Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

川越のビジョナリー・カンパニー

2010-11-28 21:41:38 | Weblog
金曜の夜は,淡路町近くの産業経理協会で開かれた「産学連携サービス・エンジニアリング講演会」に参加。川越でバス事業を展開するイーグルバスについて,筑波大の岡田さんによる導入のあと,谷島社長から詳しいお話を伺った。運行ダイヤの最適化など,科学的アプローチによる効率化で優れた企業と聞いていたが,それ以上に感銘を受けたのが,「社会的企業」であることを目指す同社のミッションである。

イーグルバス・グループは観光事業から出発した。バス事業への参入が福祉送迎バスから始めたこともあり,介護・福祉事業も手がけている。同社はこれらの事業を単にポートフォリオとして分立させるのではなく,シナジーを追求している。車椅子対応のバス開発で特許を取ったり,外国人障害者向け川越ツアーを企画したり,介護施設の利用者向けのバーチャルツアーを実施したり,サービス開発のクリエイティビティは高い。

運行ダイヤの最適化など,徹底した効率性の追求は,都市部近郊あるいは過疎地域で路線バスを運営するという同社の引き受けたミッションに起因する。もちろんコスト削減だけでなく,顧客への調査をさまざまな形で行うことで,顧客満足の向上にも注力している。これまたミッションにつながる課題である。つまり,まず出発点に社会的ミッションと利益を両立させようという意志があることがきわめて重要だと思われる。

素晴らしい「小さな巨人」的企業は日本中にある。そうした企業が日本中を覆い尽くせば,この国はさらに住みやすくなるだろう。それは一見,世界中でアップルやグーグルのような「大きな巨人」が繰り広げていることと距離感がある。だが,問題は二者択一ではない。各地の小さなビジョナリー企業たちが結びつくことで,何かが生まれるのではないか・・・。そのことを,大文字のサービス・イノベーションと呼んでみたい。

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1 コメント

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まさに!! (ふーた・ろーさ1号)
2010-11-30 21:53:10
イーグルバスの事例、これからサービス(イノベーション)の研究を進める上で、刺激を受ける点が多かったです(微笑)。
とくに、「出発点に社会的ミッションと利益を両立させようという意志」は、サービス業のみならず、必要な意志だと思います!!
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