Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

政党「温度」と決定延期

2009-08-08 17:31:09 | Weblog
計量政治学に「感情温度」という概念があることを,以前このブログに書いたことがある(あれこれ)。以下の読売新聞の記事に「政党温度」なるものが出てくる:

自民評価、やや持ち直し…読売ネット調査

それは「各党の評価を0~100度の「温度」で表現してもらう「政党温度計」(50度を超えればプラス評価)」というもの。感情温度とほぼ同じと考えられる(ただし,感情温度について詳しく書かれた文献が見つからない)。今回の調査結果では,いずれの政党の温度も,ここ数年上昇している。だから,議席にどう結びつくのかわからないが,どの党の支持者も「燃えている」ということだろう。

記事は,この1ヶ月ほどの「温度変化」について「民主党0・8度、自民党2・2度と自民党の方が大きかった」という。だから「自民評価、やや持ち直し」という見出しになるのは,さすが読売新聞だ。もっとも,グラフに不思議な非線形変換を施すよりは,ましかもしれない。なお,テレビの視聴時間と民主党への投票意向に正の相関があるという。新聞購読率との関係はどうなんだろう?

「温度」という絶対尺度で測られた選好を,どう選択に結びつければいいだろうか?上の例のようにすべての選択肢の温度が上昇している場合,投票率が上がるということか。選択という行為に参加する確率が増える=決定の延期が減るということだとしたら,まさに今回行動計量学会で発表した研究に結びつく。まあ,こじつけかもしれないが,こじつけもまた創造の源ということで。