晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

パトリシア・コーンウェル 『遺留品』

2009-12-22 | 海外作家 カ
『遺留品』は、検屍官ケイ・スカーペッタが主役の
シリーズ3作目で、引き続きリッチモンド市警の刑事
であるマリーノとのコンビで難事件を解決します。

1作目でのケイとマリーノは、男性上位の権化のような
マリーノを嫌うケイと、女性の指図はごめんだと態度に
表すマリーノがお互い忌み嫌うような間柄で、それでも
仕事そのものには手を抜かず、犯人を捕まえるという目的
は同じなので、微妙な均衡を保ちつつも2作目では、
やや進展が見られ、お互いに気を使いあうといった一幕
も垣間見られたりもします。

そして、3作目『遺留品』では、マリーノの家族という
プライベートな話題も出てきて、もはやこのコンビは、
気軽に悪態をつきあえる夫婦か、夫婦漫才のような掛け
合いが面白いですね。

バージニア州内で、立て続けに起こっているカップル殺人
事件。その被害者の中に、次期副大統領候補と目される
女性大物政治家の娘もいたのです。
いずれの事件の被害者も、長期間、森林の中に放置されて
いて腐食がひどく、検屍もままならない状態。

事件を調べていくうちに、ワシントンに移ったケイの友人で
記者のアビーが訪ねてきます。
彼女はワシントンポストの記者で、この事件を記事にしたい
けれど、警察はこの事件の詳細を教えてくれないとのこと。
じつはケイは、FBIの人間から、この事件を漏らさぬよう
にと口止めされていたのです。

アビーは独自の調査をはじめ、その過程である政府機関の敷地
近辺に迷い込んでしまい、それからというもの、盗聴や尾行を
されていると疑います。
さらに、ケイとマリーノも調べますが、ここでもFBIから
余計なことはするなと釘をさされるのです。

女性大物政治家に対する間接的な攻撃で娘は殺されたのか、
政治的な圧力なのか、あるいは政府機関のCIAの誰かが
この猟奇殺人を起こしたのか・・・

物語の終盤で、ある怪しい男が逮捕されるのですが、遺留品
の中にある血液と、この男の血液もDNA型も一致せず、釈放
されます。
ここからとんでもない展開となり、そして真犯人もわかるの
ですが、それにしても、犯人は心の病気というアメリカのミス
テリー界における定石といいましょうか、ちょっと食傷ぎみ。

人物描写や情景、ストーリー展開は面白いので読むんですけどね。

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