晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

ジェフリー・アーチャー 『ロスノフスキ家の娘』

2009-03-27 | 海外作家 ア
この作品は、ロビタの一番好きな、人生の書といってもいい『ケインとアベル』の、
いわば続編。

『ケインとアベル』は、ポーランドで猟師の息子として育てられたヴワデクは、のち
に地方の城に住む男爵の息子であることが判明しますが、ロシアに攻め込まれて捕虜
となり収容所に連行されます。ヴワデクは収容所から脱走し、モスクワ、トルコ、イ
ギリスを経由し、アメリカに移民として渡ります。移民審査の時、男爵からもらった、
銀の腕輪に書かれていた男爵の名前であるアベル・ロスノフスキと名乗るのです。

ボストンの銀行家の長男として生まれたウィリアム・ケインは、裕福な暮らしながら、
甘やかされず、しっかり者に育ちます。やがて、ハーヴァードを卒業し、父親の銀行に
就職。

アベルは、ニューヨークで仕事に勉強に励み、一流ホテルのウェイターから給仕長に
出世します。その働きぶりが、ホテルチェーンを経営する男の目に止まりシカゴのホ
テルを任されることになります。
ホテルでのトラブルも乗り切り、なんとか軌道にのるかという時に、大恐慌が襲いか
かりますが、匿名の支援者が融資をしてくれるということになり、倒産をなんとか免
れます。
やがて、アベルの経営するホテルチェーンを、男爵という意味である「バロングループ」
と改名し、急成長を遂げます。
ウィリアムも、ニューヨークの銀行と合併し、大銀行の頭取となります。
アベルは、ウィリアムの銀行の株を買い、大株主となりやがてウィリアムを銀行から
追い出すという画策を企てます。双方、株の売り買いの攻防戦を繰り広げている最中、
アベルの娘と、ウィリアムの息子が出会い、恋に落ち、結婚するのです。
当然どちらの両親とも納得せず、娘と息子は西海岸へ渡ってしまいます。

ウィリアムは、アベルではなく、銀行内の抵抗勢力に遭い、頭取の座を奪われます。
それから時は過ぎ、娘と息子夫婦が、西海岸ではじめたブティックのニューヨーク
支店の開店セレモニーをのぞきに行ったアベルは、道の反対側で一人の老人と目が
合い、その老人は帽子をあげて挨拶します。その老人こそウィリアムで、ウィリアム
とアベルが会った最期となり、ウィリアムは亡くなります。
アベルのもとに銀行から連絡がはいり、大恐慌の際の匿名の融資者はじつはウィリア
ム・ケインであり、死ぬまで正体は伏せておくという条件だったことを知り、アベル
は感動と後悔するのです。

・・・とまあ、ここまでが『ケインとアベル』のあらすじなのですが、
『ロスノフスキ家の娘』は、アベルの娘フロレンティナが主役。
ケイン家の息子リチャードと結婚し、経営するブティックは成功し、
おたがいの父親の死後、フロレンティナはホテルの社長、リチャード
はかつて父が頭取をしていた銀行の新頭取に就任します。

やがてフロレンティナは、政界入りしますが、またここから波乱万丈。
ちなみに、またさらに続編というか、スピンオフ作品というか、
『大統領に知らせますか?』という、フロレンティナがアメリカ初の
女性大統領に就任し、その任期中におきたトラブルを描いた小説なので
すが、つまり『ロスノフスキ家の娘』では、フロレンティナは最終的に
大統領になります。

しかしまあ、ようやく2008年になって、あとちょっとで現実世界でも
女性大統領が誕生しかけたわけですから、先見の明というか、もし4年後
ヒラリーが大統領になったら、この作品の話題がどこかで出ることを祈り
ます。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ジョン・グリシャム 『依頼人』 | トップ | 大石 直紀 『パレスチナから... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

海外作家 ア」カテゴリの最新記事