晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

藤沢周平 『蝉しぐれ』

2013-02-16 | 日本人作家 は
この前はじめて池波正太郎を読んで、時代小説で次に攻略しておきたい
作家といえば、藤沢周平(勝手にそう選びました)。

ただ、いつぞや誰かから聞いた話だと藤沢周平の作品は「退屈」だ、と・・・

海坂藩の、家禄三十石といいますから、武士でも身分は「下の上」の牧家の
主人、助左衛門は普請組、そしてこの家に養子に入った文四郎は、まだ
元服前。

文四郎は勉強のほうは得意ではありませんが、剣術ではかなりの腕。

隣の家に住む女の子、ふくはまだ十二歳ですが、いっしょに祭りに出かけたり、
与之助と逸平という仲間との友情といった話があって、青春だなあ、と
ほのぼのしていたのも束の間、なんと文四郎の父が謀反で捕まります。

現在の藩主には正室のあいだに生まれた世継ぎと、側室のあいだに生まれた子
がいて、この二人のどちら側につくか、といった藩内で派閥抗争があり、
助左衛門は藩に対する反逆ということで、死罪に。さらに牧家は家禄を減らされ、
組屋敷も追い出されて、うらぶれたボロ家に引っ越します。

さらに、隣の家のふくが、江戸に行くという知らせが。文四郎が留守のあいだに
ふくが訪ねてきたのですが会えず。

それからしばらくして、父助左衛門を処罰した側の家老から呼び出しが。そこで、
前の家禄に戻して、郡奉行役を命じられます。
しかし、この話にはきっとなにか裏がありそうなのですが・・・

勉学の修行のため江戸に行って、出世して藩に帰ってきた与之助から、ふくは
藩主の側室になった(ので、気軽に”ふく”とは呼べず”お福さま”)ことを
聞き、呆然となる文四郎・・・

さて、ここまではけっこう淡々と描かれておりますが、文四郎は剣術の道場主から
”秘伝”を教わり、剣術大会に出場して見事ライバル道場のエースに勝って良かった
と思っていたら、”お福さま”が近々、藩に帰ってくるとかで、でも城にはいられ
ないので、藩主の別荘に住む、という噂が文四郎の耳に入ります。
そこに、文四郎の家禄を戻した例の家老から呼び出しが・・・

明らかに、家老は文四郎とお福が前に隣の家に住んでた「昔のよしみ」を利用して
お福をどうにかしようとしますが、文四郎の答えは。

武家社会の理不尽さ、その理不尽さの中にも存在する人と人との大事な繋がりが胸に
深く染み入ります。
そして、話の展開の緩急の織り交ぜ方などが素晴らしいですね。

久しぶりにページをめくる手がとまらない、読み終わったあとしばらくボーッと
作品世界に浸っていたいと思わせてくれるような作品でした。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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一気読み (こに)
2013-03-12 19:35:44
宮部みゆきさんもですが、読み始めると止められないのには困ります。
(^_^;)
藤沢作品は読んで損はありませんよね。
返信する
Unknown (ロビタ)
2013-03-13 07:35:51
こにさん>

藤沢周平にハマるかもしれません(笑

さっそく「海鳴り」という作品を買ってきました。
返信する

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