晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

フィリップ・プルマン 『黄金の羅針盤』

2010-03-06 | 海外作家 ハ
イギリスのファンタジー小説は、古くはトールキンの「指輪物語」
や、ルイスの「ナルニア国物語」、最近だと「サークル・オブ・
マジック」や「ダレン・シャン」そしてなんといっても「ハリー・
ポッター」と、枚挙にいとまがないのですが、しかしなぜイギリス
発のファンタジーがこうも注目されるのかと考えると、ひとつに
個人の創造性を大事にするという文化があるのでしょう。
妖精がいると本気で信じているのも、ウサギが人間に近い日常
生活を送る(ピーターラビット)と考えるのも、別に彼らの頭がアレ
なのではなく、個々人の尊重という大前提があるがゆえ。

もっとも、イギリスだけではなく、日本にもファンタジー文化は
あって、「竹取物語」「浦島太郎」「桃太郎」といった昔話、そして
馬琴の「南総里美八犬伝」といったファンタジー大作もあります。
しかし残念ながら近代に入って、宮沢賢治の創造性を継承し、
さらに高みに昇華させる者は現われず、日本のファンタジー文化は
文学界の主流のひとつになるには至りませんでした。

さて、『黄金の羅針盤』は、そんなイギリス発のファンタジーで、
今の世界とは似て非なる世界での話で、登場人物にはすべて
「ダイモン」という守護精霊がついていて、それは動物の姿をし
ており、子供時代のダイモンはさまざまな動物に変化できますが、
大人になるとダイモンは一種類の動物に固定されます。
人間にとっての話し相手、助っ人、そして感情のバロメーターと
なっています。
このダイモンと、地球の極地での「ダスト」とよばれる物質が何が
しか関係しているのではないか、という調査解明に巻き込まれる
少女のお話となっています。

イギリスのオックスフォードにある学寮に住む11歳のライラという
女の子は、幼いころに両親を亡くします。
叔父でライラが畏怖するアスリエル卿が学寮に来て、大人たちの
話し合いの席に潜り込んだライラは、北極で何かの実験をしている
云々という話を盗み聞きします。
そして、時期を同じくして、子供たちが次々と誘拐され、それが
どうやら北極の実験と関係しているのでは・・・
ライラは、イギリスに住む船上生活者ジプシャンの一行とともに
北極へ向かいます。ライラは学寮から出るときに、校長先生から
「黄金の羅針盤」という世界に6個しかない貴重なものを渡され
ます。それが旅の指針となるのですが、それを追い求める組織が
ライラ探しに懸賞をかけて・・・

このあとに出てくる北欧の村の魔女や、クマの王国とそこを追われた
よろいをつけたクマ、アメリカからきた気球乗りと、さまざまな
キャラクターが出てきて、飽きさせません。

そして『黄金の羅針盤』に続く2作品、全3巻という長丁場。
とりあえずなるたけ早く次作「神秘の短剣」を読まないと。
コメント
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