠組みづくりにこだわり、さらにそれを各自治体レベルでの総合的な子ども育成計画のようなもののなかに位置づける必要があると感じてきたのは、まさに、実践活動の現場で、子どもや保護者、NPOや地域の人々、そして行政職員や学校の教員など、いろんな人たちのもつ可能性と限界の両方を「身をもって知る」という経験をつんできたからだ、ということにあらためて気づきました。

つまり、自分の経験してきたことを通して、例えば、民間団体や個人のレベルで動けること・動けないこと、行政機関や学校のレベルで動けること・動けないこと、現実的な個々の子どもからみえてくる諸課題など、いろんな要素を整理していくと、「いますぐ動く力のある民間団体や個人を、行政機関や学校などの公的部門がサポートしながら、現実的な子どもの諸課題に対応していく枠組みの共有」ということが、とても重要な意味を持つことに気づいたのです。

そして、そのプランを描くときに、私がいちばん今まで参考にしてきたものであり、今まで経験してきたノウハウをつぎ込んできたのが、大阪市内12館の青少年会館でやってきた「ほっとスペース事業」だったんだなぁということを、昨日、学習会で話すなかで、またあらためて感じました。

「いますぐ動く力のある民間団体や個人を、行政機関や学校などの公的部門がサポートしながら、現実的な子どもの諸課題に対応していく枠組みの共有」という課題。これはまさに、大阪市の青少年施策が直面している大きな課題であると思いますし、来月には発足する「子ども青少年局(仮称)」が早急に取り組むべき課題でもあると思います。これからしばらくは、このことについて、私の思うところを、本業との兼ね合いをみながら、このブログで情報発信していきたいと思います。


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