今日で今年の授業は終わり。ただし試験問題の作成が残っている。それが終われば,やっと一息つける。そうすればアレしてコレして… という以前に,部屋の整理がまだ残っている。本の整理を通じて,これからの研究戦略について思いをめぐらせることができれば… などと思う。
世間には厳しい寒風が吹いている。非正規従業員の解雇,新卒者の内定取り消しといった雇用環境の急激な悪化を告げるニュースが多い。就活に取り組む3年生も危機感を持っているようだ。内定を取り消すぐらいなら,3年から就活を余儀なくさせる状況をどうにかしてほしい。
不景気になると大学院進学者が増えると,内心喜んでいる大学院「関係者」もいるようだ。自分の入った大学より「格上」の大学院に進学することは「学歴ロンダリング」と呼ばれている。米国では珍しくないことだが,学卒に価値を置く日本では,抜け道として捉えられている。
だからこそ以下のようなハウツー本が出たのだろう。著者たちは東大以外の大学を卒業後,東大の院に進学した。その経験から「東京大学大学院の学位を手に入れれば,人生は劇的に変わる」と断言する。だとしたら,就活でコケても東大院に行けば,よりハッピーになれるかもしれない。
東大院に行くことで優れた研究-教育環境を利用できる。しかしそれよりも大きいのが,世間からの見方が変わることで,その割には東大院に入るのは難しくないと,本書では傾向と対策を詳述する。ただし,「勢いあまって」博士課程まで進んでしまうのは考えものだと著者は釘を刺す。
博士課程まで行ってしまうと,東大出の優位性が急減する。大学教員のポストを得ることは,「天下の」東大を出たとしてもそう容易ではない。分野によっては,強固な組織を維持する他の老舗大学のほうが,教員ポストを支配している可能性もある。あとは運と実力と運の世界。
本書によれば,東大が人生をバラ色に変えてくれるのは修士課程まで。博士課程に進んでいいのは天才だけ,というが,天才には指導などいらないはず。結局,博士課程は東大だけでなく,どこでも行き詰まっているのだ。どっちもどっちなら,東大以外の博士課程にとっては好機といえる。
来年度から大学院を担当するかもしれない。前任校に比べても大学院進学者が少ないなか,東大ですら勧められない博士課程を,東大ではない大学でどうすればいいか。特定の組織に縛られないネットワークの力を活用するしかない。それこそが,人生を「より」劇的に変えるだろう。
世間には厳しい寒風が吹いている。非正規従業員の解雇,新卒者の内定取り消しといった雇用環境の急激な悪化を告げるニュースが多い。就活に取り組む3年生も危機感を持っているようだ。内定を取り消すぐらいなら,3年から就活を余儀なくさせる状況をどうにかしてほしい。
不景気になると大学院進学者が増えると,内心喜んでいる大学院「関係者」もいるようだ。自分の入った大学より「格上」の大学院に進学することは「学歴ロンダリング」と呼ばれている。米国では珍しくないことだが,学卒に価値を置く日本では,抜け道として捉えられている。
だからこそ以下のようなハウツー本が出たのだろう。著者たちは東大以外の大学を卒業後,東大の院に進学した。その経験から「東京大学大学院の学位を手に入れれば,人生は劇的に変わる」と断言する。だとしたら,就活でコケても東大院に行けば,よりハッピーになれるかもしれない。
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東大院に行くことで優れた研究-教育環境を利用できる。しかしそれよりも大きいのが,世間からの見方が変わることで,その割には東大院に入るのは難しくないと,本書では傾向と対策を詳述する。ただし,「勢いあまって」博士課程まで進んでしまうのは考えものだと著者は釘を刺す。
博士課程まで行ってしまうと,東大出の優位性が急減する。大学教員のポストを得ることは,「天下の」東大を出たとしてもそう容易ではない。分野によっては,強固な組織を維持する他の老舗大学のほうが,教員ポストを支配している可能性もある。あとは運と実力と運の世界。
本書によれば,東大が人生をバラ色に変えてくれるのは修士課程まで。博士課程に進んでいいのは天才だけ,というが,天才には指導などいらないはず。結局,博士課程は東大だけでなく,どこでも行き詰まっているのだ。どっちもどっちなら,東大以外の博士課程にとっては好機といえる。
来年度から大学院を担当するかもしれない。前任校に比べても大学院進学者が少ないなか,東大ですら勧められない博士課程を,東大ではない大学でどうすればいいか。特定の組織に縛られないネットワークの力を活用するしかない。それこそが,人生を「より」劇的に変えるだろう。
(間違って?)東大院の博士課程まで行ってしまった人もまた,少なからぬ人々が東大以外の大学で禄を食むことになりますから,個別の大学の魅力を高める戦列に加わることになります。巡りめぐって,多くの大学が共存共栄… となればいいのですが。