Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

twitter マーケティングの可能性

2010-02-10 08:43:46 | Weblog
日本DM学会のセミナー@秋葉原に参加した。講演者とテーマは以下の通り:

いま注目の“Twitter”(ツイッター)―「つぶやき」コミュニケーションの特性/講師: 佐々木智也 氏,(株)CGMマーケティング 取締役COO

「Twitter のマーケティング効果」の測定に向けた最新動向/講師:内山幸樹 氏,(株)ホットリンク 代表取締役社長

まず,日本で twitter 事業を展開するデジタルガレージの佐々木智也氏が,内外でのビジネス活用事例を次々と紹介される。さまざまな成功例を聴き,その可能性について再認識するとともに,これはまさに,人の肉声によるコミュニケーションなんだなということを実感した。となると,担当者に権限委譲しやすい小企業ほど有利なメディアではないかと思えてくる。そのことは,bot が機械的なルールにしたがうことで「炎上」を引き起こした,最近の事例が象徴している。 だが,twitter にスケーラビリティがないと決まったわけではない。

次に,クチコミデータでデファクトの地位を確立しつつあるという,ホットリンクの内山社長が,twitter におけるクチコミ伝播過程の分析を紹介される。上述の,最近起きた事件についてどのようにクチコミが広まっていったか,そこで誰がどのような影響力を発揮したかが視覚化される。さらに,ブログのクチコミとは違った動きをすることも示される(むしろ 2ch と近い動きをする)。ウェブ上のクチコミとマス広告の相乗効果の事例も興味深い。ただし,こうした相乗効果はつねに起きるわけではない。そこが非常に面白い点だ。

以上のまとめは,私見が混在した,きわめてバイアスがかかったもの。その他の興味深い話題については,ここに 「中継」の記録が残っている。

それにしても,ダイレクトマーケティング業界の twitter 評価は全体としてまだ冷ややかな感じがする。人的な顧客サポートとして考えると,それなりのコストがかかってくるからだ。しかし,佐々木さんや内山さんが指摘したように,twitter は1対1のコミュニケーションが,多くの人が見るなかで起きるというオープン性に特徴がある。したがって,そこでの対話がもたらす乗数効果は,見かけよりはるかに大きいと考えられる。であれば,十分ペイする投資になるのではないか・・・。GoogleBuzz の登場も含め,大きな変化の胎動を感じる。