できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

久しぶりの「市民の声」での質問

2007-03-17 19:29:00 | 大阪市役所への質問(再開後)

さっき、久しぶりに大阪市市民局のホームページ「市民の声」から、今の大阪市の人権行政に関する審議会の動向と、次世代育成支援行動計画の見直し状況について、下記のような質問のメールを送りました。

ちなみに、「市民の声」に質問を送った内容と、市役所(市教委を含む)からの返答の概要は、これ、全部、大阪市役所のホームページ上に今、アップされています。当然ながら、去年の秋、青少年会館条例を「廃止」・市職員引き上げ等の地対財特法期限後の事業等の調査・監理委員会が出した「まとめ」に対する私の質問と、これに対する市役所側の返答なども、すべて、ホームページ上で公開されているわけですね。

このように、今後、「市民の声」を使って、みなさんが大阪市の青少年施策について何がしかの要望を出されたり、質問・意見を出したことと、これに対する市役所側の返答などは、すべて、大阪市役所内で記録される、ということです。ということは、大阪市役所側が市民からの青少年施策に関する要望や質問、意見などの何を受け入れ、どのように施策に反映させたのか(させなかったのか)も、このようなプロセスを通じてオープンになっていく、ということでしょうか。

だとしたら、今後、大阪市の青少年施策について何か疑問を感じたり、要望・意見のある人は、積極的にこの「市民の声」を使って、市役所側に出していきましょう。

<以下、今日の質問>

前略、昨年11月末に出された「地対財特法期限後の関連事業等の総点検調査結果に基づく事業等の見直し等についての市長コメント」のなかで、市長は今後の人権行政のあり方については、昨年12月1日、大阪市人権施策推進審議会に諮問したとあります。
その後、すでに3ヶ月以上の月日が過ぎておりますが、大阪市市民局のホームページを見る限り、この審議会で今、どのような議論が行われているのか、よくわかりません。
また、大阪市の青少年会館条例が先日、廃止されたこと及び子ども青少年局(仮称)の設置にともなって、大阪市の次世代育成支援行動計画の改定作業も必要になってくるかと思われますが、これも昨年12月に会議が開かれて以来、どのような検討が行われているのか、市民局ホームページからではよくわかりません。
そこで、現在の大阪市における人権行政及び次世代育成支援行動計画の検討状況について、具体的にご教示願います。草々


条例「廃止」をむかえて今、思うこと。

2007-03-17 10:40:43 | 新たな検討課題

とうとう、2007年3月15日(木)の大阪市議会で、大阪市の青少年会館条例の「廃止」と、それを前提にした2007年度の青少年施策関連の予算案が決まりました。

今までこのブログや他の場面などで、いろんな理由をあげて「こういう施策のあり方はおかしい」といい続けてきた私にとって、この決定が到底、納得できるものではないことはいうまでもありません。ただし、今年2月にこのブログのタイトルを変えた段階から、こういう結論が大阪市議会において出されるであろうことは「想定内」の出来事でしたので、たいして驚いてもいません。「とうとう、ほんまにやりよったな」というだけのことです。

さて、いよいよ既存の青少年会館事業の「解体」が決まったわけですから、ここからが大阪市の今後の青少年施策づくりの正念場、ということになります。

はっきりいいますが、今まである施策を「解体」するのは、いくら「抵抗勢力」というべきものがあれこれ出てくるとはいえ、新しい施策をつくるのに比べてみたら「簡単」なんです。「そんなもん、今あるものをぶちこわすだけ」ですから。

要するに、「そんなんやめとけ!」「これ、つぶしてどうなるねん?」「この施策、ほんまは大事やねんぞ!」というような反対の声には一切耳を貸さず、「とにかく、全部白紙にもどすまでつぶしたる!」と強引に動けばいいだけのことですから。

