世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

毎年恒例の出演者

2006年04月20日 23時06分02秒 | Weblog
嵐のち晴れ。
雨上がりの春の日差し。
窓から吹き込む風が気持良い。

毎年この季節、決算書類作成を始める。
すると、必ず夢に現れてくる人がいる。
私の前々任者であるS主任。
「あいつは仕事ができたよなー」と、吉熊上司が認める伝説の女性である。
面識はない。
彼女の写真を見たのは最近。
夢の中での彼女の顔は、おぼろげだった。

夢の中。
S主任が、私の席に座り、決算書類を作成している。
決算発表までの下準備を完璧にこなしているんである。

その様子を目を細めながら讃える吉熊上司に、私が激しく嫉妬をする内容の夢である。
いつも同じ夢。

思えば、「あいつは仕事ができたよなー」という吉熊上司の言葉を聞いたのは、
今の部署に来て少し経ったこの季節だった。
それからというもの、その言葉は決算書類を手掛ける度に、いつも私の胸をリフレインしていた。

「負ける気がしねぇぜ」という気持ちと
「私なんかでは、やっぱりS主任の役目は果たせないんだわ」という気持ちが鬩ぎ合っていた。
電卓を叩きながら疑問が起きると「S主任だったらどういう風に解釈するだろうか」…そんな風に、いつも私の胸に彼女がいた。

今年はまだ彼女は私の夢に出てきていない。
そろそろ呪縛が解けたのだろうか。

雨上がりの空を見上げながらそんなことを思い、
再び電卓を叩き始めると…春風が書類の頁を悪戯に捲った。