つい先日「吾輩は猫である」を読み、やっぱり夏目漱石は
おもしろいなあと今更ながら感心し、ついで「こころ」を読ん
でみたのですが、10代までに読んでおきたかったと、ちょ
っとした後悔をおぼえました。
ある学生が鎌倉へ遊びに行いったときに、学生はどこか謎
めいた男と出会い、妙に興味を抱き、「先生」と呼び、その
「先生」のことについて知りたくなるのです。
特にこれといって仕事もせず、本を読むばかり、家には奥さ
んと下女(今風にいうとメイド)と暮らし、後ろ暗い過去を持っ
ていそうな、人生にあまり前向きでないような感じすらします。
その背景をどうしても知りたくなった学生は問うのですが、期
待する回答は得られず、そのうち学生は親が倒れて帰省しま
す。
郷里で父親の看病をしていたとき、先生から手紙が届きます。
その手紙の内容は、なぜ退廃的ともいえるような暮らしになっ
てしまったのか、その原因が長く書き綴られていて・・・
物語の後半は、先生の学生時代、友人Kという、あえて本名を
伏せているのですが、このKとの友情やがて亀裂が描かれます。
これが現代の男同士の友情に男女の恋愛が絡んで云々だと、
「こころ」にあるようなヘビーでストイックな心情はちょっと理解し
づらい部分もあったりするのですが、ましてやKの出した答えな
んて、たとえそこには様々な要因、時代背景があることを解釈
したところで「そりゃないよ」と思うのが当然なんでしょう。
しかし、その過程の苦悶、葛藤などはいつの時代でもあるもので、
これは不変なんだなあと感じることもまたできます。
物語が不条理な結末で終わると、どうにも納得できないままモヤ
モヤしたものが心に残ってしまうのですが、美しい文体がそれを
補って余りあるほどに印象深くさせる、100年を経てなお読み継
がれてゆくに値する作品だと敬服。
おもしろいなあと今更ながら感心し、ついで「こころ」を読ん
でみたのですが、10代までに読んでおきたかったと、ちょ
っとした後悔をおぼえました。
ある学生が鎌倉へ遊びに行いったときに、学生はどこか謎
めいた男と出会い、妙に興味を抱き、「先生」と呼び、その
「先生」のことについて知りたくなるのです。
特にこれといって仕事もせず、本を読むばかり、家には奥さ
んと下女(今風にいうとメイド)と暮らし、後ろ暗い過去を持っ
ていそうな、人生にあまり前向きでないような感じすらします。
その背景をどうしても知りたくなった学生は問うのですが、期
待する回答は得られず、そのうち学生は親が倒れて帰省しま
す。
郷里で父親の看病をしていたとき、先生から手紙が届きます。
その手紙の内容は、なぜ退廃的ともいえるような暮らしになっ
てしまったのか、その原因が長く書き綴られていて・・・
物語の後半は、先生の学生時代、友人Kという、あえて本名を
伏せているのですが、このKとの友情やがて亀裂が描かれます。
これが現代の男同士の友情に男女の恋愛が絡んで云々だと、
「こころ」にあるようなヘビーでストイックな心情はちょっと理解し
づらい部分もあったりするのですが、ましてやKの出した答えな
んて、たとえそこには様々な要因、時代背景があることを解釈
したところで「そりゃないよ」と思うのが当然なんでしょう。
しかし、その過程の苦悶、葛藤などはいつの時代でもあるもので、
これは不変なんだなあと感じることもまたできます。
物語が不条理な結末で終わると、どうにも納得できないままモヤ
モヤしたものが心に残ってしまうのですが、美しい文体がそれを
補って余りあるほどに印象深くさせる、100年を経てなお読み継
がれてゆくに値する作品だと敬服。