Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

NAVI 休刊につき

2010-03-04 09:39:56 | Weblog
NAVI 最終号では第一特集が「自動車のこれから」,第二特集が「NAVI,先輩たちの同窓会」。後者に登場する過去~現在の執筆者は,いわゆる自動車評論家以外にも,武田徹,田中康夫,えのきどいちろう,神足裕司,ドン小西,テリー伊藤,近田春夫の各氏・・・。故・渡辺和博氏も本来ならここに登場すべき人だろう。こうした顔ぶれから,NAVI という雑誌が,狭義のクルマ雑誌にとどまることなく,独自の文化を紡いできたことがわかる。

と同時に,この顔ぶれからある種の時代性を感じざるを得ないのは事実だ。NAVI 休刊をクルマ市場の不振とかトヨタのリコールとかマクロ的な流れと結びつけることも可能だろう。とはいえ,同じ出版社のカーグラフイックを含め,クルマ雑誌は刊行され続けている(先はわからないが)。結局,クルマはクルマでしかない,と思う人々が大多数になったということかもしれない。クルマをモノとして愛するにせよ,単なる移動手段としか見ないにせよ。

それは,必ずしもクルマ市場の衰退を意味しない。むしろ,クルマをモノとして、最もミニマルなかたちで突き詰めることで,その魅力が再発見・再定義されるにちがいない。舘内端氏が書く「絶望ノススメ」や,ロボットクリエイター高橋智隆氏が,シリコンバレーで開発されたテスラ・ロードスターを試乗する記事あたりに,これからのクルマ市場で興隆するであろう嗜好を感じることができる。ところで,ENGINE はうまくいっているんだろうか・・・。

NAVI ( ナビ ) 2010年 04月号,

ニ玄社,


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