一ヶ月ほど前,ほぼ同時期に『CGMマーケティング』というタイトルの本が2冊出版された。一つは伊地知晋一氏,もう一つは加藤智明,中谷有紀両氏の共著である。やっと読む時間ができたが,それぞれ視線が少し違っていて面白い。前者はWeb2.0の話から始まる。フォートラベル創業者へのインタビューや著者のライブドア時代の経験が紹介されており,いわば,サイト/サービス開発者の視線に立った本である。
後者は,マーケティングとは何であるかの歴史的変遷の話から始まる。そして,一般企業がCGMを広告,プロモーションに活用するという視点から事例が紹介され,戦略的な指針が議論される。つまり,マーケティング・プランナーないしコンサルタントの視線に立った本である。著者たちは,これからのマーケティングは,百年前にGMが生み出した「売れる仕組み」から「薦めてもらう仕組み」へと変わると主張する。
こうはっきり宣言されると気持ちがいい。マーケティング・サイエンティストはそれにどう受けて立つか。孤立した質点での購買意思決定から,社会関係の連鎖のなかでの意思決定へ。そういう視点で次々と研究が現れているが,従来の選択モデルのようなスタンダードはまだ生まれていない。「買う-買わない」だけでなく「薦める-薦めない」あるいは「薦めを受け入れる-受けいれない」まで含めたモデリングをどうするか。どう測定するか。面白い時代になってきた。
後者は,マーケティングとは何であるかの歴史的変遷の話から始まる。そして,一般企業がCGMを広告,プロモーションに活用するという視点から事例が紹介され,戦略的な指針が議論される。つまり,マーケティング・プランナーないしコンサルタントの視線に立った本である。著者たちは,これからのマーケティングは,百年前にGMが生み出した「売れる仕組み」から「薦めてもらう仕組み」へと変わると主張する。
こうはっきり宣言されると気持ちがいい。マーケティング・サイエンティストはそれにどう受けて立つか。孤立した質点での購買意思決定から,社会関係の連鎖のなかでの意思決定へ。そういう視点で次々と研究が現れているが,従来の選択モデルのようなスタンダードはまだ生まれていない。「買う-買わない」だけでなく「薦める-薦めない」あるいは「薦めを受け入れる-受けいれない」まで含めたモデリングをどうするか。どう測定するか。面白い時代になってきた。