晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

エリック・ゼンシー 『パナマ』

2009-02-17 | 海外作家 サ
本をたくさん読んでいると、ブックレビュー等では好評を得ていても
自分にとってはちょっとどうかな、という小説にときたま出会ったり
することがあります。

しかし、全部が全部ダメというわけではなく、その本を読むことに費
やした金と時間の無駄とは思いたくないので、本の中にどこかしら、
光明はないものかと探すんですが、エリック・ゼンシー著『パナマ』
は、物語の設定、アイデアは素晴らしいと思うのです。

しかし、百歩譲っても、途中に出てくる19世紀末のパリの情景描写
はあまりリアルに伝わってこなく、また、主人公で実在の人物である
ヘンリー・アダムズの亡き妻との思い出も、複雑に入り組んだ政界の
スキャンダルと、それに関連した殺人事件に巻き込まれた展開の中に
ちょくちょく出てくるのですが、どうにもこれが、話の腰を折られる
ようで、読みにくくしている印象を持ってしまうのです。

話は、19世紀末、フランスがパナマ運河の工事をやっていたのですが
工事がはかどらず事故も多発、そこに絡んでくるフランス政界の汚職、
賄賂といったスキャンダル。アメリカ人歴史家であるアダムズは、フラ
ンスのモンサンミシェルで画家のアメリカ人女性と出会い、のちにパリで
再会する約束を果たすのですが、再会した後日にセーヌ川に溺死体とな
って現れるのです。しかし、それはモンサンミシェルで出会った女性で
はなかった!
しかもその死んでいる女性は、アダムズの名刺を持っていた・・・

前述したように、物語の設定、アイデアは素晴らしいです。
なぜ、アメリカ人歴史家がフランスの政界汚職に巻き込まれなければ
ならなかったのか、そこには、ある一枚の写真が絡んでくるのですが、
この当時、イギリスで、人間の指紋はどれひとつ同じものはないとい
う実験結果が発表されて、半信半疑ではありつつもフランス警察でも
その指紋捜査を導入しはじめたのです。
それがアダムズにとって思わぬ事態となって振りかかるわけですが・・・。

嗜好は指紋同様、人それぞれ違いますので、どなたかが『パナマ』を
読んで、面白かったと言えば、それはそれで敬意を表します。


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