非国民通信

ノーモア・コイズミ

長居さんをどうにかしないと

2015-12-30 22:43:36 | 雇用・経済

止まらぬ客離れ、100店超閉鎖… “低迷を招いた張本人”カサノバ社長の進退にも波及(産経新聞)

 米マクドナルドが、筆頭株主として約50%を握る日本マクドナルドホールディングス(HD)の株式の一部売却を検討していることが22日、分かった。国内外の投資ファンドや大手商社に打診したもようで、外部の資本とノウハウを活用し、低迷が続く日本事業の早期再建を急ぐ考え。売却株数や金額などの詳細は今後、詰めるが、最大33%分を売却する可能性もある。45年間続いた米本社主導の経営を抜本的に見直す。

(中略)

 外食業界に詳しい日本経済大学の西村尚純教授は「小手先の改革では復活できない。これまでのビジネスモデルを180度転換させるような抜本的な改革が必要だ」と話す。

 出資関係の見直しで、サラ・カサノバ社長の進退問題が浮上しそうだ。カサノバ社長は米本社の意向で、平成25年8月末に就任した。トップ人事は大株主の意向によるところが大きいが、「マックの低迷を招いた張本人」(大手外食チェーン幹部)との見方が社内外で広がっている。

 

 日本のマクドの社長が黄金時代を築いた藤田田から中継ぎを挟んで原田泳幸に代わったのは、藤田の独自路線が米本社の意向に沿わなかったとも伝えられるところですが、その結果はいかがなものでしょう。藤田時代にもマイナス要因は多々ありましたけれど、それ以上に栄光もありました。その先、原田時代には一瞬の輝きがなかったわけではないにせよ、凋落の一途をたどっているわけです。挙げ句の果てに米本社は日本マクドナルドの株式の売却を検討しているとか。アメリカ側の言うことによく従う人よりも、もう少し日本の市場を理解している人を社長に据えておけば、結果は違ったかも知れませんね。

 なお低迷を抜け出せない責任を問われてか、現社長のサラ・カサノバ氏の進退まで噂されています。それを思うと、改めて前任者の処世術は凄かったなと感じるところでしょうか。世の中には、会社の業績を落としても自身の評価は落とさない人がいるものです。常にマウンティングを怠らず、問題の責任を巧みに転嫁し、己の地位を保つべく励んでいる、そうした「出世するための努力」を欠かさない人は、日本のどこに行っても高く評価されます。業績不振から抜け出せずに進退問題に発展させてしまったカサノバ社長と、業績低迷が大問題化する前に別会社のトップへと華麗な転身を遂げた原田前社長、ある種の能力において両者には大きな違いがあると言えそうです。

 ちなみに私は――バーガーキングやウェンディーズ、ドムドムバーガーの方が好きですけれど――マクドナルドはそんなに嫌いではないですし通勤経路にあるので割と利用しています。朝の出勤時も夜の退社時も、いつも行列ができていますね。そして昼時は店内の座席がいつも埋まっています。見た目は繁盛しているのですが……それでも儲からないようです。まぁマクドに限らず、駅前の好立地にある店舗ともなれば、昼間の安いメニューではいくら売れてもテナント料を賄えないものなのかも知れません。昼間は行列のできる店でも、普通につぶれていますから。夜に酒を飲ませて稼がないと、飲食店はどこも厳しいのでしょう。

 どうもマクドの客層を見ると、ろくに注文もしないのにテーブルを占拠している迷惑な客が多いなと、そう感じます。喫茶店価格ならいざ知らず、100円のコーヒー一杯で長居する客もいれば、マックバーガーならぬMacBookを広げている人もいる、荷物を広げて縄張りを主張するお嬢さん達もいれば、店舗内で勉学に励む空回り学生もいる、地元の店舗では行き場がないのか寝泊まりする覚悟で居座っている人もいる、そして会社の近くの店舗では何も食わずに打ち合わせをしているブラック臭漂う会社員グループまでいる――こういう客のために、2階席や3階席の賃料まで捻出していれば、そりゃ会社の業績が悪化するのは不可避に思えます。

 本当にマクドがファストフードなら、もうちょっと席数を減らせる、テナント代を削れる、業績も幾分かはマシになるような気がします。しかし、意外やマクドはスローフード、とにかく「長居する客が多い」印象が強いです。それでも昼時に客が座って食べられるようにと駅前ビルの3階や4階まで借りるとなれば、それは人件費なんかよりずっと重いコストなのではないでしょうかね。まぁ、店は客を選べません。しかし、店舗によって客層は異なります。私がマクドナルドの経営層であったなら、「長居さん」が寄りつかないブランドイメージの構築を考えますね。長居する客が減って、牛丼屋やソバ屋よろしく「サッと食べてサッと帰る」客が中心になれば、もう少しスリムな経営ができそうですから。

 

 ←ノーモア・コイズミ!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする