ちいさな幸せ

幸せの基準ってある?
それは自分の心の中にあると思う。
私は何時も陽だまりのような幸せの中に居た。

遍路 6

2009年04月12日 | 思い出話
           12月13日  (水曜日)
13番 大日寺  14番 常楽寺   15番 国分寺   
16番 観音寺   17番 井戸寺


 
        しあわせ観音

13番札所 大日寺はバス通りに面してありました。朝早い為か人は少ない。目を引いたのは両手を合わせた形の像があり、くりぬかれた中央に観音様が居られます。観音様は「しあわせ観音」とお呼びします。観音様は遍路する人を見守っておられるそうです。

大日寺の住職さんがこう言っておられるのを読みました。「仏縁があって生まれた人は、理屈では解らない契機によって、自然にお遍路さんになられます」草なんですか。私達は特別信心深いわけでもありません。信心する心と仏縁とは別物なんでしょうか?


 流水岩の庭 右奥の木はあらゆる病気に霊験を発するというアララギの霊木

大日寺の右手に沿って北上すると田畑の広がりの中に出る。再び鮎喰川にめぐり合う。橋の上からの眺めは広々として心安らぐものであった。(この風景の橋の上で佇んでいる自分を、そしてなんと広々と豊なんだろうと感じた気持ちは、今も鮮やかに残っている)

常楽寺は石段を上り詰めた所にありました。大日寺から2.1キロの地点に第14番札所 常楽寺があります。その階段も境内も岩盤がむき出しになっています。その岩の凹凸が並のように見えることから「流水の庭」と名付けられています。

此処の納経所でも納経帳のページが朱で染まっている人が居た。『もう何度目ですか?」とお訊ねしても、自分でも何度目か解らないという答えが返ってきました。私の目から見れば、とてもありがたいとは言いがたく、汚らしいと感じるのですが…。

先日の人よりも納経帳の膨れは高く、ゴム輪で縛っていないとぱっくりと開いてしまう状態でした。何故こんなにまで? 一面に書いていただいて、朱印を押していただいて500円なんです。でも見ていますと、字を書く隙間はありませんし、ただ朱印だけを押してもらっていましたから、500円のお布施をして廻っておられるのだろうか。

0.7キロで第15番札所 国分寺である。この寺に関しては何故か全然思い出せない。大きなお寺であるというのに…。だが道中でおばあさんから100円のお接待を頂いた。初めてのお金のお接待でした。嬉しいような、申しわけないような複雑な気持ちでした。頂いたお金は国分寺のお賽銭としたように思います。

1.4キロで第16番札所 観音寺である。観音寺は町なかにあって、数歩歩み寄れば本堂と言う、奥行きの浅いお寺です。

今日訪れる第13番札所から17番札所までの5ヶ寺は距離が接近している「5ヶ所まいり」として近隣の住民が気軽に参拝に訪れる事が多いといわれています。

観音寺から2.9キロのところに第17番札所 井戸寺がある。途中のスーパーでお弁当を買って、井戸寺で昼食にしました。すっきりしたお寺であった記憶はあるのですが、何しろ、この頃には足の豆が相当痛んでいたので、朝に手当てをして出るのですが、休憩した時には足の手当てをしないと居られないくらいでした。今日は此処で打ち止めと言う事もあり、もう歩きたくないと思うほど痛んでいました。

此処から徳島市内に入るのは地図で見ると一本道であるのに、なんだかチマチマと間違ったように覚えています。だから随分遠回りしたと思うのです。今夜の宿を決めてなかったので「徳島厚生年金会館」に電話したが「唯今改装中」とのことで駄目でした。これで又歩く距離が増えてしまいました。

旧道に入ればたくさんのホテルがあるのでそちらに行くことにしました。今回帰る時に乗るJR新野(あらたの)駅の電車の時刻を調べる為に、徳島大学の付近にJR蔵本駅があったので立ち寄ってみた。しかし駅員もおらず、時刻表も無かったので諦めて帰りかけると、駅前に『名水」の看板があり、2.3人の人が水を汲んでいた。「汲んでいかない?}と主人に頼み、その間私は待っていた。

駅の方から私に向かって、ニコニコ顔で跳ねるように、跳ねるように駆け寄ってくる老人が居ました。彼は私の前でピタリと止まり、両手を合わせて拝むような形で私に話しかけてこられました。

「今日は何て良い日だろう! お四国さん(遍路のこと)ですよね。歩いておられるのですよね。私は徳島生まれの大正XX年生まれの辰年で85歳。XXX太郎と申します。生きている内に一度は遍路したいと思いながらこの年になってしまいました。もう実現は出来ないと思います。貴女はお若いのに(85歳の方から見れば65歳の私は若い)歩いておられる。せめてお遍路さんに会いたいと思っていましたが、中々お会いできませんでした。今日貴女にお会いできて嬉しい。こんな嬉しいことは無い」と本当に嬉しそうに満面の笑顔で私を拝んでおられる。ご老人には遍路をお大師さんと思い拝む人が居ると本で読んだことがある。でもまさか自分が拝まれる対象になるとは思っていませんでした。私をお大師さんだと思っておられるのかと思えば、すげなくも出来ず、ただ戸惑いながら話を聞くより仕方がありませんでした。

主人が待ちくたびれて「もう行こうか」と声を掛けるまで、延々と「良い日だ」「貴女にあえて嬉しい」と話しておられた。「どうぞ、ご無事で…」の言葉に送られてお別れしました。今ではあの方が私を見て「幸せ」と感じてくださったのなら、それはそれでよかったと思っています。(今ご存命なら90歳を過ぎておられます。時々は私の事を「あってよかった」と思い出しておられたのだろうか?…)

宿はビジネスホテル「アルファ」に泊まることにしました。

12月13日  アルファホテル徳島   (2泊目) 

フロントで時刻表を借りて、新野駅の時刻を調べた後、徳島駅まで戻って晩御飯を食べ、帰り道のお店で明日の朝の為に「お赤飯」を買って帰りました。明日は雨だという。
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