非国民通信

ノーモア・コイズミ

みんなもう飛び込みましたよ

2014-06-25 22:20:06 | 社会

嗚呼…残り2戦分の日本戦チケットも盗まれる(読売新聞)

 【サンパウロ=渡辺晋】W杯の日本初戦が行われたレシフェのグアララペス国際空港で、20代の日本人男性が窃盗の被害に遭ったと、在レシフェ出張駐在官事務所が16日(現地時間)、明らかにした。
  
 同事務所によると、男性は15~16日朝にかけて、友人数人と空港3階にある休憩所のソファで夜を明かしたが、目が覚めた時にかばんがないことに気づいたという。中には約500レアル(約2万3000円)の入った財布やパスポート、カメラ、ノートパソコン、残る2戦分の日本戦チケットなどが入っていた。

 サンパウロの空港でも、いすに置いた荷物が盗まれる被害があり、同事務所は「荷物から目を離さず、仮眠の際には必ず体に巻き付けるなどの注意を怠らないでほしい」と呼びかけている。

 

 W杯の日本代表に関しては概ねFIFAランキングを反映するような結果となりましたが、その裏ではこんなこともあったそうです。国外では日本の感覚が通じないところも当然あるのでしょう。もちろん日本でも置き引きとかはあるにせよ、日頃はあまりそのリスクを感じることはないのだと思います。しかし、ブラジルでは通用しなかったと。確かに日本でなら、椅子に荷物を置いたまま眠り込んでも盗まれる可能性は非常に低いです。じゃぁ日本在住者のモラルは高いのかと言えば、それまたちょっと特殊な感じもします。

 例えば花見などのイベントや飲食店での会計前の席取り行為などはどうでしょう。花火やお祭りなど野外でのイベントの際には事前にブルーシートなどを貼り付けてナワバリを主張する人が後を絶たず、これをモラルに欠けると非難する人もいます。セルフサービス式の飲食店でも、空席に私物を置いてから注文の列に並ぶ人が多くて、いざ会計を済ませて食べようとしたらどこの席もお嬢様方の荷物で埋まっているなんてことは頻繁にあるわけです。この辺も、マナーとしてどうなんだろうと思わないでもありません。

 そうは言っても、こうした席取り行為が成り立つのもまたモラルの高さ故と言いますか、要するに置き引きをする人がいないからです。ブラジルだったら、こういう身勝手な席取りに励む人は滅多にいないのではないでしょうか。私物を置いて席を離れれば盗まれる可能性が高い、盗まれても目を離す方が不用心だと考えられる、日本以外の国ではどこもそういうものだと思います。しかし日本では置き引きをする人がいないので、私物を置いて「ここは私の席」と主張する傍迷惑な人が後を絶ちません。モラルが高いのか、それとも低いのか……

 サッカー関係で言いますと、現地の日本人観客が試合後にゴミを拾ったとかで感心されるなんてこともあったそうですが、一方で試合後に盛り上がった人の中にはどさくさに紛れて痴漢行為を働いて捕まった輩もいたなんて話もあります。まぁ、試合を応援するフリをして実は騒ぎたいだけの人はどこにでもいるものですけれど、日本ですと周りが盛り上がっている場では簡単に箍を外して無礼講気分に他人を巻き込む人も多いような気がしますね。時にモラルが高いように見せかけつつ、その一方でモラルの決壊を垣間見せる、そんな一面も日本にはあるのではないでしょうか。

 誰か一人が行列に横入りすれば非難されるけれども、大勢で横入りすればそれが当たり前のこととして受け入れられ普通に横から入り込む列の方に人が並ぶ、そんなのは当たり前の光景です。「赤信号、みんなで渡れば怖くない」って奴ですね。先週は東京都議会で女性議員にセクハラに相当するヤジが飛んだとかで色々と取り沙汰されています。今となっては大きく問題視されていますけれど、しかしヤジを飛ばした段階ではどう思われていたのでしょうか。ヤジには舛添知事も笑ったと伝えられ、当人は周りに釣られただけでヤジの中身は聞いていなかったと弁明しています。本当のところはどうなのでしょう。

参考、コミュニケーション能力の高い人、とは

 日本社会で生きていく上で最も重視される「コミュニケーション能力」とは、要するに内容がなくとも盛り上がれる能力だと以前に書きました。興味深い話題にしか食いつけない人はコミュニケーション能力不足です。反対につまらないネタでも付き合って笑えるのがコミュニケーション能力というもの、ここでの舛添知事もまたコミュニケーション能力を発揮したのかも知れません。内容的に面白いものなのか眉を顰めるべきものなのかを斟酌するよりも、周りの空気に添った反応を示したわけです。

 そもそもヤジを飛ばした人もまた同様で、そういうヤジが許される空気を感じ取ってのことなのではないでしょうか。断じて個人の資質の問題でもなければ特定政党の問題でもないと認識されるべきものです。対立する政党(会派)に対して政策論議からかけ離れた単なる悪口を投げかけるのは頻繁に見られる光景で、セクハラに該当するかどうかにかかわらず、それはどうなんだろうと自省されても良さそうなものですが、野球選手でも議員でも新人はヤジの飛ばし方を指南されるものだとも聞きます。「周りが皆やっていること」となると善悪の判断が省略される、そういう傾向は日本の至る所で見られるような気がしますね、それこそ選良であるはずの議員の間ですら普通にあることなのですから。

 

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コメント (4)
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