Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

マーケティングのデータ分析

2010-07-14 16:42:37 | Weblog
朝倉書店様より以下の本を献本いただいた。これは「シリーズ行動計量の科学」の一冊である。

マーケティングのデータ分析
―分析手法と適用事例
(シリーズ行動計量の科学)

岡太 彬訓,守口 剛,
朝倉書店

目次を見ると,次のような分析手法が紹介されている:

 因子分析
 多次元尺度構成法
 非対称多次元尺度構成法
 コンジョイント分析法
 クラスター分析法
 重複クラスター分析法 ADCLUS
 潜在クラス分析法
 共分散構造分析法
 多項ロジットモデル
 データマイニング

なかなか個性的なラインナップである。多次元尺度法=MDS にかなり重点を置いているのは,著者の岡太先生がその分野の研究の第一人者だからであろう。その勢いで,コンジョイント分析の推定も MONANOVA で行うという展開になっており,マーケティング・サイエンスの最近の流れとは違う世界を覗き見ることになる。

潜在クラス分析以降の章は,守口先生によって執筆されている。こちらは SEM にしろロジットにしろ,消費者行動やマーケティングの研究者にとってなじみ深い世界となる。そこを先に読んだうえで,MDS という,いまは忘れられがちな研究の流れに再び光を当てている前半を読んでみるのはどうだろう。新鮮な発見があるかもしれない。

いずれにしろ,コンパニオンサイトから,本書で紹介されている分析の元データをダウンロードできる点が素晴らしい。さらに欲をいえば 分析ソフトまでウェブにアップされているといいのだが,さすがにそこまでは無理な注文かもしれない。