南無阿弥陀仏と大きく書かれた特別大きな涎掛けが邪魔をして殆ど体躯が見えないので撮影の間だけ外させて戴きました。
比叡電宝ヶ池駅近くの花園橋交差点を左折、高野川沿いの国道367号線で10分も遡ると谷間に小さく拓けた八瀬の里山。
八瀬の軒並みが途絶える辺りの交差点でUターン気味に旧道に入れば八瀬天満宮参道前、朱い一の鳥居が迎えてくれ参道脇には公民館。
旧道から公民館脇の空き地に数多くの小石仏や板碑群に囲まれるように「矢負坂地蔵尊」の扁額が掛けられた簡素な覆屋があり、大きな自然石に刻まれた地蔵立像が祀られています。
それにしても顔から下を覆い隠すような白く大きな涎掛けです。
「矢負坂地蔵尊」と呼ばれるこの石仏は高さ約1.5m、幅約1mのほぼ長方形をした板石状花崗岩に二重光背彫り沈め、線彫りの蓮華座上に像高約1m弱の地蔵菩薩立像を薄肉彫りで刻み出している。
右手に錫杖、左手に宝珠を持つ定型地蔵ですが錫杖の先は二重光背に線彫りで刻まれています。
顔容は穏やかでどこか気品を感じる格調高さがあり、其の体躯にも手馴れた石工の技が強く感じられる。
良く均整のとれた写実的な表現から鎌倉期の造立だといわれています。
元、天満宮には神宮寺が有ってその遺仏で有ろうと考えられて居るようです。
撮影2011.8.27