このところの「引っ越し騒動」の間に届いた重要な本が The Construction of Preference だ。選好は可塑的であり,状況のなかで「構築」ないし「構成」される,と主張した Payne, Bettman and Johhnson 1993 以降の研究の到達点がここにある。前半は preference reversal (選好の測定方法による非一貫性)に関する論文が収められているが,後半はより広範な話題が取り上げられる。そして結びの章は,preference management に捧げられている。つまり,このテーマこそ,今後の課題として最重要であることが示唆されている。
このような消費者行動研究(CB)の発展に,モデリングを旨とするマーケティング・サイエンスはどう応えるのだろうか。ぼくの知る限り,主流派はほとんど目もくれていない。そんな話は,CB の連中が大好きな重箱の隅をつつく議論にすぎない,選好が不安定で状況依存的だなんてことになると,せっかく「精緻に」測定した消費者モデルが使えなくなる,冗談じゃねぇ,といったところだろうか。しかし,現実のマーケティング環境の変化に目を向けると,そうとばかりいっていられないはずだ。
マス・マーケティングの場合,個々人の選好に多少のゆらぎがあっても,集計レベルの反応関数が安定していれば問題はない。しかし,121マーケティングでは,個々人の選好の不安定性や変化は,そう簡単に無視できない問題ではなかろうか。優れたセール(ウー)マンは,選好の可塑性をむしろ自分に有利なように利用する。相手の様子を見ながら当意即妙の応答をしつつ,満足いく領域に着地させる。こうした preference management をどう「科学」するか,そういう研究をしようという人がもっと増えるとうれしいんだが…。
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このような消費者行動研究(CB)の発展に,モデリングを旨とするマーケティング・サイエンスはどう応えるのだろうか。ぼくの知る限り,主流派はほとんど目もくれていない。そんな話は,CB の連中が大好きな重箱の隅をつつく議論にすぎない,選好が不安定で状況依存的だなんてことになると,せっかく「精緻に」測定した消費者モデルが使えなくなる,冗談じゃねぇ,といったところだろうか。しかし,現実のマーケティング環境の変化に目を向けると,そうとばかりいっていられないはずだ。
マス・マーケティングの場合,個々人の選好に多少のゆらぎがあっても,集計レベルの反応関数が安定していれば問題はない。しかし,121マーケティングでは,個々人の選好の不安定性や変化は,そう簡単に無視できない問題ではなかろうか。優れたセール(ウー)マンは,選好の可塑性をむしろ自分に有利なように利用する。相手の様子を見ながら当意即妙の応答をしつつ,満足いく領域に着地させる。こうした preference management をどう「科学」するか,そういう研究をしようという人がもっと増えるとうれしいんだが…。