Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

泥酔と絆創膏

2009-02-16 23:23:46 | Weblog
昨日から繰り返し流される,G7の記者会見で,中川財務大臣がまるで泥酔しているように,しどろもどろに答えている映像。本人によれば,ローマで開かれた会議ゆえにランチで少々ワインを飲んだが,それが風邪薬とチャンポンになって,調子がおかしくなったという。そんなことはあるとかないとか,お医者さんを巻き込む議論が起きており,飲んべえにとっては大いに参考になりそうだ。

ぼくの経験では,時差ぼけによって,信じられないぐらい急激に眠気が襲ってくることがある。慣れない?英語での会話で疲労したこともあるかもしれない。海外に出かけるビジネスパーソンや研究者が同じような失態を繰り返さぬよう,大臣が身を以て反面教師を演じてくれたことに感謝したい。ただ,VIP であるがゆえにその姿が映像に撮られ,世界に配信されたことのインパクトは大きい。

日本の政治家や財界人が,酒席の帰りに報道陣に暴言を吐いたりするシーンは,これまで何度か報道されてきた。プロ野球1リーグ化の動きが頓挫したのも,それが一因となった。今度は世界を相手に,どういう影響を与えるだろうか。日本政府は,速やかに新宿や新橋の映像を世界に配信し,日本には酔っぱらいに寛容な文化があり,そのおかげで幸福な社会を維持してきたとアピールすべきだろう。

政治家の衝撃映像としては,一昨年,赤城農相(当時)が絆創膏を貼った顔で記者会見した出来事が思い出される。本来は事務所費問題で追求されていたはずなのに,この映像はそれを吹き飛ばし,なぜそんな顔になってしまったのかに関心が集中することになった。顔に絆創膏を貼ることは法律違反でも不道徳でもないはずだが,結果としてそれが,自民党が参院選で敗北した原因の一つにされてしまった。

顔に絆創膏を貼って職場に行った過去を持つぼくとしては,ここでも教訓を得た。たかが絆創膏とはいえ人生を変えることがある。さらには,絆創膏一つで歴史が変わることさえあるということだ。それは,北京で蝶が舞うと,回りまわってNYで嵐が起きるというカオス現象かもしれない。それはともかく,泥酔もどきの会見も絆創膏も,大きな流れから独立した,単なるノイズではないような気がする。

だから,この経済危機(石油ショック以来の大幅マイナス成長!)の時期に,くだらない話はいいからもっと政策論議を,という一見正論っぽい主張には同意できない。専門的な見地からの政策論争が重要なのは確かだが,いまも昔もそうした論争だけで政治が動いているわけではない。それと同様に,どうでもよさそうな政争や不祥事が,広義の政策選択と無関係に起きているわけではないと思うからだ。

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