晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

フレデリック・フォーサイス 『ジャッカルの日』

2010-03-23 | 海外作家 ハ
『ジャッカルの日』は、スパイスリラー小説の御大、フレデリック・
フォーサイスのデビュー作で、この一作品ですでに貫禄のある作家
の仲間入りをしたかのような、それくらい重厚感のある筆力で、
通信社の特派員経験を生かしてのイギリスおよびアメリカ、ソ連、
その他外国の政治、とりわけ秘密情報、諜報機関について精緻で
たまに実在の政治家も登場し、これはどこまでがノンフィクションで
どこからがフィクションなのか混同してしまいます。

1960年代前半のフランスでは、第五共和制の大統領シャルル・
ドゴール政権で、彼の政策に反感を抱くテロリスト「OAS」という
組織は、数回におよぶ大統領暗殺に失敗、トップクラスの逮捕、
銃殺でOAS存続の危機の中、新しく主任に選ばれた男は、組織
に秘密で、海外の殺し屋に接触。

ブロンド、青い目、長身のイギリス人という情報のみの「ジャッカル」
と名乗るその男は、破格の契約金で現職フランス大統領暗殺の依頼を
受けることになります。
しかし、フランスの秘密情報機関はOAS幹部の不穏な動きを察知、
どうにか彼らの陰謀を掴みとります。

OASはジャッカルに連絡を取ろうにもつかまらず、さらに情報機関も
ジャッカルについてわずかな情報しか持っていなく、海外の警察や
情報組織に連絡、それらしき人物は浮かんでくるのですが、ジャッカルの
正体は不明。

さらに、暗殺の情報のみで、いつ、どこで大統領を狙うのかも分からず、
作戦中止命令も届いていないと思われるジャッカルはどうやってフランス
国内に侵入するのか・・・

ちなみに、ドゴールは現職中に暗殺されておらず、政界引退後に田舎で
余生を過ごして亡くなっているので、これがノンフィクションであれば
ジャッカルの計画は失敗に終わることになり、しかしフィクションだと
どうなるのか・・・

久しぶりに手に汗握りながら読みました。松本清張「点と線」、アガサ・
クリスティ「そして誰もいなくなった」以来ですかね。
コメント
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