角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

季節の味。

2006年10月25日 | 実演日記
今日の草履は、一般綿生地シリーズMサイズ23cm〔3000円〕
藍色トンボをベースに緒はエンジ、真中に黄金トンボを二本だけさりげなく入れてみました。おしゃれ感に、可愛らしさがプラスされた感じです。

秋晴れが戻った今日の角館、気温も上がり、綿入り作務衣では暑い感じです。米蔵スタッフに、『一年中こういう天気がイイなっ!』と言うと、『ダメよっ、寒くならないと美味しい白菜が出来ないでしょ!』。
さすがは兼業農家、“季節の味”をご存知です。

予想した通り、秋本番を迎えてから草履作りに燃えるお客様が続々とお越しです。十日ほど前でしたか、大仙市大曲でご老人の入浴サービスを仕事にされている三名が、制服のままお越しになりました。中のお一人が草履作りにとても関心が高く、三月のテレビを観てから一度西宮家に来たくて、仕事で角館に来た機会に立ち寄ったということでした。

その女性が今日お一人で見えました。『今日は休みなのでゆっくり見せてもらいたくて‥』。しばしご覧の後、『カメラ持ってくれば良かったのに‥』の言葉にすぐに反応しました。『そうですねっ、家に帰って取って来ま~す!』。その後もずーっと見学され、観光で訪れたお客様とおしゃべりしながら半日以上過ごされました。使ったフィルムは25枚撮り3本、お見事です。

こちらの女性が見学の最中、市内神代地区からお越しのお母さんが、『見せでもらってイイんシか?』。こちらのお母さん、30分も見ないうちに『草履台ひとつくださいナっ!』。
ずーっと見学していた女性が先を越されてしまいました。
結局女性は、11月に入ってからあらためて、材料と一緒に草履台をご購入することになりました。今日のところは草履を一足お買い上げです。その草履が「今日の草履」でした。

一週間ほど前に、大仙市協和の奥様が草履台をお買い上げでしたから、今日のお母さんで43人目です。今日の女性が44人目となるのか、それまでにまた新たな職人が誕生するのか。いずれにしても、草履作りの人気はとどまる所を知りません。

趣味の世界では、草履作りが“季節の味”でしょうか。

コメント
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