晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

ガストン・ルルー 『オペラ座の怪人』

2010-05-01 | 海外作家 ラ・ワ
『オペラ座の怪人』といえば、日本では劇団四季でお馴染み、映画や
ミュージカルとして世界中で有名ですが、じつは原作の小説があった
ことは意外と知られていません。

十九世紀末、フランスのパリで毎夜貴族たちが訪れ、華やかで煌びやかな
舞台が上演されるオペラ座。
支配人のドビエンヌとポリニイが退任する夜、ひとりの踊り子が「あれは
幽霊よ!」と叫ぶのです。
それを聞いた道具方主任も見たと言い、追いかけてみたものの、あっという
間に姿を消したとのこと。
チケット係も、二階五番のボックス席は「幽霊の特等席」として、そこには
誰も入れさせないという命令があったのです。

そして、地下の舞台道具置き場で、道具方主任が死体となって発見されるの
です。

幽霊騒ぎのあったのち、貴族のフィリップ伯爵と弟のラウル子爵が、今宵の
舞台ですばらしい歌声を披露したクリスチーヌ・ダーエに挨拶しようと、舞台
裏へと向かいます。実は、ラウルとクリスチーヌはこどもの頃からの知り合い
で、しかしお互いの身分の違いから、恋仲には発展しませんでした。

ラウルが彼女の楽屋に入ろうとすると、中からクリスチーヌと男性の話し声
が。「クリスチーヌ、わたしを愛さなくてはいけない」「あなただけのために
歌ってるのに」「天使たちは今夜泣いたのだ」という会話をラウルは盗み聞き
してしまいます。しばらくしてクリスチーヌが楽屋から出てくると、中には
男の姿はなかったのです・・・

この夜のクリスチーヌの好演に面白くないのが、オペラ座のスターであるカル
ロッタ。しかし「ファウスト」の上演を控える彼女のもとに、役を降りろという
脅迫文が。同様のものは新支配人のモンシャルマンとリシャールのもとにも
届けられたのです。これを悪い冗談と一蹴する新支配人。そしてカルロッタは
「ファウスト」の大事なシーンで、突然声が出ず、「ぐわっ」という、蛙の
ような鳴き声になってしまい、そして、客席のシャンデリアが落下して・・・

この事件は、クリスチーヌの陰謀だとささやかれたりもし、支配人たちが幽霊
との「約束」を破り、五番ボックス席に客を入れてしまったことによるとも
いわれました。
はたして、幽霊とは何者なのか・・・

この物語の時代背景は、1875年にオペラ座が竣工して間もなくの頃で、
煉瓦舗装の道路には馬車が行き交い、夜にはガス灯がともって、上流階級
の男女たちが夜ごとオペラ座に通うといったもの。
オペラ座は、かなり無理のある土地に建築したようで、地盤には地下水が
溜まっていて、浸潤防止のために隔壁を設けなければならず、さらに劇場下
は、深くまで落ちる奈落、迷路のような廊下と、なんとも幽霊話にはもって
こいのシチュエーション。

映画もミュージカルも観ていないのですが、それでもシャンデリアの落下
というのは知っていて、てっきりクライマックスなのかと思っていたので
すが、前半のシーンだったことに驚きました。

http://twitter.com/robita_seven
コメント
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