Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

広告業界を描く新たな物語

2010-03-07 14:28:04 | Weblog
三田紀房氏による新たな連載漫画『透明アクセル』の存在を知った(昨年8月から『イブニング』で連載されていたようだ)。主人公は広告代理店「天博堂」の新人営業マン。有名な演歌歌手である父親のコネで入社している。ライバル会社は「電豪」という。広告業界を舞台にした物語によく出てくる,「電博堂」とか「博通」とかいった単に組み合わせただけの名前でない点がよい。

三田氏の作品といえば,落ちこぼれ高校生が東大を目指す『ドラゴン桜』,平凡な大学生の就職活動を描く『銀のアンカー』,転職コンサルタントを扱う『エンゼルバンク』と,キャリア形成のハウツー的なものが多い。だが,今回は超大物のコネで入社した社員が主人公なので,一般読者にとって参考にはならないのでは・・・と思っていたが,実はこの漫画,「競艇を舞台とした漫画」だという。

透明アクセル 1 (イブニングKC),
三田 紀房,
講談社


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確かに,フィギュアスケートで日本2位の女性を競艇選手に転身させるプロジェクトが話の中心だ。ただ,それはそれで,一般読者の参考になる世界ではない。したがって,このシリーズは,キャリア形成を指南する一連の三田作品とは趣きを異にする。むしろその面白さは,女性をターゲットに競艇のイメージアップを図るというマーケティング戦略が,具体的にどう展開されるかにある。

いずれにしても,楽しみがまた1つ増えた。