「サク、あなたの名前は萩原朔太郎からもらったんでしょう、素敵ね」
「私は白亜紀のアキよ」
「サク、私はもっと生きたかった、サクこの写真が世界の中心だと思うの」
「アキ、小高い山のような写真だね、そうかそこが世界の中心なんだね」
サクは、アキが大事にしていた写真はアキにとっての世界の中心なのだと知った。そこには、いまもアキは生きているのだ。
「アキ、見つけたよ、君の世界の中心を」
サクは勘違いしていたのだ。アキが大事にしていた写真はオーストラリアにある土地だったが、グルメになったサクはこの写真はラングルというフランス・シャンパーニュ地方のチーズだと思うようになった。
「このチーズを食べるたびに君を思い出すんだ、なんてクリーミーで美味しいチーズなんだ、このチーズを食べるたびに、自分は世界の中心にいるんだなと思うよ」
確かに、ラングルの味わいは世界の中心を思わせる絶品である。
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