古い奴だとお思いでしょうが、古い奴こそ新しいものを欲しがるもんでございます。どこに新しいものがございましょう。生まれた土地は荒れ放題、今の世の中、右も左も真暗闇じゃござんせんか。
「ブリの旦那、ここはあっしに任せてくんなせえ」
「香川の平政は男でござんす」
平政は、鰤と一緒に回遊していた。鰤には一宿一飯の義理があるというものだ。クアトロへの出入りに平政は鰤に代わって暴れてやろうと決心するのだった。
「平政よ、相手は手強いぜ」
「青森の天然鮃に、静岡の飛び魚、長崎の伊佐木と数えたらキリがないぜ」
「鰤の旦那、伊達に買ってでた喧嘩じゃござんせんぜ」
「クアトロの出入りはあっしに任せてもらいましょう」
「平政といやあ、そんじょそこらの魚には負けませんぜ」
「おお、良く云った、平政任せたぜ」
なんだかんだとお説教じみたことを申して参りましたがそういう私も日陰育ちのひねくれ者、お天道様に背中を向けて泳ぐ・・・馬鹿な魚でございます。
※香川産平政のカルパッチョ(¥1400)はおすすめでござんす。
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