しかし、今まである施策をぶちこわして一旦、更地にした上で、現在の状況にマッチした施策をつくっていくのは、大変な労力と手間がかかるものです。今ある施策だって、今ある形に至るまでには、試験的事業の実施からさまざまな試行錯誤を経て、ようやくある糸口からなら市の施策になりうるというものを見つけて、ようやくできあがったものです。そして、一度枠組みができあがってからも、その枠組みをくり返しくり返し手直しして、その時々の現状に沿う形で作り直して、維持・向上をはかってきたものなのです。

大阪市の青少年会館事業も同じで、私は「ほっとスペース事業」が入り口になってこの数年間、青少年会館での仕事とかかわってきましたが、4館でその試験的な事業を開始してからこれを12館全体で展開するに至るまで、確か3年~4年近くの月日がかかっています。その間、くりかえしくりかえし私のほうから、現場職員の人に「課題のある青少年支援」を社会教育施設で行うことの意義や、そのために必要な実践的なノウハウを説明したり、あるいは、事業開始後もケース会議などで何が大事なのかを語ってきたりもしました。

また、大阪市教委や教育振興公社の方とも、この事業のスーパーバイザー的に関わってくださった専門家の方とも、例えばこの事業の維持向上のために何が必要なのか、全市的な青少年施策の枠組みのなかでこの「ほっとスペース事業」はどう位置づくのかなど、いろんな話し合いを積み重ねてきました。

さらに、「ほっとスペース事業」にかかわるNPOのなかには、もともと私が大学院生時代からお世話になっていた団体もありますが、あらためてこの事業のいろんな場面で話し合い、彼ら・彼女らのノウハウなどからあらためて学ぶことも多々ありました。

そして、こういう事業展開が可能だったのは、青少年会館の「ほっとスペース事業」に行ってみようと思う子どもたちと、そこに通わせてみようと思う保護者たち、学生や地域住民のボランティアさんたちの協力があってのことです。

また、あらためていうまでもなく、1970年代の青少年会館の設置以来、近隣地区の「課題のある子どもたち」をいろんな場面を通して受け入れ、青少年育成のために尽力してきた人々のあゆみがあったからこそ、「ほっとスペース事業」もその青少年会館の「伝統」にうまく接続する形で位置づくことができたのだと思います。

そういった、子どもや保護者、地域住民、学生ボランティア、青少年会館の現場職員やNPO、市教委や教育振興公社の職員、他分野の専門家の方など、いろんな人の思いとノウハウ、努力の蓄積によって、「ほっとスペース事業」が何年もかけて準備・実施されてきたわけです。

このような青少年会館での「ほっとスペース事業」の展開に、「市民と行政のパートナーシップ」による「新たな青少年施策の創造」ということを見るのは、私だけでしょうか。あるいは、「地域住民とNPOと行政がいっしょになって、子どもや保護者にとってよい施策をつくろうと努力してきたあゆみ」を、大阪市の青少年会館事業に見ていくことだってできますが、それについて、大阪市政の上層部や市議のみなさんはどう考えるのでしょうか。

大阪市の各地域の住民やNPOの「創造性」というものは、日々、いろんな悩みをかかえながら暮らしている子どもや保護者の「生活の場に根ざしたとりくみ」のなかで発揮されてこそ、ほんとうに「都市再生」へとつながっていくのではないでしょうか。

あるいは、社会教育・生涯学習や文化施策、人権施策、児童福祉・障害者福祉・高齢者福祉の分野などにおいて、大阪市の現場第一線職員の人々が、各地域の住民やNPOの人々を見ながら考えたり、やってみようと思ったりする取組みのなかに、ほんとうに「都市再生」につながる「創造的な営み」はないのでしょうか。

少なくとも私は、大阪市内の各地域の住民やNPOのみなさん、大阪市の現場第一線職員のみなさんが持つ、「生活の場に根ざした創造性」というものを信じます。そして、それを支え、励まし、それが充分に発揮できるような環境を整えることこそ、これからの青少年施策に限らず、大阪市の施策全般にわたって必要なことだと考えます。

このことを、青少年会館条例「廃止」を迎えた今、あらためて、このブログを通じて訴えたいと思います。