Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

直球勝負

2008-12-21 22:56:59 | Weblog
昨日午前中は年初「重要業務」の説明会。おかげで友人に教えてもらったNHKアーカイブスは録画して,今日見ることになった。1998年に放映された,引退直後の大野豊投手を取り上げた「我が選んだ道に悔いはなし」。そして1994年の「もう一度投げたかった~炎のストッパー津田恒美の直球人生」。いずれも,広島市民球場がなくなることを記念した再放送である。

後者は放映当時,津田投手が亡くなった翌年に見た。約10年の短い選手生活だったが,広島カープの歴史のなかで,最も記憶に残る選手の一人であったことは誰もが認めるだろう。津田が病気のため引退した1991年,「津田を優勝旅行に連れて行ってやろう」という山崎隆造選手会長の檄もあって,カープは逆転優勝する。それがいまのところ,カープ優勝の最後の年になっている。

1980年代後半,関東でのカープの試合をよく見に行ったが,津田のピッチングをどれだけ見たか覚えていない。明確に覚えているのは,横浜球場でのナイターのこと。9回裏に登場した津田はひたすら直球を投げ込む。電光掲示板に150キロ台の数字が次々出て,球場全体が(相手チームのファンまで)興奮に包まれた。ぼくは外野のバックスクリーン近くで,彼の背中を眺めていた。

豪速球投手はこれまでも何人もいたが,津田恒美には,強気のピッチングの裏に潜む,気弱で優しい人柄が見える。そこが不思議な魅力なのだ。打たれた試合のあと,津田はじっと「一球入魂」「弱気は最大の敵」と書かれたボールを眺めていたという。放送では,手垢で真っ黒になったそのボールが映されていた。

広島市民球場の一塁側ブルペンには「直球勝負」と書かれた,津田を偲ぶプレートが貼られており,それは新球場にも移転されるという。津田の魂がいまの投手たちに乗り移り,すばらしい直球勝負が再現されることを夢見たい。
 

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