Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

「結果」は自然に付いてくる

2008-11-06 23:49:54 | Weblog
何だかんだと,追われるような日々が続く。追われるのではなく,追いかけたい,と思うが,なかなかそうはいかない(本当は,追われているほうが楽かもしれない)。実施が目前に迫った調査が3件(iPod,サービス,クルマ),結果発表が月末に迫った調査が1件(iPhone),それぞれ面白い研究になるはずであり,ぜいたくな悩みともいえる。

今日のCマーケでは,グーグルの古見さんのお話を聞いた。創立されてまだ10年の企業が,株式の時価総額でトヨタを上回る存在になったという,奇跡といってもよい軌跡。イノベーションについて関心を持つ者なら誰でも,グーグルから学びたいと思うはずだ。一体どうすれば,グーグルのような企業になれるのか?

よく知られているように,グーグルは,情報を生産するのではなく整理する,というミッションを守りながら,社員のボトムアップなイノベーションによって新たなサービスを次々と生み出している。そのなかには,収益があがるかどうか全く不確実な実験も多数含まれる。それはまさに,進化論的プロセスを内部化している,ということなのだ。

グーグルのサイトに掲げられている「グーグルが発見した 10 の事実」,その筆頭にくる「ユーザーに焦点を絞れば、『結果』は自然に付いてくる」という一文がまさに象徴的だ。より多くの実験を試みさせ,市場によって検証させ,選ばれたものをビジネスとして昇華させる。一つ歯車が狂うと破綻しそうだが,そうはさせない何かが内在しているのである。

グーグルの社員は命令では動かないという。自分で掲げた目標が達成できたかどうかで評価される。勤務時間の20%は好きなことに使えるという有名なルール。しかし,その比率をたとえ100%に上げたとしても,イノベーションが生まれてこない組織もある。制度よりも重要なもの,それはその組織が持つエートスとでもいうべきか。

いま,ダイナミックに動いているものを,客観的に説明し尽くすことは難しい。しかし,そこに肉薄していかないと,現実を捉えることなどできはしない。非常に刺激的な話を聞いた。受講している学生にとってもそうだろう。何人かが質問に手を挙げてくれた。そうなると,もっと質疑応答の時間がとれたらよかったと,つい欲が出てしまう。

これが刺激になって新たな研究テーマに思いが及ぶが,いまは先にやらねばならないことが多々ある。とりあえず明日は,ゼミ募集のオリエンテーションがある。何をどういうか,まだはっきり決めていない。一次募集から始める最初の機会だから,重要であることは確かだ。ひたすら自分が欲するものを追いかけていくと,結果は自然に付いてくる。そう信じることにしよう。
 

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。