Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

大学の研究力と教育力

2010-02-23 23:03:55 | Weblog
週刊ダイヤモンドの今週号で,日本の大学の研究力と教育力が比較されている。研究力の指標に用いられたのは 2002~08 年度の COE 獲得額だ。研究力による大学ランキングはほぼ予想通りで,東大を筆頭に旧帝大がずらりと並ぶ。ただし,教員一人当たりの金額では,東工大が群を抜いて高い。私立大学では 6 位に慶應,10位に早稲田,12位に立命館が来る。そのあとはかなり差が開いて近大と玉川。残念ながら80位以内に明治の名前はない(GCOE を1つ獲得しているのだが・・・)。

週刊 ダイヤモンド 2010年 2/27号,

ダイヤモンド社,


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一方,教育力の指標は 2004~08 年度の GP 獲得額だ。GP とは大学教育での Good Practice に対する文科省の交付金。この指標はおおまかには研究力と相関しているようだが,首位に阪大がくるなど,独特の特徴もある。学生1人当りの金額では,医科大学が飛び抜けて高い。また,研究力に比べれば,私立大学も健闘している。慶應,早稲田,立命館が私立のトップ3である点は研究力と同じだが,明治は 41 位と今回はランキングに顔を出す(ちなみにMARCH のなかではトップ)。
ただし残念なことに,学生1人当りの数字で見ると,明治の順位はかなり下がる。
このランキングを素直に眺めると,研究力,教育力のいずれにおいても,地方大学を含めた国立大学が優位にあることがわかる。GP は COE よりは獲得しやすい(もちろん金額も小さい)ので,多くの私立大学は,研究よりは教育をより重視することになる。ただし,COE も GP も来年度は予算が減る見通しだ。そうなると結局,各大学の地力が問われることになる。そして教員もまた,それぞれの地力を問われる。それは一義的には教育力だが,それを裏打ちするのは研究力である。