晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

宮部みゆき 『人質カノン』

2010-11-22 | 日本人作家 ま
たとえば、人から「本を読みたいのだけれど、どの作家から読み
はじめていいのやら」と尋ねられれば、短編にせよ、ミステリー
にせよ、SFにせよ、ファンタジーにせよ、時代小説にせよ、ど
んなジャンルも網羅してして、しかもそれらがいずれも「面白い」
とくれば、宮部みゆきをオススメしたいところ。

のですが、この『人質カノン』は、宮部みゆきビギナー(初心者)
には、ちょっと受け付けないというか、正直オススメはできない
のです。

というのも、短編集なのですが、表題作をはじめ全編にわたって、
「やるせない」「やりきれない」とでもいいましょうか、宮部みゆき
の真骨頂ともいえる、絶望の中からでも締めくくりには光明を見出せ
る作品もあるにはあるのですが、そのパワーがちと弱いというか。

もちろん、「面白くない」というわけではありません。短編であり
ながら物語構成や人物背景、描写はしっかりとしていて、ミステリー
ではありますが、陰惨と軽快さの中道といいますか、重くもなく
軽くもなく、作品としてもクオリティはいずれも高いとは思うので
すが、それにしても、テーマが「やりきれない」のですね。

宮部みゆきファンとしては、こういう作風もたまにはいいね、と
思うのでしょうけど。


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