広島が好きだ。
広島出身のわけでもなく、親戚がいるわけでもない。
なのに一昨年まで、夏休みは広島に行っていた。
きっかけは尾道だった。ずっと憧れていた尾道に上陸を果たした私は、翌々年、まず東京から広島まで新幹線で行き、在来線で尾道入りをし、福山駅から帰るというルートで旅をした。
高校2年生の修学旅行以来の広島市内。
駅を降りると聞きなれない話し言葉が聞こえてきた。
「~じゃけんのう」
小学5年生のクラスの学級文庫には「はだしのゲン」が全巻揃っていた。マンガが学級文庫にあるってこと自体がセンセーショナルだったのであるが、内容も度肝を脱ぐものであった。男子が競うようにして読み、私が読み始めたのはクラスで後の方だった。広島に着いた途端に聞こえてきた広島弁はすぐにあのマンガを思い出させた。
原爆ドーム、原爆資料館を見た。高校時代に見たときよりもじっくりと食い入るように見た。「はだしのゲン」がマンガの中だけの出来事ではなく、実際に起こったことで、そしてこの地に原爆が落とされたんだとようやく実感できた。どの展示品も悲しいほどの傷跡を残していた。制服、三輪車、弁当箱。これを持っていた人があの瞬間まで確実に生きていた。その多くの命を一瞬にして奪った原爆の威力は相当なものだと感じた。
もしも、これが自分の身の上に…と思うと、息を吐く度に鳥肌が立った。
昨日、「はだしのゲン」(アニメ)を観た。
ゲン、そして彼を取り巻く人物たちが、困難に力強く立ち向かう姿が印象的だった。原爆で火傷を負い、顔に痕が残ってしまって心を閉ざした少女の顔をゲンが「こがいなもん、きれいなもんじゃいや」とぺろぺろと舐めるところで、涙が出た。ゲンの精一杯の優しさがたまらなかった。
また小学5年生の私が怖くて目を逸らせてしまったシーンも、改めて観た。
今年8月6日は、原爆投下から66年目の日だった。
栃木生まれの栃木育ちの私がなぜ広島にこんなにも恋い焦がれるのだろうか。
原爆投下後70年間は草木が生えないだろうと言われていた広島。
しかし、私が訪れたとき、眩しい緑が夏の光の中で輝いていた。
ゲンのような逞しさや力強さがあの地にしっかりと宿っていた。
だから私は広島が好きなんだ。
あと…「麗ちゃん」のお好み焼き、厳島神社、安佐動物公園のクラウドくん(ツキノワグマ)、もみじまんじゅう、…嗚呼、広島、たまらんのう。
広島出身のわけでもなく、親戚がいるわけでもない。
なのに一昨年まで、夏休みは広島に行っていた。
きっかけは尾道だった。ずっと憧れていた尾道に上陸を果たした私は、翌々年、まず東京から広島まで新幹線で行き、在来線で尾道入りをし、福山駅から帰るというルートで旅をした。
高校2年生の修学旅行以来の広島市内。
駅を降りると聞きなれない話し言葉が聞こえてきた。
「~じゃけんのう」
小学5年生のクラスの学級文庫には「はだしのゲン」が全巻揃っていた。マンガが学級文庫にあるってこと自体がセンセーショナルだったのであるが、内容も度肝を脱ぐものであった。男子が競うようにして読み、私が読み始めたのはクラスで後の方だった。広島に着いた途端に聞こえてきた広島弁はすぐにあのマンガを思い出させた。
原爆ドーム、原爆資料館を見た。高校時代に見たときよりもじっくりと食い入るように見た。「はだしのゲン」がマンガの中だけの出来事ではなく、実際に起こったことで、そしてこの地に原爆が落とされたんだとようやく実感できた。どの展示品も悲しいほどの傷跡を残していた。制服、三輪車、弁当箱。これを持っていた人があの瞬間まで確実に生きていた。その多くの命を一瞬にして奪った原爆の威力は相当なものだと感じた。
もしも、これが自分の身の上に…と思うと、息を吐く度に鳥肌が立った。
昨日、「はだしのゲン」(アニメ)を観た。
ゲン、そして彼を取り巻く人物たちが、困難に力強く立ち向かう姿が印象的だった。原爆で火傷を負い、顔に痕が残ってしまって心を閉ざした少女の顔をゲンが「こがいなもん、きれいなもんじゃいや」とぺろぺろと舐めるところで、涙が出た。ゲンの精一杯の優しさがたまらなかった。
また小学5年生の私が怖くて目を逸らせてしまったシーンも、改めて観た。
今年8月6日は、原爆投下から66年目の日だった。
栃木生まれの栃木育ちの私がなぜ広島にこんなにも恋い焦がれるのだろうか。
原爆投下後70年間は草木が生えないだろうと言われていた広島。
しかし、私が訪れたとき、眩しい緑が夏の光の中で輝いていた。
ゲンのような逞しさや力強さがあの地にしっかりと宿っていた。
だから私は広島が好きなんだ。
あと…「麗ちゃん」のお好み焼き、厳島神社、安佐動物公園のクラウドくん(ツキノワグマ)、もみじまんじゅう、…嗚呼、広島、たまらんのう。