非国民通信

ノーモア・コイズミ

次世代の選択

2014-12-25 23:23:36 | 政治・国際

大敗「次世代」存続の危機 安倍政権運営にも影(産経新聞)

 次世代の党が、衆院選大敗により結党からわずか4カ月で存続の危機に直面している。衆院の勢力は選挙前の19から平沼赳夫党首と園田博之顧問の2にまで激減し、発信力に優れた石原慎太郎最高顧問は政界を引退、離党の動きも出ている。政権とは「是々非々」で臨んできた次世代の後退は、安倍晋三首相の政権運営や憲法改正にも影響しそうだ。(内藤慎二)

(中略)

 慰安婦問題は首相が重視してきた課題だが、足元の自民党では大きなテーマにはならなかった。首相と次世代は「保守」という共通理念の下、与野党の立場を超えて役割分担してきたといえる。首相が目指す憲法改正でも、足並みをそろえたいところだった。次世代の後退は、政権にとって野党からの側面支援を失うことになりかねない。

 

 さて先の衆院選では民主党も共産党も議席を増やし、結局は「次世代の党の一人負け」だったわけですが、後者は産経新聞的に言わせると「安倍政権運営にも影」らしいです。曰く「野党からの側面支援を失うことになりかねない」とか。実際のところはどうなのでしょうね、数の上でも与党が圧倒的で、野党側の主張には自民党に輪をかけて酷いものばかりと、野党の攻勢で自民党政権が揺らぐ事態というのは全く考えられない昨今、与党筋にとって問題になり得るものがあるとしたら「身内の不祥事」が第一であるように思います。記憶に新しい小渕議員の事務所経費問題等々、「自分からボロを出す」ケースこそが自民党にとって最も「痛い」事態なのではないでしょうか。

 そうした観点からすると、次世代の党の衰退は自民党にとって追い風になりこそすれ、不利益にはならないと私は考えます。側面支援のつもりでも実際には後ろから弾を撃ってくるような無能な味方は、いない方がマシです。次世代などおらずとも自民党と公明党で与党は盤石、逆に次世代という余計な諍いの火種にしかならない荷物を抱え込まずに済むことはメリットでしかありません。ある種の人々にとっては「次世代」の方向に自民党が引っ張られて欲しかったのかも知れないですが、そうなれば日本が国際的な非難を浴び、恥をかくだけの話です。逆に、そういう方向に向かわなければ自民党に対抗できる野党は存在しない状態が当面は続くことでしょう。

 

選挙、10代のホンネ 選挙権、早く18歳に/一票で変わらない気が…(朝日新聞)

 若者は政治に関心がない。選挙のたびに指摘される“定説”は本当だろうか。選挙権年齢を18歳に引き下げる議論が進むなか、それぞれの立場で今回の衆院選に関わった10代の本音を探った。

(中略)

 ウェブ制作などを手がける福岡市のIT企業社長、吉田拓巳さん(19)は「急な解散で、どの政党も問題を先送りしている感じがした」と振りかえる。

 2012年衆院選の際、10代だけが投票できる疑似投票サイト「Teens Opinion」を立ち上げた。街を走る選挙カーがうるさくて、政治は「一方的に意見を言い続ける非合理なもの」と感じていた。双方向のネットを使えば面白い、と思いついた。

 

 ……で、引用元の朝日新聞では上記「Teens Opinion」が集計した10代の疑似投票結果も載っているですが、サムネイルが異常に小さくて何だか笑えます。朝日新聞的には、あまり注視して欲しくない結果だったのかも知れません。でもまぁ、不都合な結果でも敢えて隠さなかったところは日頃の報道に比べればマシな部類と認めるべきでしょうか。ともあれ朝日新聞も渋々ながらに紹介する10代の投票結果はどれほどのものなのか、以下にサムネイルではなく、ちゃんと拡大した画像を転載します。

 どうでしょう、20代以上の「大人」の投票とは、幾分か違った結果ですね。自民党が強いのは成人と一緒ですが、公明党は弱いですね。そして「民主<維新」という結果も出ています。未成年は、民主党よりも維新の方を好むようです。そして大人達の投票では見るも哀れな惨敗を喫した次世代の党ですが、ここでは8.4%の得票を得て民主党に肉薄する勢いを見せるなど、幼い人々からは決して見放されていないことが分かります。一般企業ならば定年退職している年代の人ばかりが集って「次世代の党」と称した当初は世間の失笑を買うことも多かったように記憶していますけれど、将来的に次世代を担う子供達からは一定の支持を得ていた、ある意味では確かに「次世代の」党であったのかも知れません。

 実際のところ、今年の東京都知事選でも候補であった「次世代」の田母神俊雄は中高年層からは概ね無視された存在でしたが、若年層からは広範な支持を得て60万を超える票を集めました。少なくとも「政治に関心のある若者」とは、そういう志向を持った人が多いと言うことなのでしょう。選挙に行かない、あるいは政治に関心を持たない若者の存在をこれ見よがしに嘆いてみせる論者は多いですけれど、敢えて次世代の党なり田母神なりへの支持を表明しに行く若年層が、無関心でいる層よりも立派で希望の持てる人々であるとは私には思えませんね。

 似たようなものでは若者の読書離れ(本離れが進んでいるのは若年層だけではないというのはさておき)みたいなことも言われますが、昨今は中国・韓国あるいは福島などへの差別を煽るヘイトスピーチ本が大いに売れているわけです。差別主義者には、そうでない人よりも読書家が多いのかも知れません。しかしまぁ、本を読まない若者を「けしからん」という人もいますけれど、じゃぁヘイト本なり似非科学本を読みあさって出版業界と書店の売り上げに貢献しているような人々が、本を読まない人よりもマトモな人かと言えば、それも違うだろうな、と。

 ちょっと脱線しましたが、20代や10代――その中でも政治に関心があり投票意欲の高い人――には、中高年層とは異なった支持傾向が見られるわけです。投票年齢を引き下げ、若年層に重点的に投票を呼びかけ、一票の格差是正と称して過疎化の進む(若い人の少ない)選挙区から若い人も多い都市部に定数を移す、その行き着く先はどうなるのでしょうね。進学率が上がって親に扶養されて学校に通う時期は長くなり、晩婚化が進み子供を持つ年齢も上がり、年金支給年齢も上がって定年も後ろ倒しされ、平均寿命も今の選挙制度が作られた頃に比べれば飛躍的に高まりました。人生のライフスパンは、後ろに大きく伸びているわけです。私にはむしろ、それに併せて選挙権を持つ時期が遅くなった方がバランスも保たれるのではないかと思われますが、選挙権に関しては人生の早い内に与えるべきとナイーブに信じている人が多いのは不思議な話です。

 

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コメント (2)
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