世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

今宵会う人みな美しき

2012年04月06日 23時30分03秒 | Weblog
寒くて混んでるのだが、やっぱり見る価値がある…と思った。
毎年恒例、駒込の六義園の垂れ桜のライトアップ。
去年は震災の影響でライトアップは中止だった。
今夜は二年ぶりに闇夜を背景に輝く桜を堪能。
仕事を定時で切り上げて、駒込まで急ぐ。

染井門から連なる大行列にたじろいだ。
列の最後尾が遥か巣鴨の方、文京学院大学まで伸びている。
1時間ぐらい待つのかなあと思っていたが列は早く進み、30分ぐらいで入園できた。


桜までひたすら夜道を歩く。
漆黒の木々の間から薄紅の花明かりを見た瞬間、そのあまりにもの美しさに息をするのを忘れてしまった。
なんせ二年ぶりの逢瀬である。
「会いたかったよ」と呟いてしまうのも無理はない。



今年も綺麗だ。
咲いてくれてありがとう。











遠目に見ると桜のお化けみたいだ。
もしくは日光の「湯滝」を下から眺めた感じ。










吉熊、大興奮。



漆黒の闇に浮かぶ薄紅色、やっぱこれがないと私の春は始まらない。






この桜は樹齢70年とのこと。
毎年毎年多くの観客を前にして誇らしく立っている。風がそよぐと、屈託なく笑っているように見える。





好きだな、この桜。
21時。
閉門。
別れ惜しさから、何度も何度も振り返る。
来年も笑ってこの桜に会えると良い。…そうできますように。桜に願いを込めて、バイバイする。









嗚呼、そうだ。人は古来より、桜にこんな願いを込めていたのかもしれない。「来年も桜を愛でられますように」って。そんな願いが蓄積し、桜はこんなにも美しく咲くのだろう。






それにしても寒かった。トレンチコートではなく、冬物のコートにして正解だった。


駒込駅前の桜も綺麗だった。
桜と月。




今日の一枚。

その1


その2



※今日のタイトルは与謝野晶子の句「清水へ祇園をよぎる桜月夜 今宵会う人みな美しき」より


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ここだけの話

2012年04月06日 23時24分21秒 | Weblog
新卒の子たちは、明日から配属される。それに間に合うよう、制服を手配した。
今回新卒研修の陣頭指揮を執ったのは人事部のKちゃんだ。
私が受け持った個人情報保護法の講義や制服の試着会で、彼女には世話になった。

1週間、新卒の面倒を見てきたKちゃん。
研修中に新卒にやらせた確認テストの出来が悪く、そのことを新卒にちゃんと言うか言わざるべきかで、昨日、彼女は社長と真っ向から対立してしまったらしい。

Kちゃんは「言うべきだ」
社長は「ダメな人には何を言っても仕方がないから言わなくて良い」…と。

Kちゃんは秘書検定1級を持つ才女だ。ユーモアがあり、空気を読むのに長けている。誰かと対立をしてまでも自らのキャラを押し出す子ではない。しかし、今回は手塩をかけた新卒のことを考えたら「これは言わないとあの子たちのためにはならない」と思い、社長に意見を述べた。

人事部長が「あらあら、まあまあ」とKちゃんを上手く連れ出し、何とかその場は収まった。
人事部長には「あなたの言っていることは正しいと思うわ。でも相手は社長なのよ」と諭されたらしい。

しかしKちゃんはどうしても自分を抑えきれず、新卒に自分の意見を述べた。
「確認テストの出来が悪いのはなぜですか」と。

社長も、その熱意に押されてか新卒を前に、
「Kさんは皆さんの為に言ってるのですよ」
とフォロー。
その思わぬフォローにKちゃんは泣いてしまったらしい。
そしたら、新卒の席のあちらこちらから、すすり泣く声が。

「とまあ、今年も涙で締め括ったわけです、はい」
と研修最終日の全貌を明かすKちゃん。

1週間、喉を酷使し、今日の彼女はマスクをしていた。お疲れさま。のど飴をあげた。

毎年何かが起きる新卒研修。
今年もやっぱり事件が起こった。
そして涙で幕を下ろした。
そんなうちの会社が私は好きだ。

しかし、それにしても社長に意見できるだなんてスゴいなあ。
私は社長に意見なんて言えない。去勢された殿方、宦官だもんなあ。
Kちゃんのしたことはサラリーマン的には×だが、人道的な観点からすると極めて正確で、且つ、愛に満ち溢れている。


そんな彼女に少し嫉妬したのはここだけの話。

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