晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

ジェフリー・アーチャー 『誇りと復讐』

2011-08-20 | 海外作家 ア
はじめてジェフリー・アーチャーの本を読んだのは、
確か19歳のときで、作品は「ケインとアベル」でした。
読み終わってからしばらく心が打ち震えて、小説の持つ
力を感じまくり、それから、当時は本を読む習慣が無か
ったのですが、アーチャー(あと松本清張)だけは、
ときどき買って読んだものです。

この作品は、ガッツリとしたサスペンスであり、といって
どことなくエンタテインメント性も匂わせつつ、見事!と
唸ってしまいます。

ロンドンの下町に生まれ育ってきた自動車修理工のダニー
は、修理工場の社長の娘、ベスと結婚の約束をします。
ダニーの親友でベスの兄、バーニーも祝福してくれて、3人
はお祝いにパブへ出かけます。
するとそこに、酔っ払った先客がベスに対して口汚い言葉
を浴びせてくるのです。相手にしたくない3人は店から出よ
うとしますが、4人組の男はつっかかってきて、とうとう
裏通りでケンカに。

ベスは助けを呼ぼうと表の通りに出て、タクシーをつかまえ
ますが、タクシーの運転手は、警察を呼べ、と。なぜなら、
裏通りでは、バーニーが刺されていたのです・・・

ところが、警察が来て、バーニー殺害の容疑で逮捕したのは、
なんとダニーだったのです。4人組のひとり、スペンサーは
将来有望の若手弁護士で、スペンサーの証言によると、ダニー
とバーニーは、口論をして、連れの女性の危険を感じた4人組
は心配になって表へ行くと、ナイフを持ったダニーがバーニー
の腹を刺した、というのです。

しかし、これはダニーには全くの身に覚えの無い話で、どうやら
4人組は、自分たちの罪をダニーにかぶせようと企んでいるよう
なのです。
この4人組は大学の仲間でその名も「銃士隊」、例の「三銃士」
の有名なセリフ、「ひとりはみんなのために、みんなはひとりの
ために」を血の掟と守るべく、スペンサーの罪を全力でかばい、
隠そうとしていたのです。

バーニーは、自分が工場の次期社長になれなかったことでダニー
を憎み、それが原因でダニーと口論で、カッとなったダニーは
パブのカウンターからナイフを持って外へ出てバーニーを・・・
という検察側の作り上げたストーリーにより、ダニーは有罪に。

ダニーは、第一級の刑務所(重罪犯の収容される刑務所で、その
警備も厳しく、かつて脱獄した囚人はいない)に収容されます。
しかし、ダニーは、ある「方法」で、刑期途中で、外へ出ること
になり、自分を嵌めた4人組に対して復讐を誓うのですが、はた
してどのようにしてダニーは出られたのか・・・

死んだとされる人間になりかわって、自分を陥れた人たちに復讐
をする、といった形式の小説は、広く知られたものですが、そこに
アーチャーならではのエッセンスを加えて、さらに発展させた、
新しいかたちの復讐劇になっています。また、法廷のシーンも
ハラハラドキドキ、リーガルサスペンスとしても楽しめます。

もうこれは、今まで読んだアーチャー作品の中で、間違いなく5本
の指に入ります。

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