伊賀市の最南端、三重県旧美杉村から続く青山高原域、小さな集落が谷間に三々五々軒を寄せ合う山里の一つに老川集落がある。
国道165号線青山町付近の新しい県道29号線分岐で山手に車を進めて約10分余り、木津川ひとつの源流域の小川沿いに軒を連ねる老川の集落に出会う。
集落のほぼ東端、、右手の小高い境内まで石段が一直線に延びる極楽寺が見える。
石段奥に、山村にしては大きな山門・・・・。
この寺には長野善光寺の分身仏である「老川如来」を本尊に奉り、古くは遠近の参詣者で大いに賑わったといわれる名刹だそうです。
そんな参道石段口左手には地蔵石仏と庚申板碑などが並べられ、なんとも良い雰囲気を醸し出しています。
ほぼ等身大に近い三角頭の舟形光背を持つ定形地蔵立像・・・・全体に乾いた白い苔がびっしり付いたローカル色豊かな地蔵さん。
山門を潜って境内左手、小堂脇の大岩に地蔵菩薩の磨崖さん。
岩の上には五輪の残欠と丸彫りの阿弥陀如来、脇には大きく歴住塔と刻まれた板碑・・
磨崖の地蔵は、深く彫り窪められた舟形光背の中、かなり厚い中肉彫りで刻み出されて居ます。
像高約50~60cm?供台の石板にも何やら刻まれていて、板碑利用したものの様にも・・・。
像容はシンプルにまとまり、尊顔の白毫(びゃくごう)が中々立派。
両サイドに銘が有りますが読み下せません、向かって右は願主・・・・左はどうも日付の様ですが??
保存も良く、ちょっとニンマリ、したり顔にもみえる地蔵さん。
地蔵右上部、丸彫り阿弥陀の下方、苔の隙間にこんな磨崖仏。
素人彫りのような稚拙さですが胸で合掌している様にも見えます。
付近の景観と共になんとなくほっと出来る山寺でした。
撮影2008.11.30