Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

日本商業学会@関西大学

2009-05-31 23:32:35 | Weblog
関西大学で開かれた日本商業学会に参加した。会場でもらった予稿集のプログラムを見ると,ぼくの発表のタイトルが「インフルエンザ・マーケティングは可能か:見えないネットワークをマネジメントする」になっている。もちろんこれは「インフルエンサー」の誤植。ここ数週間の大阪の状況が推察される。会場には相当数のマスクが用意されたらしいが,1時間遅刻したぼくには,すでに1つも残されていなかった。

タイトルを「クチコミ・マーケティングは どこまで有効か: 複雑ネットワークモデルが教えること」として報告。@cosme のお気に入り登録を用いたリコメンデーションを提案する山本さんの発表と,ネットワーク外部性に対する知覚とその影響に関する国際比較の調査を進める岸谷さん,川上さんの発表の狭間で,消費者間相互作用に関する自分の研究を紹介した。チェアの井上さん他,何人かの方からコメントをいただく。

商業学会のオーディエンスの質問は,テクニカルな点より,概念的な枠組みに迫ってくる。それに的確に答えられないのがもどかしい。2日目も朝からさまざまな発表を聞くが,過去の研究の系譜を踏まえた理論と少数例の事例とを往復しつつ,問題を提起するタイプの発表が多い。その作法をまだ体得していないせいか,それぞれの主張の核心をなかなか理解できない。だから新鮮で刺激的でもあるし,ストレスフルでもある。

ある意味「予告編」だけ次々見続けているような感覚。確かに現実をベースに,面白い問題が提示されている。周到なレビューで過去の研究の到達点が示されている。では,これからどうするか・・・ そこがオープンクエッションになることに,最近は「問題発見」の重要性をより感じるがゆえに,昔ほど否定的にはならない。実際,勉強にもなったわけだが,同時に答えを出すことに対する強い欲望もわいてきた。

各セッションの合間や夜の飲み会で,ふだんそれほど(あるいは全く)話す機会のない方々とお話しすることができた。それがそれだけのことで終わることなく,いつか何かにつながるのではないかと思う。6~7月,JIMS,JACS,DM,JASMIN と学会が続く。そこでは発表の機会はないので,自分を未知の人に知ってもらうことは難しいだろう。しかし,自分がこれまで縁のない研究(者)を広く知る機会にはなる。

ところで今回,スーパーホテルCity大阪温泉に宿泊した。スーパーホテルはサービスイノベーションの例として,最近注目を浴びている。価格的には東横インやアパなどと同じクラスのビジネスホテルだが,従業員の気配りや親切さは,並のシティホテルを上回っている。部屋は狭いが,あまり圧迫感がない。机が広く,コンセントやLANケーブルが便利な位置にあり,仕事しやすい。こうした当たり前の配慮がないホテルが多い。

収納場所に一切扉がなく,ルームキーや部屋の電話がないなど,コスト削減のためと思われる工夫がいろいろなされている。ただ,ルームキー(最近はカード式が多い)の代わりに暗証番号が記されたシートを持ち歩くことには,慣れないせいか紛失しないかと多少不安になる。枕を自由に選べるのは,このホテルのサービスの目玉の一つのようだが,枕にほとんど好みがないぼくにとっては,さほど魅力に感じられない。

今回ぼくが泊まったホテルには温泉がある。スペースは思ったより広く,なかなか素晴らしい!ホテルでありながら,構内を浴衣で歩くことができるのはある意味で便利だが,ロビー横のレストランで浴衣姿の宿泊客と一緒に朝食をとるのは,少し抵抗がある(一晩寝た,汗まみれの寝間着なわけで・・・)。もっとも旅館ではそう思わないのだから,偏見ともいえる。今度は別の場所でも,スーパーホテルを試してみよう。
 

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。